DMPという新しい調達手法とユーザー像を読み解き、行政機関と事業者をつなぐ
デジタル庁様(以下、デジタル庁)では、行政機関と事業者をつなぐSaaS調達プラットフォーム「デジタルマーケットプレイス」(以下、DMP)カタログサイトを開発し、運用しています。コンセントはデジタル庁より委託を受け、DMPカタログサイトの認知向上と理解促進のためのポスター、パンフレット、動画、ロゴマークなどを制作しました。
- 映像
- VI・CI
- 広報ツール
- 販促ツール
- ブランディング支援
- クリエイティブ開発
[ プロジェクトのポイント ]
- 専門的な制度と多様なユーザー像を捉え、前提理解を深める
- ユーザーの認知プロセスを整理し、伝え方の方針を明確化
- 多岐にわたる制作物を一貫してディレクションし、アクセシビリティを考慮
プロジェクトの背景
行政機関がサービスを新たに導入する際には、公平性・公正性を確保した上で調達を行う必要があります。
デジタル庁では、⾏政機関の調達手続きの負荷軽減と事業者の公共分野への参入を促進する目的で、両者の新たな接点を創出するためのDMPを運営しています。
その運営においてデジタル庁は、行政機関と事業者双方へのさらなる認知拡大や、利用促進のための新たなユーザーへの働きかけ、すでにDMPを認知しているユーザーへのメリット・利用手順に関するよりわかりやすい発信が必要だと考えていました。
問題解決までのアプローチ
そこでコンセントでは、「『わかる・⾏動できる』を実現するコミュニケーションをデザインする」を、本プロジェクトの取り組み⽅針に掲げました。
その⽅針に基づき、まずは⾏政機関と事業者という両者のユーザーに共通する認知パターンを「ユーザーステージ」として定義。「エントリー・ビギナー・エキスパート」という3段階のステージの中で、今回は⽬的に照らして「エントリー・ビギナー」ステージのユーザーに対する、興味喚起・不安解消・⾏動につながる流れを踏まえた広報物の在り⽅を検討・整理しました。
その上で、ポスター・パンフレット・動画・ロゴマークといった当初から予定していた制作物の構成を⾒直し、情報の過不⾜や接点の広がりを踏まえて最適化。さらなる訴求⼒向上のために、モーションロゴやノベルティグッズの制作、自治体向けメディアへの出稿を提案し、実施しました。
ユーザーの理想的な利⽤体験を想定し、各ステージでのメディアの役割を踏まえた上で、どのような情報をどのくらいの量でどう発信すべきか検討した。赤枠部分が今回制作したもの。
制作の初期段階では、既存資料の確認に加えて、ユーザーの⼀次情報をもつ関係者へのヒアリングによる簡易リサーチを実施。想定ユーザーである⾏政機関と事業者への理解を深めました。限られた制作期間の中でも、ターゲット像の解像度を最⼤限⾼めることに努めました。
DMPのユーザーは、⾏政機関であれば⾃治体や官公庁、事業者であれば⼤企業・中⼩企業・スタートアップなど、属性の異なる幅広い層が想定されます。⾏政⼿続きに対する理解度や熟練度もさまざまです。そのため、どの層をメインターゲットにするか、また各ターゲットがどんな⽴場で、どんな状況でDMPカタログサイトと接点をもつ可能性があるのかを整理・把握した上で、コピーライティングやビジュアルの⽅向性を探りました。
簡易リサーチで得られた結果をもとに、ユーザー像を仮説ペルソナとしてまとめた。
冊⼦や動画の内容検討・デザイン制作にあたっては、既存資料の読み込みに加え、検証⽤のDMPカタログサイトを実際に操作し、⾏政機関側・事業者側それぞれの操作⼿順や使⽤感を繰り返し確認しながら進⾏しました。ユーザーにとって便利な点やつまずきそうな点について実感を伴いながら理解し、冊⼦や動画の内容に落とし込んでいきました。
クリエイティブのポイント
コミュニケーション⽅針
「ビギナー・エントリー」というユーザーステージと、プロジェクトの特性を踏まえ、次の3点をコミュニケーション⽅針としました。
コミュニケーション⽅針
- 1.端的で直感的にわかりやすいコピーとビジュアルを採⽤する
- 2.親近感を保ちつつも、⾏政としての信頼感を感じさせる印象設計にする
- 3.JIS X 8341-3:2016(WCAG2.0準拠)とカラーユニバーサルデザインを参考に、視認性や可読性を考慮した視覚表現にする
デザインコンセプト
さらに、DMPの「⾏政機関と事業者をつなぐ」という役割から「架け橋」というデザインコンセプトを掲げ、各制作物のビジュアル表現に適⽤していきました。
制作物のポイント
1. ポスター
ポスターは、庁舎内の掲⽰板や商⼯会議所、業界イベントブースなど、⼈の往来の多い場所への掲⽰を想定しています。そのような状況でも、DMPが⾏政機関と事業者をつなぐ「架け橋」であることが⼀⽬で伝わる表現を⽬指しました。
⾏政機関と事業者が連携しながら調達を進めていく様⼦を、橋でつないだ島のようなイラストレーションで表現。SaaSサービスを活⽤する⾏政や市⺠の姿も盛り込み、調達というプロセスの先に、SaaS活⽤によって社会がより良くなる世界を想起させるものにしました。加えて、⾏政機関・事業者それぞれのDMP活⽤メリットを端的に記し、訴求点が⽬に留まりやすいようにしています。
また、⾏政機関と事業者という両者のユーザーへ向けたものであることを⽰すために、それぞれの固有⾊を設定しました。⾏政機関は紫⾊、事業者は緑⾊とし、⾊覚特性上も⾒分けやすい配⾊にしています。さらに、イラストレーションや⽂章での補⾜を加え、⾊以外でもどちらに向けたメッセージなのかが伝わりやすいようにしました。
