伝わらないデザイン〜自分のデザインフィールドを発見しよう〜 東京工業大学イベント「Creative Cafe」イベントレポート

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    川崎紀弘伝わるしくみ開発室

2009年に、東京工業大学とAZグループで始まった、「Creative Flow」というプロジェクトがあります。これは、アートとサイエンスの集合知によるコミュニティー形成を目的としています。そこでのイベントの一つ「Creative Cafe」では、今まで多くのアーティストやサイエンティストなどが、スピーカーとして登壇してきました。私は今までは運営側として、ツイートしたり、ディスカッションで出たキーワードをリアルタイムでレイアウトしてプロジェクションしたりしていたのですが、今回、伝わるしくみの川崎として、「伝わらないデザイン」というテーマでの講演を依頼されました。

「Creative Flow」にスタッフとして参加している東工大生は、日々イベントやワークショップを運営する機会が多く、なにかとプレゼンテーション用のスライドを作ったり、告知のチラシを作ったり、アンケート用紙を作ったりしています。これは、「Creative Flow」のメンバーに限ったことではなくて、日常の研究やビジネスで「デザイン」を必要とする人が増えているわけです。そんな中で、なにかデザインを「特別なこと」として、言い換えれば「デザインをしよう!」と意気込んでしまった行為が、逆に伝わらないデザインにしてしまっているなあと思っています。

今回の「Creative Cafe」では、「デザイン」という言葉が示す領域が広いこと、さらにその領域はシームレスに繋がっていること、そして日々行っている研究やビジネス行為は何らかのデザイン行為であること(設計したり構想することもデザインであると考えられます)を認識して、失敗するデザインは、本業の自分のデザイン領域から「遠い」デザインを実行してしまっていることを認識してもらいました。副題にもしている「自分のデザインフィールドを発見しよう」ということです。そこで、参加者のどなたにも当てはまるであろう、遠くないデザイン領域として「機能美」という考え方でグループでデザイン課題に取り組んでもらいました。

この「Creative Cafe」は、誰でも参加できるイベントで、東京工業大学の学生だけではなく、他大学の学生や一般の方、研究者の方など、様々な立ち位置の方(とはいえ、みなさん意欲的な方ばかり)がいらっしゃいますが、やはり「デザイン」へのアプローチが「無理しちゃっている」ことが多かったようで、自分なりのデザイン領域でデザインすればいいんだと思ってもらえたようです。逆にデザイン系の学生さんも参加されていましたが、自分が日々考えているデザインをデザインフィールドとして考えられてすっきりしたようです。

今回は概論的だったので、演習的な内容をと言う声もありました。やってみたいですね。

[ 執筆者 ]

コンセントは、企業と伴走し活動を支えるデザイン会社です。
事業開発やコーポレートコミュニケーション支援、クリエイティブ開発を、戦略から実行まで一貫してお手伝いします。

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