ソラスト   新企業理念策定・コアコンピタンス再定義プロジェクト

イメージ:私たちは、人とテクノロジーの融合により、「安心して暮らせる地域社会」を支え続けます。

未来へ向けた理念のリデザインと
強みの再認識

株式会社ソラスト様(以下、ソラスト)は、1965年に日本初の医療事務教育機関として創業。以来、医療事務受託事業を中心に介護・保育分野へと事業範囲を拡大し、今日では、全国で医療事務・介護・保育の仕事に携わる約30,000人の従業員を抱えています。コンセントは、サービスデザインやブランディングの知見を活用し、新たな企業理念の策定とコアコンピタンスの再定義を支援しました。

  • ドキュメント・スライド
  • VI・CI
  • ブランディング支援

[ プロジェクトのポイント ]

  • 経営層や現場社員など、立場の異なるさまざまな関係者から情報を広く深く引き出すヒアリングやアンケートの実施
  • 活発な対話を生むワークショップの設計とファシリテーション
  • 過去の歴史と未来へのビジョンから発想し、強度のあるテキストを紡ぐ編集力

プロジェクトの背景

ソラストの企業理念は、大きく経営の舵を切った2012年10月に、事業範囲の拡大、社名変更と併せて制定されたものでした。それ以来事業規模が成長し続けるとともに、ソラストを取り巻く事業環境もまた変化し続けてきました。

そのような流れの中で、ソラストには「30年後も継続的に存在意義がある会社であり続けるために、向かうべき方向と大切にすべき価値観をいま一度認識することが必要である」という想いがありました。そこでソラストの組織内では、「すべての事業の礎となる価値観」としていた企業理念の改定が求められていました。さらに「今後より一層磨いていくべき強み」としてコアコンピタンスも同時に明確化し再定義したいと考えていました。

プロジェクト開始時点で、ソラストではすでにパーパスの言語化に取り組んでおり、新たな企業理念のベースとなる考え方について議論が始まっていました。
しかし、経営層のバックグラウンドがさまざまであること、約30,000人の従業員を擁する会社規模であることなどから、役職や立場の異なる多くの関係者が皆納得できるプロセスで進行することに課題を感じている状況でした。

問題解決までのアプローチ

1. 仮説設定・リサーチ方針の決定

コンセントでは、ソラストが50年以上の歴史をもつ会社であることに着目しました。その点から、今後のあるべき姿を構想する視点だけではなく、これまで大切にしてきた価値観や磨かれてきた強みも発掘・再認識することが重要であるとの仮説を立てました。
そこで「未来を構想する視点」「過去を探索する視点」の両者を軸とし、組織内でのリサーチを計画・実施していきました。

2. ヒアリングやアンケートによる情報収集

経営層と各事業部のトップの方一人ひとりへのヒアリング(計17名)と、社員へのアンケート調査を実施。ヒアリング過程では、企業理念に対する一人ひとりの意見やその背景にある考えや想いも引き出していきました。

画像:質問項目リスト。質問内容と目的が整理されている。

ヒアリングでは上記のような質問項目を用意し、その場での回答・発話内容に対してさらに質問を重ねていくことで、個々人の考えや想いを掘り下げていきました。

それらを集約していくと、企業理念に関連する経営ビジョンや社員の行動指針などの位置付けに関する課題とは別に、「最上位の概念は企業理念というラベルで良いのか?」といった根本的な論点も浮かび上がってきました。そのため、もともとの企業理念の策定とコアコンピタンスの再定義に加え、それらの概念がどのような名称や関係性で位置付けられるべきか、理念体系の整理も並行して行うことにしました。

3. ワークショップでの意見集約

幅広く情報収集を行いながら、経営層と3回のワークショップを実施しました。そのなかで企業理念と理念体系の在り方について、具体的なアイデアをもとに議論を進めていきました。

キャプチャ:ワークショップで利用したmiroの画面。

経営層とのワークショップでは、オンラインホワイトボードMiroを活用して議論や意見の集約を行いました。

コアコンピタンスの再定義に関しては、次の検討方法を取り入れてワークショップで議論しました。
まず、コアコンピタンスの3条件といわれる「顧客に何らかの利益をもたらす自社能力」「競合相手に真似されにくい自社能力」「複数の商品・市場に展開できる自社能力」、これらすべてに当てはまるものをその定義としました。

図:コアコンピタンスの3条件を説明するベン図。

ヒアリングを通じて抽出した「強み」を、コアコンピタンスの3条件にプロットし、ワークショップでの検討を通じて選定しました。

その上で、前述のヒアリング結果から「これまでに発揮してきた強み」と「これから磨いていくべき強み」を要素として計24種類抽出し、この3条件に当てはまるものを議論していきました。
最終的には3種類の要素(強み)を選定し、それらを一文のテキストに編集しました。

クリエイティブのポイント

企業理念

テキスト:私たちは、人とテクノロジーの融合により、「安心して暮らせる地域社会」を支え続けます。ソラストグループは、医療・介護・保育・教育などの現場において、社員一人ひとりの高い専門性と優れたチームワークの発揮、テクノロジーの先進的で柔軟な活用によって、地域に密着したサービスを実現し、お客様の元気と笑顔を支え続けます。そして、社員それぞれの幸福な人生と、安心して暮らせる社会の実現に向かって歩み続けます。

2022年4月1日付で改定された新たな企業理念

メインテキスト(私たちは、人とテクノロジーの融合により〜)は、経営層が将来へ向けた最重要キーワードとして共通認識をもつ「人とテクノロジーの融合」を軸に、「安心して暮らせる地域社会を支え続ける」をつなげて、永続的に取り組む姿勢と会社の存在意義を表明することを意図しています。
また、ステートメントとなる後半のテキスト(ソラストグループは〜)は、高い専門性をもった社員とチームワークによって成り立つ現場こそが、会社の強みであり財産であるとの全社的な認識・理解を一層深める役割を担う部分として、プロジェクトメンバー間で表現を丁寧に吟味し、策定しました。

コアコンピタンス

テキスト:専門性を備えた人材力とテクノロジーの活用により、サービスの現場を変革・創造する力

ソラストはこれまでも「専門性を備えた人材力」を強みとしてきましたが、これからは、その強みに対して「テクノロジーの活用」を掛け合わせることで、全国という規模でもつ「サービスの現場」を変革、さらには新しく創造する力を今後も事業の原動力とし、さらには磨き続けていくのだという強い意志がこの一文には込められています。

理念体系

図:理念体系を説明するピラミッド図。

企業理念を最上位の概念として、その下に、すでに取り組んでいる数値目標やサステナビリティに関連するテーマ、また事業計画などを紐付けました。コアコンピタンスと、ソラストが大切にしたい価値観である「Solasto Way」は、それら全体を支える基盤としての位置付けとしました。

本プロジェクトによる成果

企業理念の改定に関しては、ソラスト社内から「今まで取り組んできたことが表現されており共感できる」「理念体系が整備されてよかった」というポジティブな声が上がっています。またコアコンピタンスについても、プロジェクト関係者から「会社としての強みがこれまでよりも非常に明確になった」という声をいただけました。
社員に向けては、すでに全社会議にて社長より企業理念改定についてのメッセージが発信されているほか、新たな企業理念が掲載されたカードが作成・配布されており、改定直後からさまざまな浸透施策に取り組まれています。

[ プロジェクト概要 ]

クライアント名 株式会社ソラスト 様
公開日/発行日 2022/04/01

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