ラボ

2014.07.11

コンセントでは、情報アーキテクチャ、ユーザーエクスペリエンスデザイン、サービスデザインといった分野に関し、さまざまな有志団体や勉強会、機関などを通じて啓蒙活動や研究活動に積極的に取り組んでいます。

この記事ではコンセントやコンセントのメンバーが携わっている主な団体や活動などをご紹介します。


◆ 人間中心設計推進機構(HCD-Net)


「人間中心設計(Human Centered Design: HCD)」という概念を啓蒙・普及させることを目的とした特定非営利活動法人です。HCDやユーザビリティに関する調査・研究、セミナーやワークショップの開催、書籍の刊行などの教育活動、行政や産業界に向けたフォーラムやシンポジウムの開催などの広報社会化活動、HCDに関するツールや手法の収集や社会基盤システムのHCDやユーザビリティの検討、設計といったHCDの開発活動、専門人材の認定などHCDに関する規格化・認定活動、海外への情報発信などの国際活動などをおこなっています。コンセントの長谷川が理事を務めています。
http://www.hcdnet.org/


◆ サービスデザインネットワーク(SDN)


2004年発足、2008年からNPOとして活動しているドイツのケルンに本部を置く国際機関。
アカデミア、エージェンシー、企業の3者のバランスを重視した、サービスデザイン分野の専門家のための国際組織で、イベントやオンラインツール、出版物を通じて、サービスデザインの価値を広め、行政から民間セクターに至る広い分野において、サービス提供者と顧客の間のインタラクションの質を高める活動を推進しています。コンセントの長谷川がSDN Japan Chapter(日本支部)の共同代表およびNational Chapter Boardを務めています。
http://www.service-design-network.org/


◆ 情報アーキテクチャアソシエーションジャパン(IAAJ)


コンセントの長谷川が主宰するIAAJは、日本で情報アーキテクチャを普及させるための有志団体です。米国IA Instittute所属のローカルグループとしてIA Instituteとも連携し、日本のIAシーンを世界に報告する役割も担っています。年に数度、IA Summitなど海外カンファレンスの報告会を開催してるほか、世界中で同時開催される情報アーキテクチャのコミュニティイベントWorld IA Dayも主催しています。
http://iaaj.org/


◆ Service Design initiative


SDN Japan Chapter(日本支部)の共同代表3名が中心となって、サービスデザインの研究と実践を行う目的で、2014年に発足した研究会です。不定期に研究会を開催しグローバルカンファレンスの報告や日本のサービスデザイン事例の共有などをしています。
https://www.facebook.com/SDNJapanChapter


◆ UXD initiative


ユーザーエクスペリエンスデザインの研究と実践を行う目的で、千葉工業大学を拠点に2011年に発足したユーザーエクスペリエンスデザインの研究会です。部署や職種名としてのUXを超え、さまざまなバックグラウンドを持つSIG(Special Interest Group)リーダーが活動を牽引し、各SIGリーダーによる研究会や、研究内容の公開や情報提供がされています。コンセントの長谷川がSIGリーダーとして参加しています。
http://uxd-initiative.blogspot.jp/


◆ UX Tokyo


「次代のより良いデジタルインフラ構築に貢献する知のネットワークを構築・活性化」することを目的に、広くユーザーエクスペリエンスデザインに関するテーマで勉強会やイベントなどを行う有志団体です。コンセントの坂田がメンバーの一人として運営に携わっています。
http://uxtokyo.jp/


◆ Design dot BEENOS


「Startup Studio」をテーマに、エンジニアリング・デザイン・マーケティング・マネジメント・データ分析に関する知識、そして起業に関する実績を持つスペシャリスト集団BEENOSのデザインチームが立ち上げたデザインコミュニティ。イベントの開催やライブラリの提供など。コンセントの坂田が企画・運営などをサポートしています。
http://design.beenos.com/


◆ Lean Startup Machine


Lean Startup Machineは世界的に有名な、アントレプレナーシップ(起業家精神)ワークショップで、世界40の都市で110を超えるワークショップが開催されています。新しいプロダクトやサービスのアイディアを検証するためにリーンスタートアップの原理原則を取り入れ、そのメソッドをしっかり身につけることができるプログラムです。コンセントの坂田がLean Startup Machine東京のメンターを務めています。
https://www.leanstartupmachine.com/


◆ Lean UX Circle


「書籍『Lean UX』を起点に、同書の監修者であるコンセント坂田などが発起人となって立ち上げ、日本でLean UXを実践・普及させる活動を行っています。運営や場所を固定せずにメンバーのアイデアによって毎回のイベントなどを企画しています。
http://twitter.com/leanuxcircle


◆ 日本パブリックリレーションズ協会


日本におけるPRの啓発、普及を目的に、広報・PRに深い関心を持つ個人で構成されている団体で、PRプランナーの資格認定も行われています。PRプランナーのスキルアップと、会社や業界を超えた情報交換・親睦を目的に定期的に開催されている「PRプランナー交流会」ではセミナーやワークショップが提供されており、コンセントのサービスデザイナーでPRプランナーでもある赤羽が、この交流会の企画・運営に携わっています。また、交流会でおこなわれるワークショップの講師をコンセントのメンバーが務めることもあります。
http://pr-shikaku.prsj.or.jp/

2014.06.20

エンタープライズ情報アーキテクチャー(EIA)チームのヤマナカです。

5月13日(火)に「IA Summit 2014 Redux in Tokyo」(IAサミット報告会)を開催しましたので、その内容をご紹介します。

今年のIA Summitには、日本からコンセントのほか、株式会社リクルートライフスタイルの方も参加されたため、より突っ込んだ議論ができるよう、今回の報告会はその2社での合同開催とし、両社社員と関係者を中心としたややクローズドなスタイルの会となりました。

場所はリクルート本社セミナールーム。飲み物、食べ物を持ち寄ってリラックスした雰囲気での開催になりました。難しい話はお酒を飲みながら聞くのが丁度良いので助かります。

さて、冒頭の挨拶はコンセントの長谷川から。

(IAサミットの概要について話す長谷川)

今年でIA Summitの開催は15回目になるそうです。毎回北米で場所を変えながら開催されているIA Summitは、今年はカリフォルニア州サンディエゴにて、2014年3月26日〜30日の5日間にわたり開催されました。西海岸に位置するサンディエゴは温暖な気候で、市内にはパンダもいる有名な動物園があるとのこと。過ごしやすくいい場所みたいですね。

IA Summitは、前半の2日間がワークショップ、後半の3日間がカンファレンスという構成でカンファレンス期間中は基調講演、3トラックのパラレルセッションやフレックストラックが行われた模様。

その他にもヨガやカラオケナイト、ゲームナイトなどのレクレーション的なイベントもたくさんあったそうです。セッションだけだと息が詰まるので、こういうのは大事ですよね。

今年の参加人数は500人ほどで、北米からが6〜7割程度、残りがヨーロッパからの参加のようです。日本からはリクルートライフスタイル社、コンセント社から4名、その他数名が参加し、ほかにも現地に駐在している数名の日本人の方もいらしたとのこと。

さて、そのなかで今回は個人的に興味があった基調講演部分をメインで紹介します。

IA Summit最初のプログラムである基調講演は、Netscape、Yahoo!、Googleのデザイン・UXの責任者を歴任し、現在はヨガインストラクターをしているという変わった経歴の持ち主であるIrene Au氏によるもの。朝から参加者全員で椅子の上でできるヨガのポーズを取ったりしながら…と、変わった内容だったようです。

