教育出版平成27年度版小学校用教科書「小学社会」

情報量を確保しつつも明快なレイアウトで、
すべての子どもの学びを支える教科書を

小学校3〜6年生を対象にした、社会科教科書のデザイン制作です。資料やグラフなど情報量の多いこの教科を、子どもたちが楽しく学べる工夫をちりばめました。明るく親しみやすいトーンで全体をまとめながら、学習の手引きとなる情報が必要なタイミングで目に入りやすいようにデザインしています。
また、色覚の特性に配慮した色づかいや、視認性の高さを重視したレイアウトで、「すべての子どもの学びを支えるデザイン」を目指しました。

雑誌・書籍・教科書
クリエイティブ開発

[ プロジェクトのポイント ]

デザイン性とカラーユニバーサルデザインの両立
要素の位置付けが明快なフォーマット性の高い紙面と、情報量の確保
システムの特性を活かしたワークフローの構築

プロジェクトの背景

子どもたちが興味を持って学べる、また先生にとっても授業で活用しやすいページにするために、学習に必要な情報量をしっかり確保しながら、ビジュアルのイメージを最大限に引き出すことが求められていました。さらには、あらゆる児童が使える教科書として、カラーユニバーサルデザインに配慮したデザインを実現することが必要とされました。

問題解決までのアプローチ

まず、編集の意図を汲んだ最善の表現ができるように、編集部と綿密に打ち合わせや検討を重ねました。平成23年度版から継続のご依頼でしたので、リニューアルの方向性を探るために教科書デザインの調査を実施。良いところは維持し、取り入れるべきトレンドを見極める手がかりとしました。子どもたちにとって楽しく明快なトーン&マナーで、写真のインパクトを最大限に活かし、学習に必要な情報量をできるだけ確保することを検討。情報の意味や優先度を整理し、色や余白を効果的に使ったデザイン設計を行いました。特に視認性の高さについて、教育出版編集部の方より評価をいただいています。
そして、すべての子どもたちにとって学びやすい教科書であるために、レイアウトや色使いに配慮し、カラーユニバーサルデザインの認証を取得しています。
また、コンセントのWebプロジェクトの知見から、使用するデータ管理システムの特性を活かしたワークフローをご提案し、6冊750ページを超えるボリュームを効率的なフローで進行することができました。教科書は、中身が出来上がってからも文科省の検定を受ける必要がるなど、制作上もいくつか他の媒体制作とはちがった特性を持っています。発行までの準備期間と、発行されてから次版までの改訂期間とで通算7〜8年にわたる作業を見通し、フォーマットデータを綿密に作り込みました。

クリエイティブのポイント

素直な丸みのあるあしらいと明るく優しい色使いで、子どもたちが親しみやすいデザイントーンを採用。写真・図版の面積や情報量を確保しつつ、各要素間のアキや基本的な位置をキープし、目線の迷わない明快で安定したレイアウトを行い、必要な箇所ではユニバーサルデザインフォントを使用して可読性を高めています。
隣り合う色の区別がつきやすい配色でカラーユニバーサルデザインに配慮しながら、ページ全体、また一冊全体を通しても心地よい色展開になるよう、単元色からグラフに至るまで、綿密な色設計を行いました。
より鮮やかに写真が映える誌面にするため、写真の色味のディレクションも丁寧に行っています。