サービスデザインはビジネスを再設計し、問題を解きほぐすアプローチ

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    大崎 優サービスデザインチーム

サービスデザインは、「サービス」という有形/無形で構成される概念に対して、領域横断的なスキルやアプローチで問題解決やイノベーションを目指す一連のとりくみを指します。


一般にサービス、という言葉を見聞きした場合、店舗での接客や割引キャンペーン、ホテルや遊園地での体験などイメージがまず浮かぶのではないでしょうか。

しかしサービスデザインにおける「サービス」とは、サービス産業に限らずあらゆる産業(や組織)において、ユーザーがさまざまなステップや接点を経て体験する一連のプロセスのことを総じて「サービス」であると捉えています。その意味で、上記のようないわゆるサービス産業の各体験はサービスデザインの概念に包含されるものの、ほんの一部です。

一方でサービスデザインにおいては、ユーザーとの直接的な接点とはならない、しかし、サービスを提供するために行われる提供側のバックエンドもまた、「サービス」を構成している要素であると考えます。サービスデザインにおいては上記のようなマクロのユーザー体験設計とともに、具体的な各接点ごとのデザインを重視することも特徴的です。

それでは、具体的にサービスデザインにはどのような価値があるのでしょう?

たとえば、一般に企業や自治体などさまざまな組織体のそれぞれの事業部、部署では、日々各々が各々の目的意識で業務を遂行し、よりよい在り方を目指して改善を行います。しかし、プロダクトとしてのスペックの向上や、業務の効率化、新商品の開発など、それぞれのグループ目標単位では成果が出ているにも関わらず、組織全体としてはネガティブな方向に進んでしまうこともあります。

この場合、何がそうさせているのでしょうか。例えば、下記のようなことが考えられます。

  • それぞれのグループの改善や課題解決が同じ方向を向いていない、という組織上の問題
  • 各サービス提供関係者の想定しているユーザー像認識の不一致
  • 提供したいと思っている価値の認識がそもそもズレている

このように、多くの場合サービスを改善するためには、その提供に関連するさまざまなステークホルダーの視点や思考などの情報を取りまとめ、本質的な課題の在り処を探る必要があります。

また一方で、本質的な課題を追求すると、現実的には実行が難しいプランになってしまうケースもあります。サービスデザインにおいては、ビジネスイシューも考慮し、着地点を探ります。(ここでいう着地点とは、企業活動としての実現性や継続性などを指します。)どれだけユーザーにとって優れたサービス体験を考えたとしても、実際のものとして遂行されない、できないものであれば、適切にサービスをデザインしたとは言えません。

サービスデザインとは何かをまとめるとするならば、このような企業や組織、社会の課題解決に「本質的かつ現実的に」取り組む姿勢やマインドセットである、と言えるかもしれません。

情報空間としてのサービスデザイン


マクロのユーザー体験を考える上では、ユーザーを含めたステークホルダー間のコミュニケーションをどうデザインするか、が非常に重要になります。
とりわけ、スマートフォンやタブレットなどの情報デバイスを通した、ユーザーへのサービス提供をどうデザインするかは、サービスデザインの根幹をなすものと言えるでしょう。


「情報デザイン」に1973年から40年間取り組んできたコンセントには、ユーザーを中心とした、情報空間としてのサービスデザインにおける経験と実績があります。

新規事業としてのサービスデザインの開発、それに内包する製品のデザインやUIデザイン。
また、それらを生み出すための組織内ワークフローのデザインなど、幅広いソリューションを提供してきました。

それらは、Webサイト、Webサービスの情報アーキテクチャ(IA)の設計のような「エクスペリエンスのデザイン」やメディアの企画編集・デザインのような「コンテンツのデザイン」など、「情報をどうデザインし、ユーザーにどんな文脈で、どう伝え、豊かな体験を与えるか」を考え続けてきた結果でもあります。

一方で、そのようなノウハウを活かし、グローバルなサービスデザインのネットワーク“Service Design Network”の日本支部として、各国との交流を通してサービスデザインの事例やメソッドなどの情報収集を行い、編集・発信を通して日本におけるサービスデザインの普及も行っています。

[ 執筆者 ]

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コンセントは、企業と伴走し活動を支えるデザイン会社です。
事業開発やコーポレートコミュニケーション支援、クリエイティブ開発を、戦略から実行まで一貫してお手伝いします。

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