講演内容はというと、キャリアパスに関する話で、主に3つのポイントで話されたということ。

1点目は「“ブリッジビルダー”として職能が異なる人との関係性を良好に保つこと。そして様々な人と繋がることを文化として自分のなかで浸透させること。」

要するに、「自分の範囲や殻に閉じこもって仕事をしていても、しょうがないですよね。」(と理解しました)ということらしい。

まあ、でも日本では当然のように求められる能力だとは思うので、さほど驚きはないですが、むしろアメリカなどは専門性を重要視しそうなので、意外だなーという印象。

2点目は「足元を見ていまある現状をただ良くしようとするのではなく、俯瞰して観察し、未来をつくるように心掛けること。」

これは言葉にするのは簡単ですが、実行するのと、その視点を持てるのが難しいと個人的に思います。僕はこれが大事と気づくのに、働き始めてから5年ぐらいかかりました。

3点目は「常に初心に戻り、すべてが新しいと認識すること。初心に戻ることで、私はこれだけやった、という見栄やゴールを設定することなく、常に前進することができる。」

これも僕はキャリアを積んで気付いたのですが、働き続けるというなかで非常に大事なことだと個人的に思っていることです。同じ仕事をしていても、常に新しい目で見ることは大事だなと常々思います。まあ、これも実行は難しいですけどね。

(基調講演について説明するコンセント坂田)

(基調講演について説明するコンセント坂田)

上記をまとめた締めの内容は、なんとなく達観し過ぎで浮世離れしていて、「ああ、ヨガの世界」という感じがしましたが、全般的にとても共感できる内容でした。思うに、アメリカでもこのITの世界では、狭い領域での専門性(スペシャリスト)ではなく、ある程度の専門性を持ったジェネラリストが求められているのではないか?と感じた内容でした。

スケールは違いすぎますが、デザイナーからキャリアをスタートしさまざまな経験をしてきた自分にとっては、とても親近感が湧く内容でした。

個人的には「その3つのレッスンの内容、働き始めた最初からわかっていたんですか?今になって気づいたんですか?」というのがすごく気になるのと、「なんで、今、ヨガインストラクターやっているの?」というツッコミを誰もしないみたいなので、僕もスルーします。

IA Summit最終日の最後のセッション「Closing Plenary」は、IAコミュニティではお馴染みのPeter Morville氏によるもの。彼は15年連続でIA Summitに参加しているとのこと。皆勤賞ですね。スゴイ。

Closing Plenaryは若干概念的かつコミュニティを自省するような内容なので、詳しくは省いちゃいます(!)が、印象的だったのは「我々は情報を設計するのは得意だけど、自分自身を設計するのは苦手だよね。」というような内容があったということで、先ほどのキャリアパスの話にもつながっていて興味深いと感じました。

続いて簡単に個別のパラレルセッションの内容紹介。
今年は3本のパラレルセッション+フレックストラックの構成で行われたそうです。

3つのパラレルセッションの内訳は、トラックAが実例などの実践的なHow-toで、トラックBがフレームワークなどの概念的な内容、トラックCが組織やチーム編成的な内容、というラインでの分類。

個人的にはB及びCに興味がありますが、まずはトラックA。

いろいろ紹介の話をききましたが、特に目新しくはなく、「そりゃそうだ、がんばろう」的な感じなので、割愛します。(内容を紹介してくれた方、スイマセン)

その流れでポスターセッションでコンセントが発表してきたものについても紹介。
モバイルUI設計プロトタイプツール「Handmock(ハンモック)」というのがそれ。Handmockはモバイル用のペーパープロトタイピングができるツールで、独特な形状の付箋紙や付属品で構成されているものですが、ポスター発表を見に来た多くの人は、そのツールの一部である3Dプリンターで作成したスマホ筐体モックにも興味をもったようです…。

報告会後にHandmockを囲んで

(報告会後にHandmockを囲んで)

コンセントのHandmockに関するポスター

コンセントラボ|Handmock(旧名: CHIKUWA)に関する記事

続いてトラックBの話。
個人的に今回のセッションメニューでも興味のあったLOD(Linked Open Data)の話とウェアラブルデバイスの話がこのトラック。

まずは、LODの話。
BBCで行われた音楽情報の配信に関するLOD活用事例的な話。
組織的な取り組みの話なのかなーと思いましたが、結論からいうと、会社で取り組んだというよりも、個人の頑張りで実現しました的な内容で、BBCが積極的にLODに取り組んでいる…とは言えないのかなと思い、少し残念。そして、やっぱりわかりにくいね、LODって感じです。

続いて「Responsive Information Architectures」という内容の話。
タイトルが流行り言葉を意識している風で気になりますが、昨年のIA Summitで提示されたIAモデルを拡張した話のようです。Ontology(オントロジー)から、どのようにQualia(クオリア)が形成されるのかというのは、興味深いですね。

ウェアラブルデバイスの話は、「情報」「デバイス」「人」という3つの関係性とかの話を期待していたのですが、ウェアラブルデバイスを扱う上でのデザインルールの話でした。主に4つのルールが提示されたようです。
・「Intent (ちゃんと計画しよう)」
・「Immersion (熱中できるようにしよう)」
・「Immediacy(即時性が必要です)」
・「Intimacy(親しみやすさ)」
全部、頭文字が「I」で揃っていたのに後で気が付きましたが、内容的には、「それ、ウェラブルでなくてもそうだよね?」的な感じで、もう少し精査する必要があるのでは?と思っています。

最後にトラックCの話。
教育の話、クライアントとの付き合い方の話などプロジェクト実行時にリアルにぶつかる壁の乗り越え方や注意点の話でしたが、日本という文化を加味すると「どうなのか」という内容も多い印象。

その中で徒弟制度の話が興味深かったので軽く触れます。
「UXデザイナー不足を解消するための実際的なApprenticeship(徒弟制度)の紹介」ということで、徒弟制度のアーキテクチャに触れています。「1人あたり13人のメンターをつけ、12週間で25のメソッドを教え、252時間のフェイス・トゥ・フェイスのメンターシップを実施」などちゃんと数値化しているのがいいですね。「Apprenticeship」ということで、「Internship」との違いや「Mentorship」との関係性などから、徒弟制度の重要性を説明する内容。

徒弟制度そのものは、日本にも文化があったはずなのに、最近の日本企業では失われつつあるものを、海外では数値化して見なおしているところがとても興味深いです。
個人的にも昨今のWebの業界で、経験不足のデザイナーやIA、PMが多いのは、この徒弟制度的なものが失われつつあるからなのでは?と思っています。

そんなこんなで、お酒もいい感じですすんで酔いがまわってきたのもあり、最後の方はよく覚えていないので、詳しく知りたい方は基調講演を含め、ほぼすべてのスライドがMedium上で公開されていますので、そちらをご覧いただければと思います。

All the slides (and more) from IASummit 2014|Medium

最後に、来年のIASummit 2015は、アメリカのミネアポリスで2015年4月22日〜26日に開催されるそうです。コンセントからも例年通り参加する予定ですが、開催日がいつもと違って日本の期末ではないので、日本からも行きやすいですね!!これは地味に嬉しい。

参加を考えている方は下記の最新情報をチェックしてください。

IASummit2015

2014.05.23

※本コラムは、長谷川のブログ「underconcept」からの転載です。

ユーザー体験(ユーザーエクスペリエンス/User Experience: UX)という言葉が広く聞かれるようになってきた。半ばバズワードのように、特にウェブデザインやマーケティングの記事などの中では、この言葉を見ない日はない。しかしながら、多くの場合、UXという言葉の真意や可能性を取り違えてしまっている。本稿では、いくつかの観点からUXの本質を考えてみる。


1.UI/UXという誤用


■1.1. UIとUX

まず、多くの記事や講演などで見られる「UI/UX」という表現からとりあげてみたい。

UI/UXとは、もちろん、User Interface / User Experience(ユーザーインターフェイス/ユーザーエクスペリエンス)の省略形であるが、多くの記事などで「すぐれたUI/UXデザイン事例」、「UI/UX講座」などの表現が用いられている。

