本書は、『WIRED』日本版前編集長の若林恵氏が率いるコンテンツメーカーの黒鳥社が制作、発行するマガジンシリーズ「黒鳥雑誌」の第2弾です。エストニアをはじめとする海外諸国の行政のデジタル化についての学びをもとに、来たるべき「行政府」のかたち、新しい「公共」のあり方についての考えをドキュメント化した一冊となっています。
日本では、2017年の「デジタル・ガバメント推進方針」(※1)においてサービスデザイン思考に基づく業務改革(BPR)の推進や、続く「デジタル・ガバメント実行計画」(※2)でのサービス設計12箇条の策定、サービスデザイン実践ガイドブックβ版の策定など、デザインアプローチによって行政サービスのデジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドラインが策定されています。一方で、行政府のデジタルトランスフォーメーションと現在、デザインに関わる方々との間にはまだ心理的な距離感があることは否めません。
本書は、『全国の「戦う公務員」に贈る! D.I.Y.でオルタナティブな「行政府論」』(※3)と銘打たれた通り、次世代ガバメントのビジョンをストレートに語りつつ、ヘビーメタルやジョーカーなどまで織り交ぜた異色の一冊です。これからの社会をかたちづくるためのデザインに関わりたいと考えているデザイナーにとっても、想像力を刺激される一冊となるでしょう。
行政や企業におけるサービスデザインプロジェクトを推進すると同時に、公共分野でのサービスデザインアプローチを研究・実践する「PUB.LAB.」を主宰するコンセントの小山田は、抽象概念のビジュアライズが必要な箇所の洗い出しや図版ラフ作成、内容についての意見交換等で本書に協力しています。
※1「デジタル・ガバメント推進方針」(2017年5月30日 IT本部・官民データ活用推進戦略会議決定)
※2「デジタル・ガバメント実行計画」(2018年年7月20日 デジタル・ガバメント閣僚会議)
※3 参照元:
《書籍情報》
『NEXT GENERATION GOVERNMENT 次世代ガバメント 小さくて大きい政府のつくり方』

- ■責任編集:若林 恵
- ■制作:株式会社黒鳥社
- ■図案協力:小山田那由他
- ■仕様:B5変型判/ソフトカバー/200ページ
- ■発行:株式会社黒鳥社
- ■発売:日本経済新聞出版社
- ■ISBN:978-4-532-18297-7
- ■発行年:2019年12月9日
- ■定価:1,800円+税