ワコール   『ブラパン100』出版プロデュース

日本有数の下着メーカーである株式会社ワコール様（以下、ワコール）。商品を購入し、講座やワークショップに参加していただく既存顧客だけでなく、もっと多くの方と繋がりたいという思いから、書店等での偶発的な出会いを生む新しい顧客接点としての「本」に着目しました。コンセントは企画・編集、デザインから流通まで、新規顧客接点創出を見据えたトータルな出版支援を行いました。そうして生まれた書籍『ブラパン100 － 聞きたくても聞けない、下着のホンネ－』は多くのメディアに取り上げられ、性別や年代を超えた幅広い層を「下着の話題化」に巻き込んでいます。

ワコールで9年間に渡って実施してきたWeb登録会員対象のアンケートに基づくコーポレートサイトのコンテンツ「みんなのブラパン！」を本にまとめたい、というご相談をいただきました。記念誌ではなく一般書籍として市販することで、新たな顧客層にリーチできるのではないか、という狙いです。コンセントでは、これまでワコールのWebサイトリニューアルや共創ワークショッププロジェクト「ワコールつどいプロジェクト」を実施しており、それらの実績を通じたワコールへの理解と、編集・エディトリアルデザインの知見が豊富でグループ傘下に出版社を擁していることから、書籍の企画から流通までトータルで手がけられることを期待されていました。

プロジェクトの全体を通して、単に売れる本、話題になる本を目指すのではなく、「目的はこれまでにない顧客接点の創出であり、Webコンテンツを活用したCRM施策であるということ、そのために、息長く市場にとどまるに耐えられる本をつくろう」という共通認識を固めるためのコミュニケーションを進めていきました。
もとになったアンケートの内容は、「パンツ何枚持ってる？」「ブラを洗う頻度は？」といった、下着にまつわる素朴な問いばかりですが、9年間で延べ40万人もの女性からの回答を得ています。寄せられた自由記述のコメントも、知人・友人にはむしろ言えないような本音の詰まったものばかりでとてもおもしろく、顧客との関係性を築いてきたワコールだからこそ実現した価値あるコンテンツと言えます。
回答自体がおもしろいので、余計な編集は加えず、アンケート結果をシンプルに示す方針に。見習いたい美意識もおすすめしづらい習慣もありのまま掲載し、ワコールが知ってもらいたい最低限の基礎知識のコラムを別立てで挟み込むことにしました。
書籍の制作だけでなく、独特な商習慣をもつ出版業についての疑問や不安を丁寧にときほぐしながら、今後ワコールがこのコンテンツを活用していきやすい建て付けにすることも重視しました。
書籍のプロモーションにおいても、メディア選定、コピーライティング、デザインをコンセントで担当。書店向けのプロモーションツールと新聞広告を中心とした施策を行いました。

既存のワコールファンや下着好きな方だけでなく、幅広い層にリーチしたいと考え、ピンクを基調としたワコールカラーや女性らしいエレガントなテイストをあえて外し、ミントグリーンとブラウンの2色使いと白色度の高い用紙を採用し、クリーンで品良い印象にまとめました。テーマの特性上懸念される、下世話なノリからも距離を置くよう配慮しています。
集まった生の声のおもしろさを活かすため、100の問いをフラットに見せる構成に。単調なデータの羅列にならないよう、下着の基礎知識コラムをテンポよく挟み、グラフやあしらいに手描きのニュアンスを加えて厚みを出しました。全グラフの下にあしらった動物イラストでは、変化と温かみを持たせるだけでなく、セリフで各項目への感心や驚きといったワコールの声を嫌味なく代弁させています。
プロモーションでは、AZグループの強みを活かし、書店営業をふまえた施策を選定しました。ノベルティとしてオリジナルマスキングテープを制作したほか、ポスター、平積み箱型POP、小型POPやパネルといった販促ツール類も書籍本体と親和性の高いデザインにまとめました。

書籍を出版したことで、ビジネス系ニュースサイトやラジオなど、ふだん、下着という文脈ではあまり接点のないメディアからの取材や出演依頼を何件もいただき、発売から半年以上経っても問い合わせがあります。Yahoo! トップページにも記事が掲載され、新しい顧客層との接点構築に寄与しています。

• プロジェクトマネージャー：1名
• エディター・ライター：1名
• アートディレクター／デザイナー：2名
• 出版営業：1名