教育とデジタルとデザイン

コラム

2012.02.09

いま、コンセントではデジタル教科書教材協議会(DiTT)を通じて、実際の教室で行われる実証実験に参加しています。(AndroidタブレットとiPad向けコンテンツを設計・制作しました。)

デジタル教科書とは、生徒1人に1台配布される学習端末というのが現在の定義です。紙の教科書を置き換えるようなブックビューワーではなく、ノート機能、ネット接続、動画再生などさまざまな機能が想定されています。

もちろん教室での学習というものは、教師が生徒と作り出す体験によるものであり、端末上での機能が実現されたからと言ってすぐさま効果に直結するものではないでしょう。さらに言えば、学習効果そのものを向上させるためにデジタルコンテンツが必ず有効ということでもないと思います。

コンセントが考えているのは、企業や出版社向けに長年提供してきたデザインプロセスやサービス開発プロセスの知見を教室に適用することで、教育効果を改善し新しい体験を提供できるのではないかという可能性です。

激しい競争にさらされているビジネスの現場では、紙のエディトリアルデザインやウェブサイト構築における成果を上げるための知見が大量に蓄積されています。コンセントでは長年教科書のエディトリアルデザインに携わってきましたが、デジタル化が進む際にはさらにこれらの工夫を盛り込みたいと考えています。

デジタル化されればログ解析もできますし、生徒・児童に合わせた1 to 1のアプローチも可能です。例えば、生徒・児童ごとの興味関心に合わせて学習内容を深くしたり、学習進度が遅いセグメントに集中的な対応をしたりなど、世間では一般的に行われている施策導入を考えるだけでもデジタル化の魅力は理解できます。

また、サービス開発プロセスや編集業務の知見からはワークショップ、コミュニケーション設計などの適用も考えられます。

フューチャースクールで行われているような協働教育などにも通じることだと思います。

日本の教育現場は善かれ悪しかれすぐに変化する領域ではありません。世の中が電子書籍一辺倒になったとしても、まだ紙の教科書を使用しているかもしれません。

それでも教室には(恐らく少し型遅れの)デジタルデバイスがあり、そのメモリには子供のために考え抜かれたデジタルコンテンツが載っていて欲しいと思います。

我々は、受け手を積極的に創造的にさせる「ふつうの」コミュニケーションをいつも考え続けています。これは、コンテンツとビジュアルのすぐれたデザインにより実現すると信じています。

教育分野はこのような我々の考えを最も活かせるもので、これからもさまざまな領域に取り組んでいきます。

今回の実証実験は小学校高学年のものでしたが、大学、大学院、社会人向けの取り組みも計画しています。

新しい取り組みがありましたら、このコラムでお伝えしていく予定です。
 
執筆: 代表取締役 上原哲郎
 
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