A1判とA4判の2サイズで展開。A4判(右)は掲⽰の他に配布も想定し、裏⾯に活⽤メリットの詳細説明を掲載した。イラストレーターは、親しみと信頼感が共存するタッチの岡村優太⽒を起⽤。
2. パンフレット
パンフレットは、⾃治体向けの説明会や企業向けセミナーなどでの配布を想定しています。会場で確認する、終了後に読み込んでカタログサイトの利⽤へ進むといったユーザーの⾏動を考慮し、その動機付けにつながるような編集を⾏いました。
図やイラストレーションを⽤いて複雑な内容をかみ砕いたり、操作時のつまずきを避けるためのポイントを補⾜したりしました。さらに、先⾏ユーザーの体験談も掲載し、ユーザーの⾏動を後押しできるようにしています。
行政機関と事業者双方にとってのメリットをイラストレーションとともに提示した。デザインの配色やイラストレーターはポスターとそろえ、イメージを統一している。
1冊の中で⾏政機関向けのページと事業者向けのページが混在しているため、それぞれの冒頭ページでは切り替えが明確になるように、⾒出しを⼤きく⽴て固有⾊を背景に敷いた。
利⽤⼿順の説明に加え、つまずきがちなポイントを別枠で⽰す(左ページ)、DMP活⽤事例を掲載する(右ページ)などの⼯夫を施した。
3. ショート動画・チュートリアル動画
カタログサイトの概要やメリットを端的に伝えるショート動画と、操作⼿順をわかりやすく解説するチュートリアル動画を制作しました。
いずれもポスター・パンフレットと同様のイラストレーションを使ったアニメーションで、視聴しやすいムードにしています。併せて、カラーユニバーサルデザインを考慮した配⾊設計、ナレーションと同内容のテロップ表⽰、動画代替テキストの掲載により、アクセシビリティを向上させました。
ショート動画は、DMPカタログサイトの全体像や利⽤メリットを短時間で把握できる構成としています。イラストレーションに表情や動きのアニメーションを加えることで、DMP活⽤メリットや、利⽤がさらに広がっていく世界を直感的に想起できる演出としました。
DMPの概要と利⽤メリットが、端的にテンポよく伝わるよう構成した。
チュートリアル動画は、調達プロセスに沿って⾏政・事業者双⽅の視点で操作⼿順を紹介しています。各プロセス説明の冒頭では常に全体像を参照できる構成とし、複雑な調達プロセスの中での現在地をわかりやすくしました。さらに、実際の操作画⾯と図解を組み合わせることで、複雑な⼿順でも理解しやすく、最後まで飽きずに視聴できるようにしています。
実際の操作画面とイラストや図をバランスよくミックスさせたアニメーション表現
4. ロゴマーク/掲載マーク
DMPの認知拡⼤に⽋かせないDMPロゴマークと、事業者のサービスがDMPカタログサイトに掲載済みであることを⽰すDMP掲載マークの2種類を制作しました。
DMPロゴマークは、DMPがSaaS製品を扱うプラットフォームであり、従来の調達方法とは異なる先進的な⼿法であることを想起させるデザインを⽬指しました。DMPの核となる「Market」のMをモチーフに、中央部分を柔らかく湾曲させた形状とすることで、DMPが⾏政機関と事業者をつなぐ「架け橋」であることを表現。併せてモーションロゴも制作し、⾳や動きでもロゴマークに込めた思想が伝わるようにしました。
ロゴマークは表記別に各種パターンを用意。鮮やかな青色は、デジタル庁のデザインシステムで定義されている「プリミティブカラー Blue-90」を採用した。
クリアで明るい音色に乗せて、青い光の粒が集まりロゴマークをかたちづくるモーションロゴ。「架け橋」の部分が最後に出来上がることで、その意味を強調させる仕掛け
DMP掲載マークは、⼩さなサイズで掲載しても視認性が損なわれないようシンプルにデザインしました。併せてガイドラインも作成し、2つのマークが媒体や利用シーンが変わっても一貫したルールのもとで運用できるよう、使用方法や注意点を整理しました。
DMP掲載マーク(上)と2つのロゴマークのコンセプトや使用方法を記載したガイドライン(下)
5. ノベルティグッズ/メールマガジン
業界イベントや各種説明会などでの活⽤を想定したノベルティグッズを制作しました。受け取った⽅が、⽇常⽣活や職場で違和感なく使えるよう、シンプルなデザインにしました。また、クリアファイルは環境に配慮した素材を採⽤しています。
Tシャツ(上段左)、ステッカー(上段右)、ペン(下段左)、クリアファイル(下段右)。Tシャツは、デジタル庁職員が広報活動時に着用している。
さらに、⾏政機関への認知をよりダイレクトに広げるために、⾃治体向け情報メディア「⾃治体通信」のメールマガジンへの記事出稿も⾏いました。
プロジェクトメンバー
プロジェクトマネジメント:小山田那由他
プロジェクトマネジメントサポート:野津眞衣
アカウントマネジメント:山本耕太郎
クリエイティブディレクション:髙橋裕子
コンテンツディレクション:鈴木奈都子
アクセシビリティディレクション:佐野実生
アートディレクション:青木由季、中野文俊
映像プロデュース:金井明秀
ノベルティディレクション:山本泰子
デザイン:里見高章、青木晃治、林 風果
リサーチ、ライティング:中筋ひかる
映像ディレクション:森田侑作
イラスト制作:岡村優太
楽曲制作:株式会社サウンズオブメモリー
[ プロジェクト概要 ]
| クライアント名 | デジタル庁 様 |
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| URL | |
| 公開日/発行日 | 2026/4/28 |
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