ニュース

非デザイナーのイノベーション推進関連職など500名に聞く「デザイン思考・デザイン経営レポート2023」を公表

DXの成果実感がある企業の44.5%で、デザイン思考を習得した人材が活躍

「デザイン思考・デザイン経営レポート2023」の表紙。

企業や行政と伴走し活動を支えるデザイン会社の株式会社コンセント(本社:東京都渋谷区 代表:長谷川敦士 以下、コンセント)は、2018年5月に発表された経済産業省と特許庁による「『デザイン経営』宣言」(※1)から5年目の節目となる2023年、国内の企業現場での「ビジネスにおけるデザイン活用」の実態調査を実施し、「デザイン思考・デザイン経営レポート2023」としてとりまとめ、公開いたします。

本調査ではインターネット調査を用いて、非デザイナーの方、中でも広く企業でイノベーションを推進する職種のビジネスパーソンを中心とした500名を対象に、現場における「デザイン思考」や「デザイン経営」の理解や活用、DX推進との関係などを調べました。

「デザイン思考・デザイン経営レポート2023」の表紙。

「デザイン思考・デザイン経営レポート2023」

調査結果のハイライト

1. 成果を実感できるDX推進の鍵は、「デザイン思考」を習得した人材【グラフ1】

  • デジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みに対する成果を実感している層では、44.5%が「デザイン思考を習得した人材を非常によく活用できていると思う」と回答。一方、まだ成果を実感していない層で「非常によく活用できていると思う」と回答した人は、わずか2.3%にとどまった。

2. 「デザイン思考はデザイナーのもの」という誤解【グラフ2】

  • デザイン思考は、非デザイナーでも身につけられるものであることを知らない人が55.9%。

3. デザイン思考は次の必須ビジネススキル【グラフ3、4】

  • VUCAの時代を生き抜くために、デザイン思考の習得やビジネスの現場での実践に関心を示した人は75.4%。
  • ロジカルシンキングなど、代表的なビジネスに役立つ思考法を比較すると、デザイン思考は最も認知度と活用度のギャップが大きく、活用が拡大するポテンシャルの高さが示唆される。

4. DXやイノベーション推進の現場で感じる、所属企業へのデザイン経営の導入に対する難しさ【グラフ5、6】

  • 所属企業にデザイン経営の考え方やアプローチを取り入れてほしい人は89.5%。そのうち6割近くは「取り入れてほしいと思うものの、実際は難しい」と考えている。
  • 難しいと感じる理由は、「デザイン経営で得られる効果がわからない」「上層部の意識が変わらなそう」「社内のどのようなメンバーが適任者かわからない」「何から始めたらいいかわからない」など。

調査実施の背景

2018年5月、企業競争力の向上への寄与を目的に、デザインを重要な経営資源として活用する「デザイン経営」の推進を提言した「『デザイン経営』宣言」(※1)が経済産業省と特許庁から発表されました。また、企業のデジタル変革を加速すべく、経済産業省ではDXを推進してきました。さらに、独立行政法人 情報処理推進機構が公表した「DX白書2023」(※2)では、DXの実現に必要な開発手法として、「アジャイル」や「DevOps」と並び「デザイン思考」が挙げられており、日常業務としてデザインに携わるデザイナーでなくとも、ビジネスにおけるデザイン活用の重要性はますます高まってきています。

しかし、多くの企業でデザインを経営に生かす取り組みが行われている一方で、課題に直面して思うように進まない企業や、導入に踏みきれない企業が多い現状があります。

こうした状況には、一般のビジネスパーソンの間での「デザイン思考」や「デザイン経営」に関する理解度などが関係しているのではないかと考え、コンセントでは本調査において従業員数100名以上の企業でイノベーションを推進する立場で働くデザイナー職以外のビジネスパーソンに焦点をあてました。「デザイン思考」や「デザイン経営」に対する理解や活用の実態を明らかにすることで、ビジネスにおけるデザイン活用の推進に資すると考えております。

