CarPlay対応車載機の簡易レビュー

  • UX/UIデザイン
  • 星 貴史

サービスデザインチームのデザイナー、星です。
普段の仕事では車載情報機器のユーザビリティ評価、情報設計、デザイン、モックアップ制作などをしています。

さて、この前の週末にCarPlay対応車載機(Pioneer SPH-DA700)をクルマに取り付けたので、都内までの通勤で早速使ってみました。簡単にですが以下、所感を残しておきます。


Apple CarPlay
https://www.apple.com/jp/ios/carplay/

【良いところ】

普段iPhoneを使ってる人にとって「メッセージ」を運転中にハンズフリーで操作できる点は、Siriの認識精度によるところが大きいとはいえ良い(電話と音楽だけなら今までのBluetooth接続をサポートした車載機でも可能)。


「マップ」での経路案内は降車後も継続できるので、目的地から離れた場所にクルマを停める場合はありがたい。同様に「ミュージック」では車内で聴いていた音楽を降車後続けて聴けるので、共に体験の連続性がある点は良い。

【気になったところ】

走行中はSiriの認識精度が下がる。多分エンジンの音や振動をノイズで拾ってるためだと思う。マイク取付位置はハンドルコラム、クルマはトヨタのist。レクサスほど静かではないにしろ、特にエンジンのノイズが気になるクルマではない。

誤認識なら再発話で粘るという手もあるが、ノイズを拾ってSiri側で発話終了を認識できない場合は待ち受け時間が続き痛い。車載専用にフィルターなどで環境ノイズを切るなどの処理はしてないのだろうか。Siriが使えないCarPlay=使い物にならない、となってしまう可能性。

【マップ】

Siriでの目的地設定は駅などの主要施設の認識は可能だが、住所を番地まで読み上げるような長いものはかなり厳しい。iPhone側から手入力で設定しておいてその履歴を指定するという方法で対処するハメに。

文字入力はなぜかアルファベットのみ(日本語不可)、パレット表示のバグの様なものもありあまり使い物にならない(「Concent」と入力しても弊社はヒットせず…)。

ルート引きは一応複数ルートに対応しているが、渋滞情報その他の交通情報は考慮されない(この点で「Google Map」の方が使い勝手が良い)。

音声読み上げも微妙に「解読」レベル。地元なら地名を理解できるが、未知の土地ではかなり不安。地図の表示はわりと見やすく、描画も綺麗だが建物の高さをいちいち再現する必要性は感じない。操作に関してピンチイン/アウトを使わせないのはなぜだろう。

【メッセージ・電話】
到着時間の連絡など運転中にメッセージを送信したい場合にはとても便利だが、Siriの認識精度の問題からストレスが溜まることもある。選択肢型の音声認識は通りやすいので、受信メッセージの読み上げなどは使える。

【ミュージック】
1曲、1アーティストを選んで聴くような場合、Siriで操作できる恩恵はとても大きい(手入力だととても時間が掛かる)が、認識精度の問題からストレスが溜まることもある。

選曲についてはiPhone単体での操作感と近い操作感は担保されているので、今まで使っていたナビ(トヨタ純正、リストはページスクロール)に比べると格段に使いやすい。ジャケ写が出るのも楽しいが、よくある機能。

【ハードウェア】
フルフラットの表面仕上げは美しいが「押した感触」の無いボタンはブラインドでの操作が必要な車載機では致命的に使いづらい。

揺れる車内においては視認しながらの操作を迫られる。SIriの起動にはこのボタンの長押しが必要なのだが、ステアリングスイッチなどを併用しないととても危険(試用車はステアリングスイッチ無し)。そもそも右ハンドル車の場合は車載機右側にボタンがあるべき。

【ひとまずのまとめ】
「マップ」のナビゲーション機能はとにかく貧弱なので、ディスプレイオーディオ+αくらいの気持ちで使わないと確実にガッカリする。ナビアプリにしても、同じ無料なら「Y!カーナビ」を使う方が全然良い。

そもそもiOS上でのSiriに慣れてないと使いこなせない。CarPlay上のSiriで何が操作できるのか、ガイドやチュートリアルが無いと何もせずに終わりそう。CarPlayに関しても情報が少なすぎる。製品付属の取説は情報量が少なく、AppleのオフィシャルHPにも大した情報は無い。なによりCarPlay対応アプリがまだ少なすぎる…

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