施設と地域の「体験」をイラストレーションで伝える
ホテルやレジャー施設などを運営する株式会社グランビスタ ホテル&リゾート様(以下、グランビスタ)。全国各地で多様な事業を展開し、地域の魅力を生かした体験づくりに取り組んでいます。
コンセントでは、グランビスタが運営する施設で配布する一般利用者向けパンフレットの制作を2016年ごろから継続して担当しています。今回は、長らく使用してきたパンフレットの表現や仕様を刷新するタイミングとなり、12拠点にわたるパンフレットの全面リニューアルを行いました。
- 販促ツール
- メディア・コンテンツ開発
- クリエイティブ開発
[ プロジェクトのポイント ]
- 伝えるべき価値を整理し、その内容に適した表現手法を選定
- 地域の魅力や体験価値を伝えるイラストレーション開発
- 紙面構成を見直し、多様な利用に対応できる形に整備
プロジェクトの背景
パンフレットの刷新に当たり、表現方法の検討が行われました。その中で、施設の魅力だけでなく、地域との関わり方まで含めてどのように伝えるかが重要な論点になりました。具体的には、「写真でホテルの雰囲気をリアルに伝えるか」「従来のイラストレーション表現を踏襲するか」といった点です。
一方で、グランビスタが展開する施設は全国に数多く存在します。全ての施設の外観写真を撮り下ろす場合、スケジュールの負荷が大きくなることが想定されました。さらに、写真表現では印象が似通いやすく、競合他社との差別化が難しくなるという課題もありました。
問題解決までのアプローチ
コンセントでは、施設単体ではなく「その地域の旅情や魅力」も併せて描くことで、グランビスタのブランドステートメントである「地域の価値で、未来を変えていく。」を視覚的に表現することを目指しました。そこで、イラストレーションを中心とした構成とビジュアル表現を提案しました。
イラストレーションでは、建物だけでなく、周辺の風景や文化、観光スポット、アクティビティ、そこで過ごす人々の姿まで含めて描くことができます。地域全体の魅力を、立体的かつ物語性のある形で表現できると考えました。
イラストレーションの開発に当たっては、まず各施設の特徴や周辺環境を把握するためのリサーチを実施。その内容をもとに初期ラフを作成しました。
その後、グランビスタの施設担当者や広報チームと意見交換を重ねながら、「伝えたい地域の魅力」や「描くべき体験イメージ」を確認し、表現を具体化していきました。
こうしたプロセスを通じて、共通のトーンを保ちながらも、各施設の個性や地域性が自然に反映されたビジュアルを形づくっています。
パンフレットの初期段階の構成ラフ。京都のホテルは特徴的な外観を中心に、舞妓体験や周辺の歴史的建築物など、「その土地らしさを強調する要素」で構成。
イラストレーションのラフを反映した中期段階の構成ラフ。札幌のホテルは、館内バーでお酒や音楽を楽しむ様子を描き、滞在の時間や雰囲気を表現。
クリエイティブのポイント
一つの企業が運営するブランドとしての統一感と、施設ごとに異なる地域性・個性の表現を両立するため、今回のアートディレクションでは以下の2点を軸に設計しました。
- 1.統一されたイラストタッチと設計思想により、ブランドとしての「一体感」を確保
- 2.各施設の物語性や体験イメージを丁寧に描き、施設ごとの「個性」を表現
その結果、手に取った方が「他の施設のパンフレットも見てみたい」と感じるような、シリーズ性のあるビジュアル構成が生まれました。
各施設のパンフレットの表紙。施設ごとの個性を出しつつ統一感をもたせた。
イラストレーターには、東京メロンボーイ氏を起用しました。現代的な雰囲気をもちながら、光や影の印象的な描写によって情緒を感じさせる表現を得意とする作家です。イラストレーションを通して、ブランドの世界観に寄り添った、表情豊かなビジュアルを実現しました。
パンフレット全体に描かれたイラストレーション。ダイナミックで印象的に仕上げた。
従来のパンフレットは観音折り仕様*1で、表紙のみにイラストレーションを用いたデザインでした。
今回のリニューアルでは、地域の広がりや旅のスケール感をより視覚的に伝えるため、仕様を蛇腹折*2に変更しました。これにより、片面全体に大きな一枚のイラストレーションを展開でき、建物だけでなく周辺エリアや体験シーンまで含めて表現することが可能になりました。
また、広げた状態のPDFデータをそのままウェブサイトに掲載できるため、オンラインでの閲覧にも適した媒体となっています。
*1 紙の両端を中央に向けて内側に折り込み、さらに中央で二つ折りにする加工
*2 紙を均等な幅に山折りと谷折りでジグザグに折る加工
蛇腹折りの特性を生かし、ウェブサイト上での閲覧も印刷媒体との印象が変わらない仕様に。
翻訳会社と連携し、英語版も併せて制作しました。日本語から英語へ翻訳すると文字量が約1.5倍に増えるため、英語版では文字量が増えても圧迫感のある印象にならないよう、余白や改行を調整しています。日本語版との印象の差異が生まれないよう配慮しながら、読みやすさを担保しました。
日本語版(写真上)、英語版(写真下)の誌面構成。微細な余白や文字詰めなど、細部まで配慮して制作した。
[ プロジェクト概要 ]
| クライアント名 | 株式会社グランビスタ ホテル&リゾート |
|---|---|
| URL | |
| 公開日/発行日 | 2025/10 |
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