コンセント取締役 大﨑 優のコメント

大﨑 優(株式会社コンセント 取締役/デザインマネージャー/サービスデザイナー)

大﨑優のプロフィール写真。

「デザイン思考」の重要性が増し、DXやイノベーションの現場にいるビジネスパーソンの多くはその習得や活用に関心をもっています。デザイン思考はDXに欠かせないといわれていますが、本調査の結果でもそれが裏付けられました。「デザイン思考は非デザイナーが身につけることはできない」という誤解を解くことは、デザイン思考の習得に取り組むビジネスパーソンの増加につながり、ひいては企業における人材活用にもつながると考えられます。

一方で、「デザイン経営」については、イノベーション関連職種のビジネスパーソンであっても、その言葉は知っているものの内容をあまり理解していないことがわかりました。導入にあたって感じるハードルの多くは、知見をもつ外部専門家の力を借りることで、解決が可能であると考えられます。

企業にとって「デザイン思考」や「デザイン経営」は目的ではなく手段です。企業課題に即した目的設定を行い、手段としての活用をアレンジする必要があります。本調査では、その活用に向けての課題がどこにあるかにも有用な示唆を提供できるものです。

デザイン思考の習得の後押しや、デザイン経営の導入によりイノベーションを推進することに、本調査で得られた知見が資することを期待します。

■調査結果の詳細

本調査結果の詳細は、コンセントサイト内「デザイン思考・デザイン経営レポート2023」ページをご参照ください。
https://www.concentinc.jp/solution/designthinking-designmanagement-report2023/

■調査概要

[調査手法]インターネット調査
[調査時期]2023年1月
[調査対象]従業員100名以上の企業の従業員500名

  • 分析対象:イノベーションやDXの現場を担う非デザイナーのビジネスパーソン…410名
  • 比較用:その他の職種の非デザイナーのビジネスパーソン…90名
分析対象者の職種内訳を示した表。イノベーション関連職種410名の内訳は「経営、経営企画」85名、「商品企画・サービス企画」80名、「新規事業企画・開発」85名、「業務設計・業務開発・組織開発(改革)・イノベーション推進」90名、「DX推進室・DX支援関連」70名となっている。

「調査結果のハイライト」関連グラフ

【グラフ1】所属企業がDXに取り組んでいる層(n=227)のうち、所属企業でのDXの取り組みに対する成果を実感している層(n=54)では、44.5%が「(所属企業で)DXの推進にデザイン思考を習得した人材を非常によく活用できていると思う」と回答しています。まだ成果を実感できていない層(n=173)の回答(2.3%)に比べてデザイン思考を習得した人材の活用度が高いと感じていることがわかります。

Q. 「所属企業がDXに取り組んでいる」と答えた方にうかがいます。あなたの会社では、DX推進にデザイン思考を習得した人材を活用できていると思いますか?(n=227)

「DXの推進にデザイン思考を習得した人材を活用できていると思うか?」という問いに対する回答内訳を表した棒グラフ。

【グラフ2】非デザイナー職でもデザイン思考を身につけられることを「あまり知らなかった」、もしくは「全く知らなかった」人は55.9%となっています。デザイン思考の有用性が注目されているイノベーションやDXの現場を担うビジネスパーソンであっても、デザイン思考はデザイナー以外は身につけられないという誤解があることがわかります。

Q. あなたは、非デザイナー職のビジネスパーソンでも「デザイン思考」を身につけられることを知っていましたか?(n=410)

「非デザイナー職のビジネスパーソンでも『デザイン思考』を身につけられることを知っていたか?」という問いに対する回答内訳を表した円グラフ。

【グラフ3】イノベーションやDXの現場を担うビジネスパーソンのうち、VUCAの時代を生き抜くためにデザイン思考を習得したり、ビジネスの現場で実践することについて「非常に関心がある」人は21.0%。「ある程度関心がある」も合わせると75.4%の人がデザイン思考の習得や実践に関心をもっています。

