女子美術大学 共創デザイン学科   共創型リーダーを養成する「プロジェクトデザイン」授業支援

授業やプレゼンテーションをしている様子。

デザイナーの知識をひらき
共創型リーダーシップを育む

女子美術大学様(以下、女子美術大学)の共創デザイン学科は、2023年に設立された新しい学科です。同学科では、1年次から3年間にわたり「プロジェクトデザイン」を必修科目として学びます。

コンセントはエディトリアルデザイン、ウェブデザイン、UXデザイン、サービスデザインといった幅広いデザインに関わってきた知見を活かし、2025年度の「プロジェクトデザイン」の授業の開発・実施を支援しました。

  • トレーニング・研修
  • デザイン思考組織化支援

[ プロジェクトのポイント ]

  • 「プロジェクトデザイン」を定義し、学生が段階的に学べるカリキュラムを設計
  • コンセントが現場で培ってきた複数のソリューションを授業内容へ反映

プロジェクトの背景

女子美術大学の共創デザイン学科は、多様な領域の人々と共に新しい価値を創造する「共創型リーダー」を養成する場として設立されました。

同学科では、学生が自らプロジェクトの形成や牽引をし、社会へモノ・コトを実装、浸透させて行くための実践的な視点を身につけるために、「プロジェクトデザイン」の授業を必修科目として設定しました。

なお、「プロジェクトデザイン」は現時点では体系的に定義された手法ではありません。そのため、今回の授業を設計するにあたり、コンセントでは以下のように定義しました。

  • 体系的に定義された手法である「プロジェクトマネジメント」で求められる役割に対し、「プロジェクトデザイン」ではさらに「より魅力的なゴールを設計する」ことを求める
  • 本授業では複数のテーマを元に、「より魅力的なゴールを設計すること」に取り組む

問題解決までのアプローチ

プロジェクトデザインの授業は、1年生から3年生まで通年で行います。1年目の授業の設計にあたり、まずは学生が最終的に目指すべき状態と、年次ごとのゴールとテーマを暫定版として定めました。

  • 1年目:1人でプロジェクトデザインをおこなう(自分に関する計画を立てられる)
  • 2年目:チームでプロジェクトデザインをおこなう(複数人が関わる計画を立てられる)
  • 3年目:誰かのためにプロジェクトデザインをおこなう(他者のための計画を複数人で立てられる)
1年目から3年目までの授業のゴールとテーマを示したスライド。

1~3年目の授業のゴールとテーマ。
※2年目・3年目は、1年目の結果を受けて今後見直す可能性あり

社会において「プロジェクト」が指す対象は幅広く、また共創デザイン学科は「多様な領域の人々と共創できる力」を養う場です。授業を通じて、そもそも良い/悪いプロジェクトとは何かを考えたり、共創しながらプロジェクトをゴールに導くことはどういうことかを理解するためには、学生たちが段階的に学びや検討の範囲を広げることが必要であると考えました。

そのため、1年目はまず個人ワークを中心に「プロジェクト」と「デザイン」が何かを理解する期間としました。デザインするプロジェクトの対象を一つに絞らず、コンセントが持つさまざまな知見を還元できる授業内容として、「サービス」「紙メディア」「デジタルメディア」の3つのパートに分けて設計しました。各パートの授業の設計と実施は、それぞれの分野を専門とするデザイナーが担当しています。

各パートの授業の詳細

イントロダクション(身近なテーマのプロジェクトデザイン)

「プロジェクトのデザイン」を学び始めとして、まずは身近にイメージしやすい「自分と誰かが一緒に食べる夕食」というテーマを扱いました。「相手は誰か」そして「どんな相手のために、どんな状態を目指すのか」を考えることで、ペルソナの策定やゴール設定の意義を学ぶ機会としました。

授業スライドの1部。

授業スライドの一部。考えやすい身近なテーマでペルソナを設定してもらった。

授業の様子。

授業の様子

紙メディアのデザイン

「女子美の魅力を紹介する」「地元の魅力を紹介する」「自分の魅力を紹介する」という3つのテーマから1つを選択し、1人1冊ずつZINEを制作。「テーマについて知らない相手に魅力を伝えること」を与件とし、骨子の作成から構成案の作成、誌面のデザインと印刷・製本まで行う中で、「はじめて読む人にも伝わる形になっているか」「読み進めたいと思える内容になっているか」を都度問い直し、他者のためのデザインを行う工夫を学ぶ機会としました。

プレゼンテーションをする学生の様子。

制作したZINEについてプレゼンテーションする様子。

授業で使用したワークシート。

初学者でも取り組みやすいよう、検討すべき観点をまとめたワークシートを使いながら進めた。

デジタルメディアのデザイン

「女子美の魅力を紹介する」「学校周辺のお店を紹介する」「自身の地元や地域を紹介する」という3つのテーマから1つを選択し、1人1つずつウェブサイトを制作。テーマに関わるステークホルダーとターゲットユーザー、ペルソナを策定し、対象のペルソナに向けたデジタルメディアのコンテンツやトーン&マナー、ビジュアルデザインを作成する過程を実践しました。

全ての検討プロセスのつながりを意識してもらうために、オリジナルのワークシートを作成。検討の土台となるユーザー(ペルソナ)を見定めることの重要性、そしてプロセスの一つひとつとそのつながりに意味があることを学べる機会になりました。

プレゼンテーションをする学生の様子。

策定したペルソナから最終的なウェブサイトの内容・ビジュアルデザインまでをプレゼンテーションする様子。

授業で使用したオリジナルのワークシート。

全ての検討のプロセスのつながりを意識させるために作成した、オリジナルのワークシート

サービスのデザイン

サービスデザインでは、その理論を「儀式」という独自の切り口から実践的に設計しました。

サービスデザインの「サービス」とは、単なる便利な仕組みやおもてなしのみでなく、顧客やユーザーの不便や不満を解消するためのビジョンや活動、組織のあり方など全体を指します。そのルーツを辿ると、最初のサービスは理屈で説明できない自然現象や運命に意味を与える「祈祷」「神託」など、宗教的な儀式でした。

この授業では、サービスデザインの基礎知識をあえて「人類最古のサービス」という視点から捉え、社会学者デュルケムが提唱した「聖と俗」の考え方や、自身の不安や悩みを対象とする「当事者研究」の手法をヒントに、現代の私たちが抱える「説明のつかない不安」や「人間関係の違和感」を言語化していきました。

授業のゴールは、現代における新たな「儀式(Ritual)」のデザインです。カスタマージャーニーやバリュープロポジションといった手法を学びながら、日常の不安や不和を解消・昇華させるための新しい仕組み(儀式)を提案し、美大生ならではのサービスデザイン探究を目指しました。

授業で使用したスライドの1部。

授業のスライドの一部。「祈祷」や「神託」をサービスデザインの原型(プロトタイプ)として捉え、現代社会の不安を解消・昇華させるための新しい体験(儀式)のデザインをゴールとした。

コンセントが担当するプロジェクトデザインの授業は、2027年度まで続きます。今後も引き続き、授業を通じて学生たちが共創型リーダーとなるための支援を実施していきます。

[ プロジェクト概要 ]

クライアント名 学校法人 女子美術大学 共創デザイン学科 様
URL https://co-lab.joshibi.net/
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