「ユーザー」という共通項があるため、共通でくくってしまっているわけだが、実はこの表現によっていくつかの観点で誤解が生まれている。

そもそも、UIとは、利用者とシステムとで情報などをやりとりするための「接点」のことであり、より対象を明確にして、HMI(ヒューマンマシンインターフェイス/Human Machine Interface)と記述されることもある。また、ウェブなどの画面インターフェイスについては、GUI(グラフィカルユーザーインターフェイス/Graphical User Interface)と記述されることもある。

これに対して、UXとは「ユーザーが何を体験するか」の観点のことを指し、ユーザーに与えられる結果を問題にしている。

同じユーザー観点ではありながら、UIとは機能のことを指し、UXとは結果のことを指しているという点が大きな違いとなる。
この「ユーザーが得られる結果」の観点を考えたとき、一番大きなポイントは「ユーザーが受ける経験はUIによるものだけではない」という点である。

これはある意味当然のことであり、そもそも多くの場合人はUIを使いたいがためにそのシステムを使うのではなく、そのシステムを使う目的の遂行のためにUIを使っている。

UXの定義として一つの指針となるものとして「UX白書」が挙げられるが、ここでのUXの定義を紹介する(図1)。

図1:UX白書によるUXの要素

 

UX白書(有志団体hcdvalueによる日本語翻訳版)
http://site.hcdvalue.org/docs

原著(UX White Paper)
http://www.allaboutux.org/uxwhitepaper

この図では、UXの構成要素として、予期的・一時的・エピソード的・累積的の4つを挙げている。
たとえば店舗での体験、製品を利用する体験など、コンピュータを使ったシステムに限らず、この4つの観点は成立する。

いわゆる「UI」は、この図でいうところの「一時的UX」を構成する要素であり、むしろUXを規定する要素としては、「そのサービスがそもそもなにができるのか」といった期待であるとか、「サービスによって実現できたこと」という結果の要因も大きい。

たとえば、ECサイトでのUXを考えたとき、操作による体験要素はもちろんあるが、商品在庫がどの程度充実しているのか、価格は安いのか、支払いは信頼できるのか、配送はスムーズか、といった点もそのECサイトを評価するための要因となる。

 

■1.2. 全体的アプローチとしてのUX

UXを語るとき、よく全体的な(Holistic)アプローチをとる必要がある、という言い方がされる。
その意味は、あるシステムやサービスのUXを議論する際には、要素がどうなっているかではなく、結果としてどのような体験を与えるかという観点で、システム側の事情はすべて無視して領域横断的にとらえる必要がある、というである。

極論であるが、先ほどのECサイトでのUXを例にとると、たとえば注文から数分で届くECサービスがあったとすると、このサービスのUIがどのようなものであろうとも、また、たとえ手数料が高くても、利用したい人は使うであろう(注)。
このサービスでは、ECという「オンラインサイトでものを買うことができる」ことは他のサービスといっしょであっても、「圧倒的に速く届く」という点においては、ユーザーは他では味わえない体験を得ることができるといえる。

註:本稿執筆中に米AmazonがAmazon Prime Airという小型無人飛行機で30分で配送するサービスの構想を発表した。
http://www.amazon.com/b?ie=UTF8&node=8037720011

このことは、このサービスの提供価値(Value Propositon)が即時性にあるから、という表現することができる。
提供価値がずば抜けていればUIをはじめとする他の要素は劣っていても優れたUXを与えることができるといえる。

逆に言えば、多くのオンラインサービスにおいては、機能や特性が横並びになってしまっているために、UI部分の改善によって差別化を図ろうとするケースが多いケースがよく見られる。
このこと自体は間違っているわけではないが、UIの改善によって解決できる課題・与えられる価値は限定されており、大局的に見てUI改善が最優先となる課題なのか、他の課題も含めた全体的視点においてどこに位置づけられるのかは常に意識しなければならい。
(もっとも、後述するが、UI改善自体は昨今課題化するまでもなく、常時改善を続けなければならない事項の一つとなっている。)

ユーザーのシステムやサービスへの接点という意味では、実は接客や梱包、コールセンターなども「インターフェイス」となるが、これらをユーザーインターフェイスとはあまり呼ばないだろう。
実際、後述するサービスデザインの文脈では、これらの接点のことを「タッチポイント」(あるいは状況によっては「チャネル」)と呼ぶ。

また、すでにこの「ユーザー」は単なるシステム利用者の範疇を超えてしまっている、という考えから、ユーザーエクスペリエンスではなく、カスタマーエクスペリエンス(Customer Experience: CX/顧客体験)という言い方がされることもある。
これらの混合を避けて、肩書きなどでは単なるExperience Designerと表現されることも多い。
しかしながら、UXを向上させる、という文脈でのUX、CXの使い分けは現在のところあまり厳密ではなく、世界的にもどちらの用語を使ってもほぼ同じ意味を指すと考えてよい。

 

■1.3. UI/UXという表記の弊害

いずれにせよ、UIはUXを構成する一要素であることが見えてきた。
では、なぜUIとUXを併記してはならないのか。

それは、UI/UXと書いてしまうことによって、UXという課題提起がUIの延長線上にあるように認識してしまうからである。
優れたUXの提供、あるいはUXの改善においては、UIだけを検討すればよいわけではなく、もっと幅広く課題を捉える必要があり、そのためには画面デザインの担当部署だけでなく、ユーザーに関係するすべての部門が巻き込まれる必要がある。

UIについては、担当部門が責任を持つ、ということは可能だが、UXについては問題意識を持つ部門があることは必要だが、その解決には複数部門を巻き込んだアプローチが必要であり、少なくとも画面設計のパートだけでは解決は難しい。

すぐれたUXの実現のためには、プロジェクト全体で取り組む必要があり、グローバルに見てもその傾向は強まっている。
それが、UI/UXという表現によって課題意識を狭めてしまうのだ。

 

■1.4. UIがUXを規定するケース

もちろん、オンラインサービスなど、ユーザーとの接点がUIに限定されているシステムにおいては、UIがUXを規定する大きな要素となっているケースもある。

たとえば、Twitterは「タイムライン」というエポックメーキングなUIを生み出した。
いまでは一般化しているタイムラインは、機能としては自分が購読している他者のフィードなどを時系列に並べたものであるが、その斬新であったところは「すべてを読み切れないことを肯定する」思想にある。
Twitterにおいては、他者をフォローすることで、その相手のつぶやき(Tweet)を自分のタイムライン上で閲覧することができるが、一般にTwitterの真骨頂は、少なくとも100人以上をフォローしないと体験できないと言われている(まあ、いまさらTwitterかよ、という指摘はこの際置いておいて)。
数人をフォローするだけであればタイムラインはほぼ複数人でのチャットウインドウのように機能するが、数百人レベルでフォローをすると、タイムラインはそれこそ時間の経過を表すかのように流れていく。

この状態は、ある程度ずっと閲覧している間は追うことができるが、しばらく目を離したりすればもうすべて追うことは無理だとわかる。
メールシステムも破綻していると言われて久しいが、メーラーは未だに数万件の未読件数を表示し続けるのに対して、Twitterはそんな野暮なことはせず、最新の投稿を追わせるインターフェイスを提供する。

そして、TwitterのこのUIは、その結果、「すべて見ることは無理だから、見られるときだけ見よう」という態度を生み出した。
重要な(または面白い)Tweetを見逃してしまう、という恐怖があったとしても、Twitterを使っていると、「自分に響きそうなTweetは誰かがRT(Retweet)してくれるので、結果的に自分の目に入る」ことがわかる。

