CMSをどう選んでいますか? サイト運用をスムーズにする選び方のポイント

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    山﨑 貴史ウェブディレクター

企業のウェブサイト構築の際に、「外部の業者に依頼しているサイトの運用を社内で行うためにCMSを導入したい」という相談を受ける機会が多くあります。皆さんはこんな理由でCMSを選んでいませんか?

  • コストが安いから
  • メジャーなCMSだから
  • 使い慣れているCMSだから

これらは選定の重要な要素の一つではあるものの、一側面だけを捉えて十分な検討を経ずに導入した結果、「必要な機能を実装するには有料のオプションが必要だった」「広く使われているCMSなので攻撃対象になる頻度が高い」「バージョンアップの頻度が高く、日々の業務の中で使い方の学習が追いつかない」......などの問題が発生し、数年たたずに見直しが必要になったケースもたびたび耳にします。

この記事では、クライアントがCMS導入を検討する際にコンセントが実施しているアドバイスを紹介します。

メインビジュアル。自社サイトにCMSを導入する様子が、イラストで描かれている。

CMS選定の3つのポイント

コンセントでは「サイト運営の課題に対して有効なCMSである」ということが選定において特に大事な基準だと考えています。その点を重視しない場合、想定外の問題が発生して一から計画の見直しが必要になかったり、せっかく開発したものが長期的に活用できなかったりといった「サイト運営の危機」を招きかねない事態に陥ってしまうからです。

CMS選定のポイントとは具体的に何か。以下に、主立った3つの観点を解説します。

1.サイトの役割・使い方に合っているか

CMSを導入しようとしているウェブサイトの役割は何でしょうか?また、いつ・誰が・どのように運用するのでしょうか?企業サイトなのか、商品・サービスサイトなのか、プロモーションやランディングのためのページなのか。使い方として、一人で更新するのか、複数人で更新するのか。それらの条件によって必要な機能も変わるため、まずは役割・使い方を明確にすることが重要です。

2.運用体制や業務フローを考慮しているか

企業が運営するサイトは、部署の垣根を越えた複数人がチームを組んで運用していることも珍しくありません。また、公に発信する情報を扱う性質上、その正確性やトレーサビリティを担保するために、承認フローなどの機能が必要になる場合もあります。さらには何かトラブルが発生した際のバックアップ・復元機能なども要件として含まれます。

このように、運用当事者の役割に応じた権限付与や、制作から公開までのフローもCMSを選定する上では重要な要素となります。ただし、より効率的なサイト運用をするためには、システム側の調整だけに依存せず、CMSの導入や改修を機として体制や業務フローを最新化・最適化することも大切です。

3.安全性やシステム要件をクリアしているか

サイトの役割や用途によって、求められる安全性やシステム要件は異なります。どんなサイトであっても改ざんやシステムのクラッキングは望まれませんが、サイトに何かトラブルが発生したとき、1秒の瞬断も許されないのか、1日程度のダウンが発生しても特に問題はないのか、サイトごとに要求される基準を精査して、その要件をクリアするCMSを選ぶ必要があります。

企業サイト向きのCMS、それぞれの特徴

企業サイトに利用できるCMSを大まかに分類すると、次の3つのタイプに分けられます。

1.ブログCMS

Movable TypeやWordPressに代表される、ブログを簡単に公開できることを目的としたテンプレート・機能をもつCMS。複雑な機能を必要としない小中規模のサイトであれば管理・運用も問題なく行えます。現在はクラウドサーバーにすでにインストールされたCMSをサービスとして利用できるものもあり、サーバー管理にリソースを割けないような状況では非常に便利です。

例)Movable Type、WordPress など

2.マーケティング活用向けに豊富な機能がパッケージ化されたCMS

数百から数千ページある中〜大規模サイトを管理・運用するためのCMS。CMS自体の機能はブログCMSに比べて豊富で、複数人での管理や承認フロー、フォームなど業務形態に応じて活用できる機能を有するパッケージが多いです。標準パッケージにない機能は、プラグインやアドオンで機能を拡張できるほか、外部MAツールやアクセスログ解析、SNS等と連携することもできます。

例)PowerCMS、HeartCore CMS、Drupal、NOREN など

3.グローバル展開、大規模サイト群のウェブガバナンス構築向けCMS

国内だけでなく、世界各国にグローバルサイトを展開しているサイト群に対し、統一されたガバナンス、セキュリティ、機能を提供するために利用されるCMS。CMSだけでなく、マーケティングや顧客管理、アクセスログ解析などとパッケージ化したトータルソリューションとして提供されることが多く、ライセンス費用や年間のサポート費用も高額(数千万円台)となります。

例)Adobe Experience Manager(AEM)、Sitecore、OpenText TeamSite など

CMS導入時に気を付けたいこと

CMSの選定と同じく、そもそも何を開発要件にするかの検討も慎重に行わなければなりません。

使わない機能を増やしていないか

「せっかく予算を割いてCMSを導入・開発するのだから」と、ついさまざまな機能を盛り込みたくなってしまいます。しかし、CMSはカスタマイズが増えれば増えるほど、アップデートを行う際の費用がかさんだり、状況によってはアップデート自体が困難になることがあります。また、外部開発のプラグインを組み合わせて機能を拡張する場合であっても、その持続性は基本的に担保されません。それらを考慮に入れつつ、カスタマイズは慎重に行うことが重要です。

予期せぬ予算追加を防ぐためにも、CMS以外で担保できる機能や運用体制でカバーできる部分はないか整理してみましょう。

アップデートも含めた継続的な保守が必要

導入して終わり!というCMSは存在しません。サイトを運用するのと同じく、CMS自体も継続的に維持し更新を行っていく必要があります。外部からのアクセスが発生する環境でCMSのアップデートを行う場合、脆弱性を突かれた攻撃の対象にも成り得ますので、その保守対応費用などもランニングコストとして見込んでおきましょう。

CMSのアップデートも、メジャーアップデート、マイナーアップデート、セキュリティアップデートなど種類があります。導入するCMSをどんなサイクルで更新し、どのアップデートにどのように対応するか、あらかじめ方針を擦り合わせて計画を立てておくことをお勧めします。

セキュリティ的な安全を確保する

いずれのCMSにおいてもセキュリティを担保するために対策が必要です。サーバーサイドでのプログラムが動作するCMSは、静的なHTMLよりもセキュリティ的に狙われやすいため、HTMLファイルを対外的なサーバーに配信して分離するなどの対策が有効です。また、機能拡張のために利用するプラグインやアドオンの製作元が信頼できるものか、開発・更新が継続的になされている状態なのかを必ず確認しましょう。

さいごに

CMSを選定する際に検討することや、どんな種類があるのか、そして導入するときに気を付けるべきことを簡単にご紹介しました。
CMSはサイトの特性や運用・保守の実態など、適用先のサイトの現状を明らかにした上でそれにマッチするものを選ぶことがとても大切です。

この記事が、皆さんのサイト運用をよりスムーズにするためのCMS選定の一助となれば幸いです。

[ 執筆者 ]

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