Pub.Lab. ホリスティックな視点からの価値創出に向けて

Service Designについて学ぶ コラム

2015.12.14

※本記事はコンセントのサービスデザインチームによるブログ『Service Design Park』に、2015年11月19日に掲載された記事の転載です(転載元:http://sd-park.tumblr.com/post/133507365371/pub-lab)。

こんにちは。サービスデザイナーの小山田です。

今回は、コンセントの「Pub.Lab(パブリック・ラボ)」という取り組みをご紹介します。

コンセントでは、以前から企業に加えユーザーが参加する共創プロジェクトとして、株式会社ワコール様との「ココロにフィットする下着」デザインワークショップや、行政も参画する「子育てママ*リビングラボ」(※1)などを行ってきました。

※1「子育てママ*リビングラボ」のキックオフイベント「子育てアイデアソン」は、主催:ソーシャルビジネスデザイン研究所、共催:大阪市東成区社会福祉協議会、協力:コクヨ株式会社、株式会社コンセント、大阪イノベーションハブ、東成区役所、で開催されました。

それぞれのプロジェクトについて詳しくは下記のページをご覧ください。
amuイベントレポート|「ココロにフィットする下着」デザインワークショップ
ラボコラム|これからの共創のかたち「リビングラボ」

「Pub.Lab.」は、これらの活動に加え、サービスデザインの手法を活用し、公的な機関を含むさまざまなステークホルダーとの連携の仕方や、公共空間のあり方を検討し、よりよい暮らしのつくり方を考えるためのチームであり、取り組みです。

コアメンバーとして、グラフィック、エディトリアルデザインをバックグラウンドにもつ私、小山田と、建築、プロジェクトマネジメントをバックグラウンドにもつ小橋が、主要なメンバーとなり、プロジェクトごとにさまざまなメンバーと連携して、プロジェクトを実行しています。

 


よりホリスティックな視点へ


ふだんコンセントでは、サービスデザインのアプローチを通して、企業の提供する製品・サービスの体験価値の向上を図り、新規事業開発や製品・サービス開発を支援しています。その際には、エスノグラフィ調査などを通して、顧客自身も気づいていないような期待価値を理解し、それを実現するソリューションを検討していくことになります。

ユーザーの視点に立ち、よりよい暮らしを実現させるためには、企業とユーザーという限定された関係性だけではなく、公共という視点も含めた、よりホリスティックな視点に立つ必要があります。さまざまなステークホルダー間で共有できる価値創出をステークホルダー間での連携を通して実現していく必要があることを痛感します。

海外では、たとえばデンマークのMindlabのように、行政自身がサービスデザインの方法論を取り入れ、市民との共創による政策提言を行っている事例があります。しかし、システムや文化の違いなどもあり、日本では、ふだんの暮らしにもっとも近いはずの公的なものと、デザインとの距離が遠いという現状があります。

こうした背景をふまえ、Pub. Lab.は、「公共の課題をサービスデザインアプローチによる”共創”で解決し、よりよい暮らしをつくる」ということをミッションとして発足しました。このミッションをふまえ、セミナー・勉強会などのイベントを通した継続的な研究活動を行うとともに、理論を実践に移すための取り組みとして、産学官連携でいくつかのパイロットプロジェクトを進めていきます。

 


Pub.Lab.の活動


先述したように、コンセントでは「下着づくりワークショップ」や「リビングラボ」といった、サービスデザインの手法を使い、ホリスティックな視点から共に価値を創るプロジェクトを実施してきました。
Pub.Lab.では、これらのユーザー中心のデザインと「共創」により新しい価値を実現するプロジェクトに加え、さまざまなパートナーとともに以下のような活動を行っています。

●公共施設の有効活用に向けたサービスデザイン
(コンセント×公共R不動産)

「公共R不動産」とは、全国から公共空間の情報を集め、それを買いたい、借りたい、使いたい市民や企業とマッチングするためのWebサイトです。Pub. Lab.のメンバーは、この運営チームのミーティングに定期的に参加し、企業と行政のコミュニケーションを促進させていくためのサービス検討を一緒に進めています。

 

●サービスデザインによる公共空間、サービスのプロトタイピング
(コンセント×公共R不動産×千葉工業大学 山崎研究室×習志野市)

