ストーリーとデザインで気持ちを動かす
組織変革の第一歩
職員のキャリアとライフイベントの両立をサポートする制度はあるものの、「実際に両立するのは難しそう……」というネガティブな空気がなんとなく漂い、実情が正しく知られていない。そんな状況に課題を抱えていた独立行政法人国際交流基金様(The Japan Foundation。以下、JF)の人事担当者様と、JFでキャリアを重ねていくことの具体的なイメージが湧き、未来に対して前向きな感情が芽生えるような社内向けの資料を制作しました。
- メディア・コンテンツ開発
- クリエイティブ開発
[ プロジェクトのポイント ]
- 対話を通じて本質的な課題を抽出し、真のゴールに近づく体験の設計
- コンセプトからイラストディレクションまで、感情を動かす一気通貫のクリエイティブ
- 担当者に伴走し、組織内の合意形成を円滑にするプロジェクト設計
プロジェクトの背景
JFは、海外での芸術企画展や日本語教育の支援など総合的な文化交流を通じて、日本と世界の相互理解を深めることを目的とした独立行政法人です。年代を問わず海外勤務の機会があり、多様な経験を積みながらキャリアを広げられる一方で、赴任の時期を職員自らが決めることはできません。そのため、とくに女性職員の間では、「結婚や妊娠・出産などの人生設計を立てにくい」という声や、「キャリアと子育ての両立は難しそう」というイメージが広がっていました。
JF人事部では、キャリアとライフイベントの両立をサポートするさまざまな制度を整え、制度紹介の資料も作成しています。しかし、文字中心の資料のため理解に時間がかかり、制度自体の認知が広がっていかないことに課題感がありました。そこで、さまざまな組織の広報支援実績があるコンセントに「各種制度をわかりやすく、魅力的なデザインで紹介する資料をつくりたい」という問い合わせをいただきました。
問題解決までのアプローチ
課題を再定義し、感情に届く体験ゴールを設定
ライフイベントに合わせた各種制度は、自分らしくキャリアを築いていくための手段であり、人生のさまざまな場面で柔軟な選択を可能にする土台です。実際にJF職員の中でも、制度をうまく活用しながら仕事と子育てを両立したり、海外で子育てしながら新しいキャリアに挑戦したりしているケースは少なくありません。
一方で、人事担当者へのヒアリングからは、多様な働き方やキャリアの実態が存在しているのに知られておらず、若手職員の間で漠然とした不安が先行している状況が明らかになりました。つまり、制度自体の認知や理解以上に、ライフイベントとキャリアを両立しながら働く具体的なイメージを描きづらいことが、より本質的な課題として浮かび上がってきたのです。
そこで、本プロジェクトでは、結婚や子どもの誕生など大きなライフイベントをこれから迎える20~30代職員を主要ターゲットに設定。資料を読むことでキャリアと子育ての両立イメージが具体的に湧き、「自分にもやれるかも!」「こんな未来もいいかもしれない」と、JFでキャリアを重ねていくことに前向きな感情が芽生えるような体験設計を目指しました。
先輩の実体験を起点に「自分ごと」として読めるコンテンツ設計
未来の選択の多彩さを理解してもらうために、クリエイティブコンセプトを「歩き方は、ひとつじゃない。」に設定しました。資料前半のパートでは多種多様な悩みや決断、キャリア年表など、十人十色の先輩たちの奮闘記を紹介。まずはターゲットが知りたい疑問や不安に先輩たちが答える形で興味を引き、「自分ごと」として捉えてもらおうと考えました。
続く後半パートでは、両立を支える各種制度の全体像の概要をポイントを押さえて簡潔に紹介。キャリアと子育ての両立イメージを形成した上で、働く環境への安心感をもってもらえるような展開にしています。
先輩たちの考え方とキャリアの多彩さが伝わるよう、多種多様な事例を紹介した前半パート。悩んだりもがいたりしているリアルなエピソードをあえて紹介することで、読者が身近に感じ、より「自分ごと化」しやすい内容に。
未来に向けたポジティブな世界観をビジュアルで表現
ビジュアル表現においては、自分の可能性をひらく「扉」や、人生の歩みや紆余曲折を表す「道」をキーとなるモチーフに設定。読み進めるうちにキャリアの選択肢の広がりが実感できるような、明るくポジティブな表現を目指しました。
資料の表紙と中面。イラストレーターには、創造性あふれる作風が持ち味のアイハラチグサさんを起用した。
資料後半の制度紹介パートの冒頭には、制度全体像が一目でわかるビジュアルマップを配置し、いつ・どのようなサポートが活用できるのかを概観できるようにしています。また、各制度の詳細を紹介するページでは、情報構造の統一や文字量の適正化を図り、情報が探しやすく視認性の高いデザインにしています。
制度紹介パート
組織の合意形成を支え、担当者が安心して挑戦できる進行設計
JF人事部では、本プロジェクトのように外部パートナーとの共創で社内向け資料をつくり上げた実績は過去にほとんどなく、大きなチャレンジでした。しかし、その不安に負けないくらい気持ちのこもった「職員一人ひとりに自分らしさを発揮しながらキャリアを築いてほしい。人事部の本気を見せたい」という担当者の言葉から、デザインの力で職員の心を動かしたいという真剣な思いが伝わってきました。
コンセントではそのような背景を踏まえ、担当者が安心してプロジェクトに臨み、組織の協力や合意を得ながらスムーズに進められるよう支援を行いました。
プロジェクト進行においては、ゴールまでの全体プロセスと現在地、各工程での意思決定のポイントを綿密に確認しました。
ミーティングでは、オンラインホワイトボードを使いながら議論を整理し、論点を可視化。参加者全員が安心して意見を言えるようなファシリテーションや、担当者がJF内部の合意形成を円滑に進めるための提案書や資料づくりなどのサポートも行いました。
JFには組織内の情報収集などを担っていただきながら、コンセントと役割を分担して一つのチームとして動いたことで、関係者を巻き込みながらチャレンジングなプロジェクトを完遂することができました。
オンラインホワイトボードを活用し、リアルタイムに全員が同じ情報を得られる状況にすることで、議論を活性化。
お客様の声
- チーム一丸となって真剣にものづくりをするという体験自体が、とても楽しかったです。私たちの意図を正確にくみ取り、さらに発展させて形にする力に、プロフェッショナリズムとプロジェクトにかける熱量の高さを感じました。
- 深い議論をするための事前準備と定例ミーティングでの深掘りがとても丁寧で驚きました。スケジュール管理や情報共有の仕方も的確で、外部パートナーとの共創経験があまり多くない私たちも安心してプロジェクトを進められました。
- 完成した資料を社内にリリースした時には、今までにない量のポジティブなリアクションをたくさんもらいました。「自分のキャリアを考える上で参考になる情報が多い」「自分に必要な制度が一覧ですぐに見つけられるようになって助かった」などの声が寄せられ、ストーリーとデザインによるインパクトの大きさを実感しています。
プロジェクトメンバー
プロジェクトマネジメント、企画・編集、ライティング:古市弘子
デザイン、イラストディレクション:工藤好華
アカウントマネジメント:橘 泰良
外部パートナー
イラスト:アイハラチグサ(visiontrack)
[ プロジェクト概要 ]
| クライアント名 | 独立行政法人国際交流基金 様 |
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[ 関連リンク ]
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