UX定義が導く、ビジネス成果を最大化するウェブサイト構築

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    足立大輔プロデューサー/プロジェクトマネージャー

こんにちは。プロジェクトマネージャーの足立大輔です。

この記事では、ビジネス成果を出すためのウェブサイト構築に欠かせないと考えている「UX定義」について、どのような役割を担う工程なのか、何のために実施するのかをお話しします。

ユーザー行動を調査しているイメージのイラスト

UX定義はサイトが「目指すゴール」を可視化する

コンセントの標準的なウェブサイト構築プロセスの最初に「要件定義フェーズ」があります。「何をつくるか」「どうつくるか」だけでなく「どんな成果につなげるのか」を可視化し、ビジネスにとって意義のあるサイトにするための「目指すゴール」に関する合意形成を行うフェーズです。

進め方としては、ユーザーはどんな目的でサイトを訪問し利用しているのか、クライアント企業はサイトをビジネス上どのように位置付けているのか、どのようなインフラや体制で運営しているのか、などを明らかにするための調査や課題の抽出・分析を行います。

コンセントのウェブサイト構築のプロセスを表す図。要件定義、設計、開発・構築、運用の4フェーズで構成されている。

コンセントの標準的なウェブサイト構築プロセス

「UX定義」はこれらの情報に基づいて、サイトを訪れたユーザーにどのような体験をしてもらえると、ユーザーとビジネス双方にとって良いサイトといえるのかについてを定義する、要件定義フェーズの中でも非常に重要な工程です。具体的に見ていきましょう。

UX定義の進め方

1.サイトでのユーザー行動を知る

最初のステップとして、サイトの利用者が誰で、どんなニーズをもってどのようにサイトを訪れ、ニーズが充足されるかの仮説を可視化します。この一連のユーザー行動をカスタマージャーニーマップやユーザーフローにまとめることで、サイトに求められる役割や、ユーザーとの接点のもち方を検討することができます。

ユーザーフロー図の例。どの大学を受験するかを検討している受験生の、ウェブサイト上での行動が記載されている。

ユーザーがどのようなニーズをもってサイトを訪れるかを可視化する「ユーザーフロー図」

より深くユーザー行動を知りたい場合や仮説を検証したい場合には、ログ分析やウェブアンケート調査などの傾向を知るための定量調査や、ユーザーテストやインタビュー調査など行動・発話からインサイトを得る定性調査なども活用します。実際に行うプロセスや手法は、どこまで必要かを相談しながらプロジェクトごとに決めています。

2.サイトのビジネス要件を知る

サイトが目指すゴールを考える上で、企業のさまざまなビジネス活動への理解を深めることは必須です。そのため、プロジェクト関係者に対してビジネス成果・商流・業務に関するヒアリングを行い、コーポレートコミュニケーションやマーケティングの全体像とそのステークホルダー、サイトとの関係性などを明らかにします。

また、企業のパーパスや中期経営計画などで示されるビジネス戦略を踏まえ、サイトに期待されることは何か、関係部署はどのような責任・役割を担うのかなど、企業にとってのサイト活用の現状や課題も把握します。

ステークホルダーマップの例。コンセントの採用サイトを例に、就職希望者や転職エージェント、人事担当者、コンテンツ制作担当者などの関係性について記載している。

サイトが対象とするビジネスがどのようなステークホルダーで成り立っているのか、サイトとはどのような関係があるのかについて記述した「ステークホルダーマップ」

1で述べたユーザー行動と、ビジネス要件のどちらが大事なのかと聞かれることもありますが、個人的には「ユーザー行動4:ビジネス要件6」ぐらいと答えることが多いです。ビジネス上の成果を上げることがサイト活用の主な目的であるのは大前提として、ユーザーがニーズを充足させるための行動とビジネス上の成果をうまく結び付ける意味でも、ややビジネス要件に重心を置いたバランス感覚でいることが必要です。

3.「サイトが目指すゴール」を言語化する

1と2の成果物から、ビジネス要件を達成するために、ユーザーにどんな体験を提供すべきかの議論が可能になります。

ユーザーにとっての理想的な体験が、ビジネス上の成果にもつながる体験になるために「理想のユーザー体験」「サイトが目指すゴール」の言語化を行います。これがUX定義の成果物になります。

UX定義を言語化した資料の例。ウェブサイトのコンセプトをどのように書くかという例として「ビジネスニーズを充足×顧客接点を創出。ブランドの未来と価値を伝える」と記載されている。

今後のサイト運営のことを考えても、どのような考え・目的でサイトを構築したのかを言語化して残すことは重要である。

この後の工程では、このUX定義を実現するためのさまざまな方針を決定します。重要なポイントや取り組みの方向性をぶれさせないためにも、以下のような項目に対する方針を立てることで「何をつくるか」「どうつくるか」「どんな成果につなげるのか」の要件定義を完了します。

実現するための方針として扱うテーマの例

  • マーケティング活用方針・成果定義(KGI、KPIなど)
  • サイト設計(構造・動線)
  • サイト運営・運用(体制・フロー・ツール)
  • UI デザイン
  • ウェブアクセシビリティ

UX定義は「不可欠」か?

UX定義については、わざわざ実施しなくても自明であるという方もいると思います。実際に、ECサイトやオウンドメディアなどは運営の目的や成果がわかりやすく、ビジネス貢献の度合いも数字化して測りやすいでしょう。

一方で、コーポレートサイトや、リアルな営業力を強みにするBtoBビジネスの製品情報を扱うサイトなどでは、担当者の方から成果の可視化に困っているといった相談を寄せられることが少なくありません。

そうした課題に対して、UX定義が効果的なのは「サイトがビジネスにどのような貢献をするのか」を可視化・具体化できる点です。「たくさんの人が訪れて閲覧している」などの曖昧な成果ではない「サイトが目指すゴール」を定義することで、プロジェクトに関わる社内外の関係者との共通認識をもった上で、サイトをつくり、育てていくことができます。

ビジネスに寄与するサイトの在り方について迷いが生じている方は、ぜひこの工程をお試しください。

[ 執筆者 ]

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コンセントは、企業と伴走し活動を支えるデザイン会社です。
事業開発やコーポレートコミュニケーション支援、クリエイティブ開発を、戦略から実行まで一貫してお手伝いします。

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