例えば公園や、公開空地などさまざまな人に向けて広く開かれた場所で、どのようなことが行われるべきか。それは、ステークホルダーの理解と、新しい発想によって、その場所ごとに生み出されるべきものではないでしょうか。コンセントでは、千葉工業大学 山崎研究室の授業支援を通して、公共空間のサービスプロトタイピングを行っています。

 

●サービスデザインによる地域課題の特定とサービスプロトタイピング
(コンセント×D-Lounge×千葉県いすみ市×いすみライフスタイル研究所)

千葉県いすみ市は、豊かな自然と東京との絶妙な距離から、都心からの移住者の多い場所です。この街の未来を考える際には、単純に「移住促進」という方法からスタートするのではなく、地域の特性とステークホルダーの理解から、何が課題になっているかを理解することが欠かせません。コンセントでは、サービスデザインの手法を活用して地域の課題解決支援を行っています。

 

●デンマークとのサービスデザイン情報交換(Service Design Salon)
(コンセント×エスベン・グロンダール氏、ayanomimi、Danish Design Centre、VIA Design)

Service Design SalonはコンセントのService Designチームが主催する、オープンな勉強会です。カジュアルな雰囲気のなか、さまざまな方をゲストスピーカーにお招きして活動をご紹介いただいたり、参加者もまじえたディスカッションを行ったりしています。今後も、デンマークの市民参加型デザインや、公共デザインの分野に関する勉強会を行っていきます。

 

●公共空間における市民の「居心地のよさ」研究(東京デンマークWeek)
(コンセント×ayanomimi)

Service Design Salonを開催するなかで、デンマークの“ヒュッゲ”という言葉と出会いました。心地よい空間や、時間、ゆったりしたり、賑やかに過ごしたり……一言では言い表せない快適さを表現するデンマークの言葉です。公共空間、公共デザインで先進的な取り組みを行うデンマークをより深く知るために、デンマークで活動するデザインコンサルティング会社 “ayanomimi”のイベント、「東京デンマークWEEK」の企画・開催協力を行いました。

特に、デンマークとの情報交換は、2015年10月20日に開催した「Service Design Salon Vol.10 / Service Design Initiative」でも、デンマークで刑務所の労働環境改善などのプロジェクトを手掛けるVIA DesignのIda Vesterdal氏とSune Kjems氏や、「The Service Design Global Conference 2015」で基調講演を行った、Danish Design CenterのChristian Bason氏をお招きして意見交換するなど活発に行っています。

また、デンマークのデザインコンサルティング会社であるayanomimiとは、2015年10月26日〜30日に開催された「東京デンマークWEEK 2015」の全7回のイベントのうち、4回をコンセントで協力。多数の方にご来場いただき、デンマークと日本での意見交換の機会をつくることができました。

過去に行ってきたイベントの概要はこちらでご覧いただけます。

●デンマークとのサービスデザイン情報交換(Service Design Salon)
オープンな勉強会「Service Design Salon」|サストコ
Service Design Salon vol.4 レポート|サストコ
~日本の公園から考える~Service Design Salon vol.5 レポート|サストコ
Service Design Salon Vol.10 [Lecture]/Service Design initiative
「Changing Organization into Service Design」イベント概要|Peatix
※イベントレポート公開準備中

●公共空間における市民の「居心地のよさ」研究(東京デンマークWeek)※イベントレポート公開準備中
イベント概要|ayanomimi オフィシャルサイト
“デンマークのヒュッゲな職場、デンマークのオフィス環境” |Peatix
“デンマークのヒュッゲな職場、働く環境のトレンドと習慣” |Peatix
“プロセスをデザインするデンマーク、ヒュッゲな公共デザイン” |Peatix
“デンマークの行政サービスのデジタル化” |Peatix

今後も、上記のイベントに加え、現在トライアルを行っているプロジェクトのご報告を行っていく予定です。

もしご興味のあるテーマがありましたら、「Service Design Salon」などの公開イベント(コンセントの公式Facebookページにて随時告知)や、Service Design Park Facebookページへぜひご参加ください。

【執筆者プロフィール】
小山田 那由他|サストコ