これからのIAが担っていく役割 CSS Nite in Ginza,Vol.38 イベントレポート

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8月20日(木)、銀座のアップルストアにて、CSS Nite in Ginza, Vol. 38が開催され、コンセント代表の長谷川敦士が「海外IA最新レポート:これからのIAが担っていく役割」というテーマで講演しました。

立ち見が出るほど盛況

立ち見が出るほど盛況


定員180名に対し、mixiのCSS Niteコミュニティ内イベント情報では、250名を超える事前参加表明があり、佐藤伸哉さんが担当されたVol. 36に引き続き、IA(情報アーキテクチャ)への関心の高さがうかがえました。

IAとは何か、といった概要ではなく、IA Summitのような国際会議や、そこで近年扱われているトピックなどを取り上げた今回は、どちらかといえば応用編といった趣だったため、参加者のIAについての理解度によっては、難しいと感じた方もいたかもしれません。

講演で扱った主なトピックは
  • IA Summit
  • エンタープライズ情報アーキテクチャ(EIA)
  • ウェブエコシステム(ウェブの生態系)
  • 納品物フォーマット
  • IAとIxD(インタラクションデザイン)とUX(ユーザーエクスペリエンス)
です。

EIAとブランド戦略について説明する長谷川

EIAとブランド戦略について説明する長谷川


エンタープライズ情報アーキテクチャ(EIA)は、企業全体で検討すべき情報アーキテクチャのことですが、企業のマーケティング戦略やブランド戦略と大きく関わります。今年のIA Summitでコンセントが発表した「EIA as Brand Strategy」がスライドの中で紹介されると、「ブランド戦略がIAに反映されるというのが興味深い」という声があがるなど、参加者の注目を集めていたようでした。

納品物フォーマットについては、対象者や利用されるフェーズにあわせた納品物の必要性を謳ったEightShapes社の資料や、InDesignに集約されたウェブプロジェクトドキュメントのテンプレート、およびそれについて論じた彼らの書籍を紹介しました。テンプレートの標準として採用されたソフトが、参加者の多くにとって馴染みのあるInDesignだったということもあり、講演終了後、本を手に取る人も多かったのが印象的でした。

後半には、今年のIA Summitのクロージングプレナリー(結びの話)の中で、米・AdaptivePath社のJesse James Garrettが述べた「インフォメーションアーキテクトはもういない。インタラクションデザイナーもいない。みな、ユーザーエクスペリエンスデザイナーと名乗るべきだ。」という宣言が紹介されました。

この宣言の背景には、カバーできる領域の違いにより存在する、Big IAとLittle IAという2種類の定義があります。

この定義では、プロデューサー的にユーザー要件やビジネス要件などを元にサイトの骨子を作る、つまり、抽象度の高い分野に対応できるのがBig IA、それに対し、サイトストラクチャを作成するような具体的なタスクを行うのがLittle IAとされています。

さらに、Big IAと同様、抽象度の高い設計を行う役職としてインタラクションデザイナー(IxD)という職域もあり、双方の職務領域は重複する部分もあります。そのため、呼称についての議論に陥りがちですが、どちらもユーザーへの優れた経験を与えるための視点を持っているという点では共通しており、対立するものではありません。

このように、IAにはどのようなタスクの領域があるのかについて触れながら、これからのIAには、より広い視点を持つことが必要である、と話を結びました。

CSS Nite in Ginza, Vol. 38発表資料


Site-it!

Site-it!


参加者へのプレゼントとして、コンセントが開発したIAのプロトタイピングツール「Site-it!」を何個か準備していったところ、入手希望者が多く、抽選で当たった人が何名かでシェアしている様子も見られたので、今後、みなさんに便利に使ってもらえるような方法を検討していきたいと思います。

今回の応用的な内容に対し、9月12日に開催されるCSS Nite LP, Disk 7「IAスペシャル」では、ワークショップが取り入れられ、より実践的な内容を学ぶことができます。すでに満席のため、キャンセル待ち受付中となっていますが、関心がある方は確認してみてください。

なお、IAAJ(情報アーキテクチャアソシエーションジャパン)のサイトメーリングリスト(Yahoo! グループで運営)でも、IA関連の情報を入手することができます。

コンセントは、企業と伴走し活動を支えるデザイン会社です。
事業開発やコーポレートコミュニケーション支援、クリエイティブ開発を、戦略から実行まで一貫してお手伝いします。

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