この結果、TwitterのUIは「タイムライン的な情報とのつきあい方」という新しいUXを生み出したといえる。
Facebookをはじめとする他のSNSなどのサービスも、いまではこぞってタイムラインUIを導入している。
ここまで影響を及ぼすものであればUIがUXを規定しているということができるだろう。
(余談となるが、このTwitterでさえ、UXの構成要素はUIだけではない。Twitterの本質的価値は実は、非対称に相手をフォローすることができる、というTwitterのアーキテクチャ上の特性によって、一対多の関係性が築きやすくなり、個人が簡単にマスメディアに並ぶレベルの情報発信者となりうることに依っている。)

しかしながら、一般には「単に操作感が心地よいUI」のことを「優れたUXを提供」と呼んでしまっている状況が多く見られる。
確かに、UXは利用者の感覚的な側面を重視するが、とはいえ上記のようなUIであれば、「気持ちのよいUI」と呼べばよいのであってあえてUXという言い方を用いる必要はない。

強いていえば、一つのデバイス上のシステムの範疇を超えた、たとえば複数デバイスの連携や外部機器の接続などを考慮している場合はUIよりもUXという考え方が適しているといえるが、いずれにしても単に画面UIの話ではないことは自明である。

 

■1.5. UIに対しての慣れの側面

UIには慣れの側面もある。
初めて使うときに美しかったり気持ちよく感じるUIでも、毎日使っているとその演出がうっとうしく感じるられることがある。
また、逆に、取っつきにくいUIであっても、熟練すると快適に感じられるものもある。

主にオンラインサービスなどの場合は、初めて使うユーザーが常に多数いることが想定されるために、UIを初心者でも直感的に理解できて、ある程度の操作教示(インストラクション)を内包しているUIが適切となることが多い。
しかしながら、ヘビーユーザーが日常的に操作することを想定すると、そういったインターフェイスではまどろっこしかったり、使用に耐えないと判断されることが多い。

月に一度程度しか使わないものであれば、「だいたい操作のイメージは沸くが、具体的な操作手順はいちいち覚えていない」というものもあるだろう。

このように、ユーザーはUI操作を学ぶものであり、初期リテラシーの違いこそあれ、日常的に使うUIなのであれば、この繰り返し利用された結果としての状況までを考慮する必要がある。

ある程度頻繁に使うものでも、サービス自体が変化していくようなものであれば、利用者の想定しているUI体系と新しいUIとのギャップを補うような設計も必要となる。

こういった考慮は、システムやサービスの特性によって大きく異なってくるが、これは「UXの観点でUIを見直す」ということになるだろう。

以上、まずUI/UXという表現を見ながら、UXとはなにかを考えてみた。
次にビジネスの視点から、なぜいまUXが注目されているかを考えてみる。


2.「サービス・ドミナント・ロジック」という時代背景


■2.1. 「顧客の時代」の到来

UXという言葉は90年代からデザインの分野ではよく使われてきていた。
それがどうしていま重要視されているのか。

図2は、2011年のService Design Network Global Conferenceの基調講演にて提示された時代背景を表す年表である。

図2:「顧客」の時代
Kerry Bodine, Service Design Network Conference 2011 基調講演より (日本語訳は筆者)

 

時代のそれぞれの段階により、産業において重視されてきた要素は変化してきている。

インターネットの普及によって顧客は「自分に合わせたもの」を選択すること容易になり、それを供給するためのニッチな事業を行う、いわゆる「ロングテール型」ビジネスも同時に普及し、社会は「顧客の時代」を迎えている。

こういった時代背景に伴い、特に製造業企業が事業の「サービス化」を図っている。
一般的にわかりやすいのは、AppleのiPodであろう。Appleは初期からDonald NormanによるUser Experience Labなどの活動によって、顧客体験を重視してきていたが、iPodは製品に先立ち、iTunesという「音楽を管理し楽しむため」のソフトウェアを用意し無償で配布を行った。
これによって、iPodを購入した顧客はCDから音楽を取り入れてiPodに移し、音楽を楽しみやすくなった。その後もAppleはiTunes Store(当初はiTunes Music Store)の開設により、CDからではなく直接音楽を購入できるようになった。
Appleは単にiPodという製品を販売するのではなく、「音楽を楽しむ生活」をサービスとして提供し、そしてそれが顧客に評価されてビジネスとしても成功しているのである。

 

■2.2. サービス・ドミナント・ロジックとグッズ・ドミナント・ロジック

こういった、事業のサービス化は、組織の「サービス・ドミナント・ロジック(Service Dominant Logic: S-Dロジック)」化と呼ばれている。

S-Dロジックは 、「グッズ・ドミナント・ロジック(Goods Dominant Logic: G-Dロジック)」と対比して語られる(図3)。

図3:サービス・ドミナント・ロジックとグッズ・ドミナント・ロジック

 

従来の「ものを作って販売する」という形のG-Dロジック(この場合のものには、サービスというものも含まれる)に対して、企業が顧客に提供するものはすべてサービスであり、すべての企業活動はそのサービスを最適化するためにある、とする考え方がS-Dロジックである。

このS-Dロジックは、これまで「顧客第一主義」といったような言い方で、マーケティングの原則とされてきていた。
しかしながら、これまでと大きく違うのは、ビジネス自体を顧客へのサービスによって成立させるという点となる。

これまでは、顧客第一と言いながらも、ビジネスは「販売」をその形態としていた。
このために、顧客へ最適なサービスを提供しようにも、顧客接点が販売チャネルのみとなってしまい、結局は価格競争に陥ってしまうという、事業者にも顧客にも望まれていない状況を生み出していた。

S-Dロジックでは、そもそも販売モデルでのビジネス形態から、サービス自体でのビジネスに観点を変える。
これは、ソフトウェアにおける、従来のパッケージ販売モデルとDropBoxやEvernoteなどの「初期利用は無償、ヘビーユーザーは課金」というモデル(フリーミアム(Freemium)と呼ばれる)とを比べるとわかりやすい。

DropBoxにしてもEvernoteにしても、ユーザーが実際にサービスを体験し、その体験の質(UXの質)に納得がいけば利用費用を支払う、というモデルになっている。
かつ、重要なのは両社ともそのモデルにて自社のビジネスが成立してるという点だ。

従来、初期費用を無償にしたり、顧客サービスの充実はキャンペーン的に実施されることが多く、結局は購入によってビジネスは成立させる、という現状があった。
これが、S-Dロジックに基づくビジネスでは、体験価値は「付加」価値ではなく、あくまで事業の本質的な価値であり、事業者とサービス利用者とがどのような関係をもっていくか、までが事業者の課題となるのである。

すでに明らかなように、このS-Dロジックにおいて、中心的な役割を持つのがUXとなる。
S-Dロジックにおいては、すぐれたUXの実現は事業の成否を決める鍵となる。
多くの事業体では、これからの企業の生き残りのためにはS-Dロジックへの移行が必要であると捉えられており、このために各社でのUX実現の方策を探求している。

事業のS-Dロジック化によって、従来デザインの一付加価値と捉えられがちであったUXは、いまや事業の根幹をなすものとみなされるようになった。

こういった位置づけでUXを考えると、単に顧客のため、という視点だけでなく、どのようにビジネスに反映できるのか、自社事業の優位性を活かしたUXはなんなのか、という側面からもUXを考え直すことができるであろう。


3.まとめ


以上、UI/UXという表現、サービス・ドミナント・ロジックという二つの観点からUXについて考えてみた。
単にUXという言葉をとらえると、もちろんいいにこしたことはない、努力目標のようなものとして扱われがちである。

しかし、組織を横断して、そしてビジネスを変えうるものであるという視点でとらえると、単によくしていけばよい、というものではなく、しっかりとした戦略を持ち、具体的に実現していくことが必要であることが理解できるであろう。

 

執筆:長谷川敦士(コンセント代表/インフォメーションアーキテクト)

