
理念体系に込められた思いを言語化し 深い理解を促す体験をデザイン
パーソルホールディングス株式会社(以下、パーソルホールディングス)では、社員が理念体系を深く理解すること、そして日々の業務や身近な活動に生かすことを目指し、さまざまなインナーコミュニケーションの活動を行っています。その一環として、コンセントが、理念体系に込められた思いを伝えるカルチャーデックや、理念体系に関心をもつきっかけとなる診断コンテンツの体験設計・企画・制作を行いました。
- ウェブサイト・サービス
- VI・CI
- 広報ツール
- ブランディング支援
- メディア・コンテンツ開発
- クリエイティブ開発
[ プロジェクトのポイント ]
- 社長へのインタビューや担当者との対話を通した、理念体系の背景や思いの言語化
- 社員の気持ちに寄り添うための調査と複数チャネルでの体験設計
- 漫画やイラスト表現を用いた直感的に理解しやすいコンテンツ
プロジェクトの背景
理念浸透を目指す企業にとって、社員が理念体系の背景や内容を深く理解し、日々の業務に意識的に生かすことは重要な目標です。パーソルホールディングスは、複数のグループ会社をもち、72,905名(2024年3月31日時点)もの社員が多岐にわたる業務を担っています。そのため、社員が共通の価値観をもち、目標に向かって行動できるよう、理念体系の深い理解を促す取り組みが求められていました。
そこで、社員を含めたすべてのステークホルダーに向けて、理念体系に込められた意味や創業当時から引き継がれている大事な価値観を届けるツール「カルチャーデック」の制作に焦点が当てられました。この取り組みにより、理念体系をより深く知ることでパーソルホールディングスが大事にしている思いに共感してもらい、さらに日々の業務や身近な取り組みに生かしてもらうことを目指しています。
問題解決までのアプローチ
カルチャーデックの制作では、理念体系が決まった経緯把握や、社長・各部門担当者へのインタビューを通じ、理念体系に込められた背景や思いを詳細に言語化しました。さらに、ビジネスパーソン全般の企業理念体系に対する関心度や業務での活用度を把握するための意見調査も実施。その結果を踏まえて、カルチャーデックの最適な構成を検討しました。
また、社員の自分ごと化を促す診断コンテンツを含め、全体の体験の流れを整理しご提案しました。ポスターやスクリーンセーバーなどの施策も併せ、複数のチャネルで理念体系を伝える仕組みを設計しました。

クリエイティブのポイント
「山登り」を擬似体験する、感覚的な理解の促し
理念体系に含まれる、経営理念・行動指針・ありたい姿・グループビジョン。この4つを単独で理解するだけでなく、相互のつながりも含めて理解することを重要視しました。そのため「山登り」をメタファーにした演出を採用し、創業当時の思いから未来のありたい姿、グループビジョンに至るまでのストーリーを視覚的に体験できる形にしています。ステークホルダーが山を登るように理念体系を擬似体験することで、全体像を感覚的に理解し、共感を深めることができる仕組みを実現しました。


カルチャーデックの画面。山を登っていくごとに、創業時の思いから未来の姿までのストーリーに出会っていく。歴史のあるストーリーを表現するため格調高い世界観とした。雄大さと繊細さを併せもつ山の景色は、イラストレーター胡桃さんによるもの。
また、社員に対する調査から得られた「忙しい業務の合間でも理解しやすいストーリー構造が必要」とのニーズに応じ、サマリーページと詳細ページに分けた二段階のコンテンツ設計を行いました。これにより、まず大まかな内容を把握した後、興味が深まることでさらに詳細な情報へ進む流れをつくり、段階的に理念の理解を促進しています。
理念体系に込められた思いや背景は、抽象的な内容も含まれ、直感的に理解するのが難しいという課題もありました。そこで、具体的なイメージをもちやすいように、漫画やビジュアルを活用し、複雑な内容をわかりやすく伝えることを目指しました。

理念体系に込められた思いを表現した漫画とビジュアル。内容のわかりやすさを重視する一方で、理念を扱うため、軽すぎる印象は避けた。真面目さと洗練されたおしゃれさを併せもつYUNOSUKEさんのイラストレーションを起用。
キャラクターを活用し、楽しく自分ごと化する診断コンテンツ
さらに、理念体系を社員が「自分ごと」として捉えやすくするため、「登山家タイプ診断」サイトを開発しました。このサイトで20問の質問に答えると、自分の性格や仕事上の強みを登山家タイプに例えて診断されます。診断結果を読む中で、自分の価値観に近い行動指針を知る機会が得られる仕組みとなっています。
診断コンテンツの制作では、体験ユーザーが診断結果に納得感を感じてもらえるよう、診断の質問から結果が抽出されるロジックの設計過程で、簡易的なプロトタイプを用いた検討を行いました。また、サイトのインタラクションについては、エンジニアが実際に手を動かしながらデザイナーの持つイメージを具現化していきました。
この診断サイトをきっかけに理念体系に興味をもつことを狙いとしているため、診断結果を面白く楽しめるようなキャッチーなデザインやキャラクターの開発を行いました。
併せてポスターやスクリーンセーバーでこのコンテンツに興味を持つきっかけをつくっています。これらのコンテンツを通じて、自分が診断されたキャラクターを報告し合う社員が現れたりして、理念体系への関心を自然に引き出すことができました。

「登山家タイプ診断」サイトの画面。診断された時に愛着が湧くように、動物をモチーフにしたキャラクターを作成した。キャラクターのイラストは、愛らしいキャラクターデザインが魅力的な前田麦さんによるもの。

社内訴求用のポスターとスクリーンセーバー。カルチャーデックの世界観を伝えるとともに、「登山家タイプ診断」への関心を喚起している。
お客様の声
カルチャーデックと診断サイトの公開後、「これまでバラバラに情報が点在していた理念体系だが、背景や思いとともに1つにまとまったことで、ようやく立ち返る場ができた」という声が寄せられました。また、年次の浅い社員にとっては、グループの歴史や理念の背景を再確認し、日々の業務に生かす基盤を築くきっかけとなったという反応が得られました。
[ プロジェクト概要 ]
クライアント名 | パーソルホールディングス株式会社 様 |
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公開日/発行日 | 2024/9/2・2024/11/5 |
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