開催日:2025.11.5(水)
DESIGN AND PEOPLE Social Club「長沢慎一郎の写真論:仕事と作品」を開催
第49回(2024年度)木村伊兵衛写真賞を受賞された写真家の長沢慎一郎さんをお迎えしたイベント「長沢慎一郎の写真論:仕事と作品」を、2025年11月5日(水)に東京・恵比寿にあるコミュニケーションスペース「amu」にて開催します。本イベントはコンセント刊のデザイン誌『DESIGN AND PEOPLE』に登場いただいた方との社交場を生み出す、オフラインのイベントシリーズ「DESIGN AND PEOPLE Social Club」として開催するものです。モデレーターは本誌編集長の吉田知哉と、編集部の鈴木奈都子が務めます。
広告写真の現場で研ぎ澄まされた、“光を操る”技術。
その積み重ねの先で、何に“光を当てる”のか——
長沢さんは、長年、広告写真などのクライアントワークを手がける一方で、受賞作となる作品集の撮影地である小笠原諸島・父島でのプロジェクトなど、自身が選んだテーマによる作品制作を続けています。
仕事で磨き抜かれた高度な撮影技術が、どのように写真家の眼差しへと結実するのか。仕事の現場を通して学んできたことや、作家の眼で何を撮ろうとしてきたのか、そして両者を往還する中で見えてきた、独自の写真への向き合い方について伺います。
また、受賞作である『Mary Had a Little Lamb』や、表紙撮影を担当いただいた『DESIGN AND PEOPLE|Issue No.2 他者たちとどう生きるか』の制作プロセスについてもご紹介いただきます。
写真家の眼差しに興味がある方、仕事しながら作家活動を行っていく方たちと、「仕事と作品」について共に考えて、話せる場をひらきます。
[ DESIGN AND PEOPLE Social Clubとは ]
コンセントが発行するデザイン誌『DESIGN AND PEOPLE』にご登場いただいた方との社交場を生み出す、オフラインのイベントシリーズです。本誌編集部では、直接出会うこと、集うことで、人々がつながる契機としていきたいと考えています。講演・レクチャーと交流会がセットとなっていますので、お気軽にご参加ください。
[ 開催概要 ]
| イベント名称 | DESIGN AND PEOPLE Social Club「長沢慎一郎の写真論:仕事と作品」 |
|---|---|
| 日時 | 2025年11月5日(水)19:30〜21:00 |
| 会場 | コミュニケーションスペース amu() JR恵比寿駅西口から徒歩4分、東京メトロ恵比寿駅2・4番出口から徒歩2分 |
| 定員 | 15名 |
| 参加費 | 無料(事前予約制) |
| 主催 | 株式会社コンセント |
| 詳細・お申し込み | にてご確認をお願いいたします。 |
スピーカープロフィール
長沢慎一郎(NAGASAWA Shinichiro)
写真家
- 1977年 東京生まれ
- 2001年 藤井保氏に師事
- 2006年 写真家として独立
- 2008年 小笠原父島での撮影をはじめる
- 2021年5月 写真集『The Bonin Islanders』赤々舎より刊行
- 2024年10月 写真集『Mary Had a Little Lamb』赤々舎より刊行
- 2025年 第49回木村伊兵衛写真賞受賞
- 2021年5月 Nikon Salon
- 2022年10月 T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO ・Hotel Patinn 父島
- 2022年12月 PRIX PICTET Japan Award 東京都写真美術館
- 2025年10月 DELTA / KYOTOGRAPHIE Permanent Space
■Photo Exhibition
「The Bonin Islanders」-
「Mary Had a Little Lamb」
- 2025年4月 第49回木村伊兵衛写真賞 受賞展 Sony Imaging Gallery
- 2025年7月 森岡書店
- 2025年8月 PURPLE
- 2025年10月 Link Archi Scape Art Exhibition(文化庁)重信会館
- JR東海、NHK、SoftBank、三菱地所レジデンス、三井不動産レジデンシャル、全国信用協同組合連合会、Panasonicリフォーム、GOLD WIN、他
■Commercial Work
モデレータープロフィール
吉田知哉(YOSHIDA Tomoya)
編集者/クリエイティブディレクターデザイン誌『DESIGN AND PEOPLE』編集長。株式会社コンセント Design Leadership部門所属。
鈴木奈都子(SUZUKI Natsuko)
コンテンツストラテジスト株式会社コンセント Strategic Design Group所属。
書誌情報
長沢慎一郎『Mary Had a Little Lamb』
Art Direction:林 規章
Book Design:乗田菜々美
刊行:赤々舎
前作『The Bonin Islanders』(2021年)において、小笠原の先住民がもつアイデンティティを探り、複雑な歴史の糸を提示した長沢慎一郎。
2008年から小笠原に通いつづけ、島の人々や場所との交流を深めるなかで、第二次世界大戦後の米軍占領期間(1945~1968)の影響や痕跡に目を向けるようになった。
「米軍占領下の父島には『メリーさんの羊』と名付けられた核弾頭が配備されていた」
本書の冒頭に記された言葉は、アメリカの童謡「Mary Had a Little Lamb」(メリーさんの羊)に由来する名をもつ核弾頭がこの島に存在したとされることを告げ、山中の壕の内部へとカメラは歩を進める。
ある壕の奥、闇は深まり、そこには白い塗装で覆われたもうひとつの壕が現れた。
腐食した重々しい鉄扉を開け、その密室の空洞に光を当てる。
銅板で覆われた壁や天井。わずかに残る金具や椅子。
一歩ごとに照らし出される異様な質感と同時に、内部の空洞が迫ってくる。ないはずの核が置かれた場所。今はそれが不在である空間を写した写真は、失われた時間と記憶の圧倒されるような量感を湛えている。
ページを進める合間に不意に現れる小笠原の光に満ちた海。巻末の、壕を抜けた向こうに見える椰子の木。
長い時間を彷徨った果てに、「メリーさんの羊」が異なる相貌で立ち現れる。
『DESIGN AND PEOPLE Issue No.2|他者たちとどう生きるか』(コンセント)
デザインやクリエイティブへの問いを抱えながら、自分の仕事と生活、興味関心、研究テーマ、時事問題についてを語る、書く──《対話とエセー》によるデザイン誌。 不安と欲望で断片化していく社会を、それでも功罪相半ばするデザインがつないでいく──デザイナー、クリエイター、エンジニア、研究者、建築家、装丁家、イラストレーター、作家、編集者、行政官などたちが、一生活者としての戸惑いと希望を言葉にする、対話9篇とエセー8篇。デザインの鍵を探る書評6篇も掲載。