2014.05.02

2013年にローゼンフェルドメディアから出版された『Service Design From Insight to Implementation』の日本語版が、4月30日に『サービスデザイン ユーザーエクスペリエンスから事業戦略をデザインする』(丸善出版)として刊行されました。

ビジネス視点と顧客視点の両方から事業全体をリフレームするのがサービスデザイン。本書ではそのための理論や手法、実践例が解説されています。企画段階から調査、プロトタイピング、計測といったところまでがストーリーとして扱われており、具体的な流れを理解するのに役立つような章立てとなっています。

この日本語版の刊行にあたっては、メンバーの一人として、コンセントのプロデューサー/サービスデザイナーである赤羽太郎も翻訳に参加しました。また、監訳は、コンセント代表取締役/インフォメーションアーキテクトで、Service Design Network日本支部共同代表でもある長谷川敦士が務め、監訳者序文も寄せています。

書籍情報

■書名:『サービスデザイン ユーザーエクスペリエンスから事業戦略をデザインする』
■著者:Andy Polaine, Lavrans Lvlie, Ben Reason
■監訳:長谷川敦士
■翻訳:青木博信、赤羽太郎、上野裕樹、内山誠彦、周治貴伸、谷真裕、野澤紘子、吉岡典子、脇阪善則
■監修:UX TOKYO
■出版社:丸善出版株式会社
■版型:A5判/260ページ
■ISBN:978-4-621-08818-0
■定価:2,400円(本体 2,400円+税)
■刊行:2014年4月30日

出版元 丸善出版サイト内のオフィシャルページ
『サービスデザイン ユーザーエクスペリエンスから事業戦略をデザインする』のご購入
監訳者 長谷川敦士プロフィール|役員略歴
⇒ 翻訳者 赤羽太郎プロフィール|サストコ

2014.04.24

こんにちは。デザイナーの山口陽一郎です。

去る2014年2月19日(水)に、株式会社パソナテック様主催のセミナー「クリエイターのためのトーン&マナー設計」にて登壇させていただきました。

 

皆さんは「トーン&マナー」という言葉を耳にしたことがありますか?「トンマナ」と略されることの方が多いかもしれません。その説明の前に、ちょっと寄り道をさせてください。

 


■デザインのふたつの役割とトーン&マナーの演出


デザインには大きく分けてふたつの役割があります。

1. 機能性を高める

これはユーザーにとって製品をより使いやすくしたり、誤操作の危険をなくしたり、迷わないようにサポートするための役割です。
そしてもうひとつが今回のセミナーのテーマとしてとりあげた、

2. トーン&マナーの演出

です。製品に、それが使われる場にふさわしい属性・キャラクターを付与する役割です。

たとえばレジャーグッズなら「楽しさを想起させるトーン&マナー」が、医療機器なら「安心感と誠実さを感じさせるトーン&マナー」が必要とされます。

ここで重要なのが、機能性を高めるためのデザインには、全体を通してぶれがない、堅牢な「ルール」です(交通標識のピクトグラムが場所によって違っていたら困りますよね)。

これに対してトーン&マナーの演出はもう少し融通が利きます。目的はユーザーにイメージを想起させることなので、あまりにガチガチのルールで表現を縛ると、イメージの豊かさが奪われ、その製品の価値が伝わりません。大きなテーマを決めたら、あとは場合によって適切な表現をその都度選んでいくことが求められます。これはまさに「ルール」に対する「マナー」という、言葉の違いをそのまま反映しています。

話をもとに戻し、「トーン&マナー」という言葉についてですが、その定義は人によって異なります。ただ今回のセミナーはwebサイト構築を前提としたものであったため、
「トーン&マナー:Webサイトがもつデザインの属性・キャラクター
と定義し、トーン&マナー設計とはつまり、
「サイトの目的にふさわしい属性・キャラクターづくり」
なのだという前置きを設けた上で話を進めていきました。

 


■なぜトーン&マナーが必要か?


セミナーは
・トーン&マナーがなぜ必要なのか
・設計の手助けをしてくれるツールや思考法
・どうやって定義するのか
・デザインに落とし込んでいく際の方法
・日常の中にあるトーン&マナー設計
という構成で行いました。

そもそも、なぜトーン&マナーが必要なのか。

コンビニの棚を想像してもらえるとわかりやすいのですが、そこに並んでいる商品はいかにもそれらしいパッケージに包まれています。コーヒーは上品さや重厚感を、缶ビールは爽快感や豊かさを、冷凍食品は暖かみやみずみずしさを想起させてくれます。

仮にそれらの商品がすべてグレー一色のパッケージに包まれているとしたらどうでしょう? とても買い物をする気は起きないと思います。
上記は極端な例ですが、製品の価値にふさわしい属性・キャラクターを付与することはとても重要です。あえてざっくりとした言葉で表現するならば、製品に「らしさ」を与えることで、その魅力は何倍にもなり、記憶にも残ります。

たとえば
・アップルらしさ
・無印良品らしさ
・阪神タイガースらしさ
・矢沢永吉らしさ
これらを思い浮かべたとき、香りのように感じられる「らしさ」があると思います。それが、トーン&マナーの正体です。

上記のようにエンドユーザーに向けた役割は、当然もっとも大事なのですが、トーン&マナー設計を行うことはプロジェクトチームにおいても重要です。デザイナー以外のメンバーが、「デザインでなにを表現するべきか」をしっかり認識していると、プロジェクトの始まりから終わりまで、クライアントも含めた全員で同じゴールをイメージし続けることができます。逆にこれを行わないと、レビューのたびにデザインの方向性が変わってしまい、発言力のある人の思いつきだけがプロジェクトを支配する恐れがあります。やがてWebサイトは増改築を繰り返した「家」のような、もしくはテレビゲームに登場するキメラのような、いびつで中途半端なものになってしまうのです。

 


■トーン&マナーを定義する方法


セミナー中盤からは、トーン&マナーを定義する際に用いる方法についても、いくつかの実例をあげながら触れていきました。とはいえ特殊な技能を必要とするものはありません。大きく分けると以下のようなフローになります。

1. 商品の、あるいは企業・サービスの価値を洗い出す

2. 1で判明した価値を、より適切に表現するシンプルな言葉を導き出す

3. 2の言葉にふさわしいレイアウト/色/フォントなど、具体的なデザインの諸要素を選んでいく

実際の行程を見ないとリアリティがないため、セミナーでは架空の栄養補助サプリメントを例に、1から3までの流れを再現してみました。

特に大事なのは2ですが、例えば国産の自然栽培原料が商品の売りだとするならば、そこから
・安全・安心感
・ナチュラル感
・上質さ
などのコンセプトワードを導き出すことができます。

また、粒状のサプリメントで手軽に摂取できることが商品の特徴であるあらば、
・親しみやすさ
・カジュアルさ
なども重要なキャラクターとして浮上してきます。

これらの言葉をレイアウト/色/フォントなどといったデザインを構成する個々の要素に変換していくのですが、最初から「これだ!」という正解を探しにいくのは心理的な負担も大きく、冷静な判断が難しくなります。そのため、たとえばフォント選びであれば、あらゆるフォントを並べてコンセプトワードと照らし合わせながら「これは違うな」というものを除いていく方が早くゴールに辿り着ける場合が多いです。

セミナーでは、最終的にひとつのデザイン案にまとめるところまでをお見せしながらこれらの説明を行いました。

 


■デザイナーに求められること


トーン&マナー設計という言葉は、そのふわりとした言葉の印象のためか、ともするとデザイナーに限定された専門領域に思われがちですが、それは間違いです。
たとえば、友人にプレゼントを贈るときには、その友人の性格を考え、渡す場所・時間などといった文脈を考えたうえで、もっともふさわしいものを誰もが選びます。
ホームパーティーの料理を考えるときには、味だけでなく「楽しさ」「驚き」「一体感」といったものも判断の基準になるでしょう。

