小学校におけるデジタル教材の実証実験の報告

コラム

2012.02.09

コンセントは、デジタル教科書教材協議会(DiTT)の取り組みの一環として、2011年12月14日から2012年2月1日までの間、岐阜聖徳学園大学付属小学校にて5回にわたって行われた「情報」の授業での実証実験プロジェクトに参加しました。

岐阜聖徳学園大学の石原一彦先生、株式会社文溪堂、コンセントの共同プロジェクトです。

小学校5、6年生を対象とした「情報」の授業内で教材として使用するブラウザベースの教材コンテンツを制作しました。デバイスはiPadとAndroidのタブレット2種。初回と最後の授業では直接岐阜に赴いて授業を観覧してきました。

実証実験の様子
授業では疑似的な「チャット」「掲示板」「メール」を子どもたちに使用してもらい、実際の体験を通して情報モラルや匿名性のもつメリット・デメリット等を学んでいきます。デジタルコンテンツを読んで考え方を議論するなど、道徳的な内容を扱う授業もあります。

子どもたちは意見や感想をタブレットに入力し、教員がその場で任意の意見をプロジェクタで映して全員で共有するなど、ICTならではの授業展開が可能です。

実証実験の様子
教科書や副教材、学習のためのデジタルコンテンツの制作経験があるコンセントですが、授業中にメインで使用する教材でかつ教員と子どもたちがICTを活用してインタラクティブに交流しながら授業を展開していくものは初めて。

現代の子供たちにとって学習効果の高い教材とはどのようなものか、打ち合わせと試作を繰り返し、実際に子供たちに使用してもらってはまたフィードバックすることを繰り返し、毎週ブラッシュアップしていきました。

大切にしていた観点は以下4つです。

◆ICTならではの付加価値
教員・子ども共通に、ICTだからこそ得られる学習体験を盛り込むこと。即時性、インタラクティブ、ログ管理、アカウントによって異なる画面が表示可能といったこと。

◆教員の授業設計における自由度の確保
学習内容を理解しやすいようにコンテンツを設計するのは当然のこととして、授業を行う教員が子どもたちの反応をみながら自由に授業を組み立てられるような動線を設計。

◆ブラウザ・システム面の安定性
機種によって画角や動作が異なるタブレット環境ではあるけれど、どちらのデバイスでもある程度の見やすさは確保。1クラス40名が同時にアクセスしても不安定にならないシステム。

◆トーン&マナー
授業に向かう姿勢を演出する部分なので、楽しく学ぶことはもちろん、楽しいだけではなく「きちんと」学習できるようなトーン&マナーが必要。(ゲームにはならないように)

実証実験用のデジタルコンテンツ
いざ授業を観覧してみると、やはり実際に「楽しさ」「怖さ」「驚き」を体験することによって子どもたちも理解が進むようで、意見交換の場も活発に。

逆に、子どもが困る場面として想定しきれていなかった観点や、40名分のタブレットを管理・運用する部分での課題、筐体・ブラウザの課題など、新たな課題も発見することができました。

現在発売されているタブレット(iPad, Android)は教室で使用するには問題が多すぎ、ソフトウェア面、ハードウェア面でのさまざまな改良が必要だということが分かりました。また、タブレットをのぞきこんで使用することで、子どもの授業における姿勢が悪くなってしまうという総合的な課題も。

しかし、授業のメイン教材の一つにこのようなデバイスを採用することで、子どもたちの学習体験をデザインする幅が広がった、という思いを強くしました。

これからも実証実験は続いていくので、一つひとつの課題を丁寧に検討し、子どもたちに良質な体験を提供できるよう工夫を重ねていきたいと思います。
 

執筆:ディレクター 橋本愛
 

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