法務省 保護局   「第72回 社会を明るくする運動」広報用動画CM

2022年度のメインビジュアルにも使われている、アニメーションの一コマ。2人の女性が光の差す海辺にいるシーン。

登場人物の感情を豊かに表現し
視聴者の「共感」をつかむ動画CM制作

法務省主唱「第72回社会を明るくする運動」のコミュニケーションデザインを担当しました。ポスター、リーフレット、動画CM、ラジオCM、SNSといった複数の広報チャネルの制作物も手掛けました。

  • 映像
  • 広報ツール
  • メディア・コンテンツ開発
  • クリエイティブ開発

[ プロジェクトのポイント ]

  • メインビジュアルの世界観からストーリーを膨らませたシナリオライティング
  • 登場人物の繊細な感情の機微までを表現し、メッセージを感じさせるアニメーション演出
  • シリーズ作品としての世界観を守りながら、各媒体の特性に合わせた複数バージョンのCMを展開

プロジェクトの背景

法務省主唱「社会を明るくする運動」は、犯罪や非行の防止と、犯罪や非行のない安全で安心な明るい地域社会を築くための全国的な運動です。2022年度で72回目となり、長年続いている施策ではありますが、一般の人の認知はまだ低い状態です。これまで運動の名称の「認知」を主軸に広報活動を行ってきたものの、「参画」を目指した広報施策を進めていきたいという課題がありました。

2021年度の広報施策に引き続き、2022年度もコンセントが動画CM制作を担当。参画を目指すための「認知」→「興味」→「共感」→「参画」という段階の中で、動画CMは「認知」→「興味」→「共感」を担う重要なツールとして位置付けました。

スライド。見出し「認知から参画へのステップ」。参画を目指すためのユーザーの行動を段階的に可視化させた内容。ポスター、動画CM・ラジオCM、リーフレットというメディアを通して、参画につなげるための土台を作る展開を表している。

制作に当たっては、以下の3点を達成すべきゴールとして設定し、取り組みました。

  • ポスター・リーフレットの世界観をアニメーションに展開して豊かに表現する
  • 「社会を明るくする運動」のシリーズ作品として一貫した世界観の中で、立場が異なる人物の視点で新しいストーリーを描く
  • 前作以上にキャッチーな表現を意識し、視聴者の興味を引く部分を強化する
「社会を明るくする運動」のメインビジュアル。2021年度のものと2022年度のものが並んでいる。2021年度のものは、花の咲く川辺で、歩き出す男性と見守るように佇む女性のイラストレーション。2022年度のものは、2人の女性が光の差す海辺にいるイラストレーション。どちらのビジュアルにも「#生きづらさを、生きていく。」というコピーが入る。

左が2021年度、右が2022年度のメインビジュアル。イラストレーションは雑誌などで活躍する山崎真理子氏が手掛けている。

問題解決までのアプローチ

視聴者の共感を得られる動画CMにするために、登場人物の感情を豊かに表現することに注力しました。

今作の映像の構成は、非行に至った過去をもつ女性と、似た境遇をもつ少女が海辺で会話するシーンのみに限定し、回想シーンなどの説明的な描写を一切省きました。印象的な1つのシーンに絞ることで、登場人物の関係性や感情を丁寧に描いています。アニメーションの作画枚数も増やし、顔の寄りのカットでは感情の機微までが伝わるように丁寧に描き込みを行いました。

動画の一部。夜明け前の海岸で、2人の女性が座って話している。
動画の一部。一人の女性がもう一人に話しかける表情のクローズアップ。
動画の一部。夜明けのような光が差す方を、2人で見つめている。
動画の一部。一人の女性が立ち上がる。

動画でのイラストレーションの一部。作画枚数を増やし表情の描き込みを行った。

音に関しては、街中で動画CMが放映されたときに立ち止まって見てもらえるような仕掛けを取り入れました。ピアノの単音に合わせて静かに映像が始まり、その静寂を破るように主人公の語りが聞こえることで、印象的な出だしにしています。さらに、登場人物の感情の動きに合わせて音楽の盛り上がりをつくり、波の音、夜明けの鳥の鳴き声などを取り入れて情景を豊かに表現することで、視聴者の感情への働きかけを強化しました。

クリエイティブのポイント

今作では「保護観察対象だった過去のある人物」が主人公となり、非行に走る少女と出会うストーリーを軸に据えて、「第72回社会を明るくする運動」のテーマである「#生きづらさを生きていく。」を表現しています。シリーズ作品としての認知を得るため制作チームは前作と同じメンバーで、一貫した世界観の中で新しい表現に挑戦しています。

本プロジェクトでは、ポスター、リーフレット、動画CM、ラジオCM、SNSなど複数のメディアで1つのストーリーを展開するに当たり、各媒体の特性に合わせたアプローチを試みました。ラジオCMにおいては、視覚情報での説明ができないため音声情報のみでも成り立つことを前提とし、テレビCMとは異なるシナリオを作成しました。

SNS施策においてはInstagramのユーザー層に合わせ、登場人物の心情をビジュアルと文章で見せるアプローチを取っています。いずれも1つのストーリーに対して、視点を変えた切り口でシナリオを書き起こし、複数のメディアを通してストーリーの深みが増すように設計。見た人の中にさまざまな思いが巡ることを目指しました。

女性の目元をクローズアップしたイラストレーション。テキスト「30代女性:先輩に教えてもらったのは、勉強でも、処世術でもなく。クスリだった」
テキスト「小さな頃から確かにずっと、生きづらいと感じていた。理由は何だったんだろう、同年代の子とも、学校とも馴染めなかった。おばあちゃんと二人暮らしだったから?今となってはもうわからない。でも、大事なのはきっと理由じゃない。息苦しくて、もがいて。息継ぎするようにつるんだ先輩に教えてもらったのは、勉強でも、処世術でもなく。クスリだった。そして二人とも、保護観察になった。」
女性の横顔をクローズアップしたイラストレーション。テキスト「10代女性:人生って、どうやったら変わるの?親ガチャ失敗、もう詰みじゃん」
テキスト「一発逆転なんて、あるわけない。ばかみたい。親ガチャ失敗っていうか、親の顔を見たことがなかった。理由?知らない。でも気づいた時にはもういなかった。それだけ。気づけば学校には行かなくなってた。なんだか息苦しくて。馴染めなくて。一人だけになりたくて、よく海を見に行った。ここだと少しだけ楽だった、かも。」

[ プロジェクト概要 ]

クライアント名 法務省 保護局 様
URL https://www.moj.go.jp/hogo1/kouseihogoshinkou/hogo_hogo06.html
公開日/発行日 2022/12/06

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