つまりトーン&マナー設計とは、クリエイティブの現場に限らず、誰もが日常の中で行っていることなのです。
デザイナーに求められるのは、その日常的な思考を個人の中に留めず、クライアントやプロジェクトメンバーと共有できるように言語化・可視化する役割です。
日々の出来事においても、ほんの少しそこに注意を傾けてみれば、さまざまな発見が得られるかもしれません。

 

 

【関連リンク】
山口陽一郎プロフィール
パソナテック様セミナー「クリエイターのためのトーン&マナー設計について」登壇のお知らせ
セミナーレポート|キャラクターをかたち作る“トーン&マナー”の必要性とは?(パソナテック様「エンジニアカフェブログ」にリンクします)

2014.02.27

去る2/26、来日中の米LUXrのJanice Fraser、Jason Fraserと、コンセント代表/インフォメーションアーキテクト 長谷川敦士、取締役/プロデューサー 塩崎賢一郎、UXアーキテクト 坂田一倫とで、日本におけるLean UXについての議論を行いました。

LUXrは、Adaptive Pathのファウンダーおよび初代CEOでもあるJaniceが率いる、スタートアップ向けにLean UXの実現を支援している、サンフランシスコを拠点とした、大変ユニークな会社です。

コンセントでは、現在企業向けにサービスデザインプログラムとして、新規事業立ち上げやサービス開発の支援を行っています。そういった背景もあり、2013年夏に彼らのサンフランシスコのオフィスを訪問し、日米のLean UX界隈の状況について、情報交換や議論を行っています。

LUXrとコンセントの2社で議論になったのは、サービスデザインとLean UXとの関係性。

コンセントでは、国際組織Service Design Network(SDN)の日本支部の共同代表を長谷川が務めており、また、書籍『Lean UX――リーン思考によるユーザエクスペリエンス・デザイン』の監訳を坂田が行うなど、サービスデザインとLean UXの双方について、その役割と重要性を認識しています。

しかしながら、どちらも「顧客の体験をもとにビジネスを構築する」という意味において、手法や活動などに共通する点も多く、このあたりについて米国での状況と、LUXrとしてどのようにとらえているか、意見交換を行いました。

そこから見えてきたポイントは、ルーツの違い(サービスデザインは「デザイン」、Lean UXは「Lean Startup」)に由来する、関心を持っている層の違いが大きいのではないかという点でした。

実際に、プロジェクトの現場では、ちょっとややこしい言い方になりますが、「サービスデザインの考え方での事業変革を、Lean UXのマインドセットにしたがって実施する」ということが行われています。

これからますます両者の重要性は高まってくると考えられ、今後のコミュニティやカンファレンスでのテーマ設定などにおいてこの観点と差別化、類似性の認識は必要になってくると言えます。

コンセントでは、日本におけるLean UXおよびサービスデザインの普及と啓蒙に取り組んでいます。

この内容にご興味を持たれた方、取り組みに参加したい方はぜひご連絡ください。

 

執筆:長谷川敦士(コンセント代表/インフォメーションアーキテクト)

 

【関連リンク】
LUXr
Service Design Network
SDN Japan Chapter 公式Facebook
書籍『Lean UX――リーン思考によるユーザエクスペリエンス・デザイン』紹介ページ
LUXr社訪問レポート|サストコ コンセント世界行脚「HCD-Net Tour in San Francisco」

2014.02.27

本コラムは、HCD-Net(人間中心設計推進機構)の理事も務めるコンセント代表/インフォメーションアーキテクト長谷川が、コンセントのグループ会社向けのメディアに書いたコラムの転載です。一部、編集して掲載します。

HCDとは何か、またHCD-Netがどんな活動をしているのか、興味はあっても今さら聞きづらい、というようなことをご紹介しています。


■ 「人間中心設計」という概念


HCD-Net(正式名称「特定非営利活動法人 人間中心設計推進機構」)は、「人間中心設計(Human Centered Design: HCD)」という概念を啓蒙・普及させることを目的とした団体です。

HCD-Net ミッションステートメント
http://www.hcdnet.org/organization/

HCD-Netは、HCDに関する学際的な知識を集め、産学を超えた人間尊重の英知を束ね、HCD導入に関する様々な知識や方法を適切に提供することで、多くの人々が便利に快適に暮らせる社会づくりに貢献します。あわせて経済の発展への寄与と、豊かでストレスのない実りある社会の実現をめざします。

この人間中心設計(HCD)というものは、もともとは、デバイスのユーザーインターフェイス(UI)などの「インタラクティブシステム(利用者との相互作用があるしくみ)」の操作をよりよくしようという目的で考え出された「プロセス」です。

どうしても、「システムの機能に利用者が合わせる」ということから抜けきれなかったUI業界で、「利用者観点でUI設計を行うにはどうすべきか」という問題意識から生まれました。

具体的には、「利用者を観察する」「行動をモデル化する」「プロトタイプをデザインする」「ちゃんと使えるか評価する」という手順をとることで、利用者のことを考えたシステムを作れるだろう、という、言ってみれば標準プロセスです。

1999年にはISO(国際標準化機構)によって、プロセス規格として制定されました。

ISO13407
http://ja.wikipedia.org/wiki/ISO_13407

そして、さらに2010年には、昨今、問題の視点がUIから、ユーザー体験(UX)に移ってきたことを受け、ISO13407はISO9241-210としてアップデートされ、その対象範囲も単なるインタラクティブシステムだけでなく、サービスを含んだものに拡張されました。

千葉工業大学 安藤先生によるISO9241-210の解説
http://www.slideshare.net/masaya0730/iso92412102010

(余談ですが、「UI」と「UX」は似たキーワードですが、「UI/UX」と混用してしまうといろいろ間違いのもとですので、気をつけてください。)

このHCDという概念は、バズワードにもなっている「デザイン思考」そのものであるともいえるもので、たとえばデザイン思考で有名なIDEOがとっている基本のアプローチもHCDプロセスです。

IDEO
http://www.ideo.com/

どうしても、ツールやサービスなどの「使うもの」前提のプロセスであるので、広報誌やコーポレートサイトといったコミュニケーションメディアの設計に使うにはひと工夫必要ですが、たとえばこれまでコンセントで培ってきた「伝わるしくみ」は、このHCDプロセスをコミュニケーションに用いるためにカスタマイズしたものであるということができます。

また、サービスの設計に使うことのできるフレームワークですので、自社のサービスの体験価値を上げて、あたらしいビジネスを模索するためにはHCDプロセスはうってつけです。

たとえば、出版社のビジネスで考えると、「本を作って売る」というのは事業側の観点で、たとえば「昨今の本の読まれ方」を観察し、テーマを読者の利用シチュエーションに合わせたり、書籍サイズを使いやすいサイズにしたりする、といったような活動が考えられるでしょう。


■ HCD-Netという団体


前述したISO13407のプロセスをより企業の製品開発やUI設計に活用させよう、という問題意識から、2005年に製品メーカーや研究者などが集まって、HCD-Netが生まれました。

HCD-Net(人間中心設計推進機構)
http://www.hcdnet.org/

インタラクティブシステム向けの規格という背景があったため、設立時は、カメラメーカーやAVメーカーなど、いわゆる「組み込み機器」と呼ばれる機器メーカーの色が濃かったのですが、当時Web技術が普及しはじめてきていたこともあり、2006年頃に私、長谷川も評議員という形で関与を始め、2007年から理事となりました。