Q. リスキリングやリカレント教育という言葉をよく耳にしますが、VUCAの時代を生き抜くために、あなたは「デザイン思考」を習得したり、ビジネス現場で実践することについて関心がありますか?(n=410)

「『デザイン思考』を習得したり、ビジネス現場で実践することについて関心があるか?」という問いに対する回答内訳を表した円グラフ。

【グラフ4】また、ロジカル思考などのビジネスに役立つ代表的な思考法それぞれにおける認知度と活用度のギャップをみたとき、デザイン思考は認知度と活用度のギャップが最も大きい(認知率が高い一方で、活用率は低い)。このことから、デザイン思考には今後活用が拡大するポテンシャルの高さがあることが示唆される。

思考法の認知度と活用度のギャップ:イノベーション関連職種(n=410)

横軸を認知率、縦軸を活用率として、ロジカルシンキング、クリティカルシンキング、デザイン思考、ラテラルシンキング、アート思考の5つの思考法それぞれの認知率と活用率が交差する点をマッピングしたグラフ。

【グラフ5、6】デザイン経営について説明を受けたイノベーションやDXの現場を担うビジネスパーソンのうち、「自社でも取り入れてほしい」と考える割合は9割に近い結果となりました(グラフ5)。しかし、そのうちの6割近くは「実際は難しい」と考えており、その理由として「デザイン経営で得られる効果がわからない」「上層部の意識が変わらなそう」「社内のどのようなメンバーが適任者かわからない」「何から始めたらいいかわからない」といったことを挙げています(グラフ6)。

Q. デザイン経営のアプローチを所属企業に取り入れてほしいと思いますか?(n=410)(グラフ5)

「デザイン経営のアプローチを所属企業に取り入れてほしいと思うか?」という問いに対する回答内訳を表した円グラフ。

Q. 「デザイン」を経営に取り入れるにあたり、どのようなハードルがあると思いますか?大きなハードルだと思うものを2つまでお選びください。(n=410)(グラフ6)

「『デザイン』を経営に取り入れるにあたり、どのようなハードルがあると思うか?」という問いに対する回答内訳を表した棒グラフ。

※1 経済産業省・特許庁「『デザイン経営』宣言」(公表日:2018年5月23日)
https://www.jpo.go.jp/resources/shingikai/kenkyukai/kyousou-design/document/index/01houkokusho.pdf
※2 独立行政法人 情報処理推進機構「DX白書2023」(公表日: 2023年2月9日)
https://www.ipa.go.jp/publish/wp-dx/gmcbt8000000botk-att/000108041.pdf

[ 本リリースに関するお問い合わせ先 ]

株式会社コンセント
Marketing group(PR・広報チーム)岩楯ユカ
E-mail:mktg@concentinc.jp
Tel:03-5725-0115(代表)

[ 株式会社コンセントについて ]

コンセントは「デザインでひらく、デザインをひらく」をミッションに、企業や行政と伴走し活動を支えるデザイン会社です。
デザイン経営や事業開発、マーケティングやブランディング、クリエイティブ開発等において、サービスデザインの視点と技術を生かして戦略策定から実行まで一貫して支援しています。また、誰もがデザインについて学べる「コンセントデザインスクール」の運営等を通して「デザインの知の活用」を広く共有しています。生活者一人ひとりがデザインの視点を身につけ、問題解決に役立てられる社会となることを目指して活動しています。

会社名:株式会社コンセント
所在地:〒150-0022 東京都渋谷区恵比寿南1-20-6 第21荒井ビル
設立:1973年12月
代表者:代表取締役社長 長谷川敦士
事業内容:デザイン経営支援、事業開発や成長支援、デザイン組織や業務の構築支援、サービスデザイン、ブランディング支援、デジタルメディア開発、クリエイティブ開発

本プレスリリースのPDFをダウンロードする(容量:2.25MB)

ダウンロード

ページの先頭に戻る