現在は、理事が18名、会員が527人、賛助会員(企業会員)は45社となっています。
コンセントも賛助会員です。

HCD-Netは、研究事業、教育事業、広報社会化事業、開発事業、規格認定事業、国際事業の6つの事業部から構成されています。

  • 研究事業では、論文誌を発行したり、研究報告会を開催するような、いわゆる学会的な活動を行っています。
  • 教育事業では、サービスデザインや、人間中心設計の基礎、などのテーマでセミナーや法人向けレクチャーを行っています。去年開催された、サービスデザインの6回シリーズのコースは、コンセントからも何名か受講し、大変好評でした。
  • 広報社会化事業では、HCDをより広く広報したり、HCD-Net会員の視点を広げるようなイベントを開催しています。長谷川はこの広報社会化事業を担当しており、サロンイベントのプロデュースを行っています。
  • 開発事業では、新規事業の企画や企業からの委託研究などを行っています。
  • 規格認定事業では、後述する、認定人間中心設計専門家という認定制度を主催しています。
  • 国際事業では、海外のUX関係団体とのネットワーキングを担当しています。また、HCD-Netは、国際的なユーザーエクスペリエンスの団体 UXPA(User Experience Proffecional Association:旧称Usability Professional Association: UPA)の日本支部(Japan Chapter)も務めています。海外のUX業界では、その言い方のほうが通りがいいですね。

いくつか具体的な活動もご紹介します。


■ 認定人間中心設計専門家


HCD-Netが認定する専門家資格です。
HCDプロセスを実施するのに必要な専門スキル(competence)のマップに基づき、自身の過去の活動をレポートすることで専門家の申請を行います。

この制度の特徴は、単なる専門知識の評価ではなく、プロジェクト実施の経験が評価される点です。
このため、アカデミックな人ではなく、デザイナーもしくはデザインプロジェクトのプロジェクトマネージャがとることができる資格です。

現在、内閣府の電子政府ユーザビリティガイドラインという、政府が調達する官公庁サイトや行政の手続きシステム(e-Taxなど)のRFP(Request for Proposal:提案要求書)では、プロジェクトにこの認定専門家が入っていることが必須となっており、そういった目的で専門家になっている人もいます。

また、メーカーなどでは社内の人事評価のためにこの資格を用いているようなケースもあります。

現在、資格が始まって3年目ですが、274名が専門家になっており、コンセントにも現在のところ7人の専門家がいます。

ある程度の規模以上のデザインプロジェクトでは、HCDの概念はプロジェクト設計に有効です。

人間中心設計(HCD)専門家 資格認定制度
http://www.hcdnet.org/certified/


■ HCD-Netサロン


もうひとつ活動をご紹介します。
長谷川が担当している、広報社会化委員会でプロデュースしているHCD-Netサロンというイベントです。

このイベントは、HCDそのもののセミナーではなく、新領域を探索するために、HCDとそれ以外の領域との融合を模索するテーマを設定して話題提供のショートプレゼンテーション+パネルディスカッションを行っています。

広報社会化委員会のメンバーで持ち回りでテーマを設定して、月に一回のペースでイベントを開催しています。
これまでには、アドバンストデザイン、データビジュアリゼーション、ソーシャルデザイン、といったようなテーマとHCDとの関係を探るようなイベントが開催されました。

長谷川が主催する場合は、基本的にはコンセントのグループ会社で運営している多目的クリエイティブ・スペース「amu」で開催しており、これまで「ブランディングとUX」「マーケティングとUX」「サービスデザイン」「パターンランゲージ」といったようなテーマで開催しています。

ちなみに、直近では、3月に「HCDと高齢者」というテーマで開催されます。
興味を持たれた方は申し込んでみてください。

HCD-Netのイベント情報
http://www.hcdnet.org/event/

興味を持った方はぜひ活動にも参加してください。

【関連リンク】
コラム|HCDとは:使う人の観点でものを作るしくみ

2014.02.20

こんにちは。坂田です。

この度、オライリー・ジャパンから刊行された『Lean UX—リーン思考によるユーザエクスペリエンス・デザイン』の監訳を担当させていただきました。

私は普段、UXデザインの専門家として一般企業の方々とプロジェクトをご一緒させていただきながら、数々のスタートアップを支援させていただいています。Movida Japan 様主催の起業家育成プログラム「Seed Acceleration Program」の一環として開催している Lean UX ワークショップもその1つです。きっかけは、Movida Japan 様からの一通のメールでした。

「1つお願いがあります。半期ごとに選抜されたスタートアップを対象に、自社のサービスないしはプロダクトの企画段階からユーザエクスペリエンスの観点で構築ないしは検証していくためのノウハウをワークショップ形式で提供していただけないでしょうか? 彼らに一番足りないのは、ユーザー視点だと思っています。」

このメールをきっかけに、過去に3回、ワークショップを開催しています。過去のワークショップで使用したスライドは私の Slideshare でご覧いただけますが、その内容は回数を重ねるごとに改善されていることがお分かりいただけるかと思います。

Lean UX ワークショップと題したものの、初回はユーザーのコンテクスト(利用文脈)への理解、そして人間中心設計の根底にある問題解決型アプローチをリーン・スタートアップのコンセプトに取り入れたワークショップを開催しました。ところが、話が非常に概念的であることから理解された方々が少なく、それこそ彼らのコンテクストに見合った話題提供ができていなかったことが分かりました。

スライド(ワークショップ1回目):

 

2回目は原書の内容やスピーカー兼メンターを務めさせていただいた「Lean Startup Machine Tokyo」の活動を参考に、より実践的な話題提供を試みました。初回に取り上げた、人間中心設計に特化した手法やプロセスに依存しないよう、時間や資金といった前提条件が十分ではない彼らでも実践が可能なように、 Lean UX が大切にするマインドセットや各種ツールを最小限に留めました。

また、彼らが実際に検討しているサービスやプロダクトに関する情報を取り入れたサービス設計の視点を養っていただけるよう、始めに課題ステートメントと題し、提供価値の明示化を中心としたリスクと課題に関する前提の洗い出しから行いました。

スライド(ワークショップ2回目)

 

結果として自身のサービスを見直す良い機会として、少しづつではありますが自社に取り入れていただけるようになりました。前回のワークショップに参加されたスタートアップの方は、いつでも取り出せるようにと Lean UX のハンドブックを自作されたほどです。

Lean UX 手順まとめ

 

そして先月(2014年1月)、第3回目となるワークショップを開催しました。Movida Japan 様の育成プログラムも会期ごとに見直されており、今回は初回ステップであるビジネスモデル構築の次ステップとして開催する運びとなりました。

スライド(ワークショップ3回目)

 

第3回目のワークショップを開催するまでに、参加されているスタートアップの方々はまだ解決したい課題設定の確度が低く、または同時に複数の課題を解決しようと試みてしまい、ユーザーターゲットが曖昧になっているという課題に直面していることが分かりました。

そこで第3回目のワークショップではスライドでも言及されているCPS(Customer-Problem-Solution)仮説検証モデルを採用し、次にMVP(最小限実用可能なプロダクト)をどうするか? プロトタイプはどんな形式で行うべきか? 実験をできていないチームの取っ掛かりになればなと、 CPS の3つの軸で自社のサービスないしはプロダクトの前提を先ずは各人で洗い出していただきました。次に社内のメンバーで前提を共有し合うことで、前提のズレや解決したい課題の不一致、ないしはターゲットユーザーに差異が生まれ、改めて自社が向き合うべき課題とその課題を抱えているユーザーは誰か?を定めてもらいました。

たったの3時間で、彼らは自社サービスないしはプロダクトを「正しく」するためのきっかけを得ることができました。Lean UX では、「正しくモノをつくること」よりも、「正しいモノをつくること」を大事にしています。

本ワークショップで生まれた前提の差異は、ユーザーへのインタビューなどを通じて検証が重ねられ、メンバーそしてユーザーからの学びを得ることができるでしょう。一部、参加者からの声をご紹介します。

「私含めチームのもう一名のメンバーで参加させていただきました。とても良い学びだったと感じております、本当にありがとうございました!」

「本日は、長時間ありがとうございました。チームメンバーとの認識に齟齬がないか、また互いに感じているサービスの課題が共有できました。」

「本ワークショップを通じて、俯瞰的かつ具体的に自分のビジネスを捉えることが出来て、よりサービス内容を精緻化していくことが出来ました。自分の場合、これからサービスを作っていく人間ですので、大変、参考になりました!」

 


◆まとめ


 

Lean UX は、チームの「学びのエンジン」です。部門や領域横断のコラボレーションが実現されることで、特定のプロセスや手法に依存せずとも、CPS の3つの軸設定を維持することで自走しながらサービスないしはプロダクトを改善することができます。これが、品質を担保しながらプロセスの無駄を省くことを提唱しているリーン・スタートアップがルーツとなっている由来でもあります。

より良いサービスないしはユーザエクスペリエンスを提供したいという姿勢は、企業規模を問わず、変わらないと思っています。現在、邦訳版が出版されてから1ヶ月が経過しようとしていますが、本ワークショップを始め、スタートアップ主催の『Lean UX—リーン思考によるユーザエクスペリエンス・デザイン』読書会への参加、開発者向け Lean UX セッションの開催、某IT企業の中途新人向け Lean UX研修の実施、某IT企業の新規事業開発のファシリテーションなど様々な企業様、団体様とお仕事をご一緒する機会が増えてきました。

Lean UX は、企業が抱えている潜在的な課題を明らかにし、本来のモノづくり・コトづくりのあるべき姿に気づかせてくれます。優れたユーザエクスペリエンスはどこから生まれるのでしょうか? 個人の優れたデザイナーでもなく、腕に自身のある個人のエンジニアでもなく、チームとの協働的なプロセスの中で創発的に生まれるものだと、私は考えます。

 

【関連リンク】

坂田一倫プロフィール

2014年3月6日開催『Lean UX――リーン思考によるユーザエクスペリエンス・デザイン』 出版記念イベント登壇のお知らせ

書籍『Lean UX――リーン思考によるユーザエクスペリエンス・デザイン』紹介ページ

Lean Startup Machine Tokyo

2014.01.22

こんにちは。ディレクターの山下です。

2013年12月20日、明治学院大学様「課外講座」にて、弊社AZグループの川崎紀弘(AZホールディングス 執行役員/amu総合研究所 主席研究員)が講師を務めました。

明治学院大学様では、様々な企業のCSR活動やサービスとのコラボレーションによる「課外講座」が行われています。そのテーマは幅広く、「『化粧』で人は救われる」講座(株式会社資生堂 様)、『家計管理』セミナー(SMBCコンシューマーファイナンス株式会社 様)など、授業や部活動、就職活動だけによらない視点で、学生生活が豊かになるきっかけが提供されています。

コンセントでは、明治学院大学の広報誌『白金通信』(⇒ 事例紹介ページへ)、交友会会報誌『Do for Others』などの制作を担当させていただいております。そのお付き合いから今回お声がけをいただき、講座を行いました。

コンセントがお届けしたテーマは、「編集デザイン」。
「編集」「デザイン」というと、ちょっとトガった一部の人が行うイメージがあるかもしれません。しかし、編集デザインの手法は、学生の方にとっても論文の論理構造の整理や、パワーポイントでの企画書づくり、SNSでの投稿など、日常の何気ないシーンに活きてきます。
ヒントは、「情報の受け手を意識する」こと。そんな、日々のコミュニケーションに役立てる視点で、編集デザインを体感してもらいました。

今回の講座では、特に身近な「文字」のデザインにフォーカス。弊社の制作事例から男性向けファッション誌や女性向けお料理雑誌の例、また、プロダクトやサービスの広告を紐解き、ターゲットや媒体・目的に沿って、言葉選びやフォント、ウェイト、細かな字間調整などが行われていること、そして、文字だけでも与えるイメージに違いがあることを実感してもらいました。

身近にある編集デザインの例の紹介。

 

ワークショップでは、巷で見かける “ちょっと伝わりにくい” 広告をサンプルに、学生さんにそのキャッチコピーやレイアウト案を考えてもらいました。ラフづくりから、フォントやウェイト選びまで、illustratorでの作業画面を見ながら体験。悩みながらも一人ひとりが、読み手の体験を想像し、それにふさわしい表現を考え、発表してくれました。
大胆なレイアウトや、韻を踏んだコピーなど、学生さんらしいみずみずしい発想がいくつも見られ、講座をする側でありながら、表現の未来が感じられる時間でもありました。

ワークショップの様子。楽しみながら和やかに進みました。

 

ワークショップを終えた後は、世の中の「伝え方の変化」の振り返りを。ここ数年の広告映像などを見てもらい、その表現のあり方や変遷を感じてもらいました。商品やサービスの特徴を列記するのではなく、暮らしの中でどう役立つか見せるCMが近頃多くみられますね。表現は、モノから体験へ。デザインには、時代の空気が反映されています。逆に、それを読み解くと、流行に乗ることのメリット、また別の方法を投じる意義も見えてくることでしょう。

限られた時間の中でしたが、「今度はビジュアルの講座をやってほしい!」という嬉しいお声や、「こういう仕事って、美大卒とか専門卒じゃなくてもできるんですか?」という質問も。日々の生活において、今後の社会生活に向けて、新たな視点をもってもらうことができ、とても嬉しく感じています。

ディレクターの私にとっても、自分自身の日々の仕事の棚卸しし、また、コンセントのCSRの形を考える、いいきっかけになりました。明治学院大学の皆様、ありがとうございました。

 

【関連リンク】
明治学院大学様サイト
デザイン思考を実践体験する、コンセントのインターンシッププログラム

2014.01.15

『Pixel Perfect Precision™ Handbook 2』(以下PPP™)は、ウェブサイトなどのデジタル環境用のデザインをする上での基本原則と、実践ですぐに使える具体的なPhotoshopのテクニックが収録されているドキュメントです。その名の通り、パーフェクトな精度のピクセルでデザインをするためのノウハウが、わかりやすいビジュアルと簡潔な文章でまとまっています。

元々PPP™は、グローバルに拠点を置くデジタルデザインスタジオustwo™ のGyppsy氏が制作したドキュメントです。iBooks版とPDF版のPPP™ドキュメントに加え、スクリプトやPhotoshopパターン集を付録の「エクストラ」として、ustwo™ ウェブサイトにて無償で配布しています。

PPP™は、デジタルデザインを学びたい人に、デザインの基礎知識と概念的な全体像を提供できるドキュメントであると同時に、既にPhotoshopでデザインをしている方にも有益なPhotoshopの細かなアドバイスが満載の一冊です。

このようなPPP™の有用性を理解し、この度コンセントはustwo™の許可を得て、PPP™の全文を日本語に翻訳しました。スクリーンショット等も、英語だとわかりづらい箇所は、日本語版に改訂しています。

Pixel Perfect Precision™ 日本語版の一部を抜粋して紹介します。

(推奨するカラーモデル)

(バージョン管理のための、ファイル名の付け方)

(アクセシビリティーのイントロダクション)

(タイポグラフィーにおけるアクセシビリティーについて)

(カラーマネジメントとPhotoshopでの画像保存について)

(Illustratorのテクニック集)


PPP™日本語版は以下のリンクから無償でダウンロードいただけます。

Pixel Perfect Precision™ 日本語版 iBooks iPad用ダウンロード [25.1MB]
Pixel Perfect Precision™ 日本語版 iBooks デスクトップ用ダウンロード [25.5MB]
Pixel Perfect Precision™ 日本語版 PDF ダウンロード [7.9MB]
エクストラ(スクリプト、リソースetc.)」【外部リンク】[647KB]

【関連リンク】
デジタルデザインスタジオustwo™
THE USTWO™ PIXEL PERFECT PRECISION HANDBOOK 2(原語版)