朝日新聞社   認知症フレンドリープロジェクト「VRでわかる認知症基礎講座」コンテンツ開発

VRで「共感」をデザインする

朝日新聞社が取り組む「認知症フレンドリープロジェクト」の一環として、認知症の理解促進のためのVRコンテンツを共同開発しました。認知症になっても安心して暮らせる社会づくりの一助となることを目指し、コミュニケーションデザインをベースとした企画、映像制作、編集、VRコンテンツの制作者として参画しています。

  • クリエイティブ開発
  • 映像

[ プロジェクトのポイント ]

  • 認知症について「正しく伝えること」を意識したVRコンテンツ開発
  • 「教材として使えるVR」としてのコミュニケーション設計

提示された課題

近年、VR(バーチャルリアリティ)は医療分野での啓発をはじめ、多様な業界がそれぞれにもつ“可視化されづらい事象”について追体験ができる理解促進ツールとして利用され始めています。
朝日新聞社が取り組む「認知症フレンドリープロジェクト」では、認知症の症状や当事者の行動・心境についての認知向上・理解促進を目的として、医療福祉サービスや日々多くの人と関わる小売業で働く人などを対象にセミナーを開催することでVRを用いた体験コンテンツを展開されたい旨、ご相談いただきました。

問題解決までのアプローチ

朝日新聞社の実施した認知症当事者とその家族、医師などへのヒアリングに同行し、まずは、認知症当事者が見ている世界を理解することから始めました。今回再現するポイントを担当者と議論し、「距離感や方向感覚がつかめなくなる」「幻視」などの症状をVRで再現することが決まった段階でプロトタイプ映像を作成。医師の監修を受けてから本編を制作しています。VRでの視覚体験を通して、認知症の人が置かれている状況を理解・共感できることをねらいとしています。

「幻視」では、部屋の中を女の子(幻視)が歩き回り、思わず目で追ってしまったり、話しかけてしまったりする体験が再現されています。

当初は、認知症の理解促進のためのコンテンツ開発については、セミナー全体の目的や与えたい体験から逆算をして、VR動画と通常の動画を使い分けながら、「伝えるべき核となるメッセージ」や、「認知症を疑似体験した先に何が心に残るか」など要点をしぼった表現での映像制作を提案しました。

また、認知症の人々の日常生活における困難や心の機微に触れ、「そのために私たちができること」をだれもが心に留め、配慮ができるよう、体験後の感情を軸としたストーリーを本編で展開しています。

階段を降りようにも、踏み出す足の距離感がつかめず、足を探る体験を再現しています。視聴者は、認知症の人が感じる恐怖感を身をもって体験することができます。

2018年9月22日に東京都中央区で開催された朝日新聞主催の認知症啓発イベント『認知症フレンドリーイベント〜誰もが安心して暮らせる社会を目指して』では、「症状の体験」だけではなく、医師による認知症の解説や認知症当事者のインタビュー動画も視聴してもらいました。

認知症VRを体験した方々から次のようなお声を頂戴しました。

「認知症は『忘れてしまう』ということだけしか印象がありませんでした。幻視が見えたり、距離感がわかりづらくなったりするなど、VRで体験したことはすべて知りませんでした。ヘルパーやボランティアとして認知症当事者と接していく上で、感覚が違うことをもっと体験したいと思いました」(50代・女性)

「認知症は恐ろしい病気というよりは、うまく付き合わなければならないもの。物の見え方が違ってとにかく驚いたが、自分にできる手助けからはじめたい」(50代・女性)

クリエイティブのポイント

VR体験から共感につながるストーリーテリング

自分の視点が変化したらどうなるのか。VRを「視点のデザイン」と捉え、その体験から生まれる感情をデザインし、映像で表現しました。通常のVR映像制作はその撮影技術のみにフォーカスされがちですが、コンセントではプロジェクト開始後、最初に行うヒアリングからコミュニケーションを組み立てるプロセスを辿り、「受け手に何を感じてほしいか」を明確にした上で、体験の設計・撮影・編集を行う一貫性を大事にしています。

社会的意義を正しく捉えたVRコンテンツを提供する

世界的な潮流が起こりはじめている“可視化されづらい事象”への理解を目的とした「教材として使えるVR」として、日本においては先進的なコンテンツメイキングの手法を用いています。体験を経た感情の変化をデザイン的解釈で捉え、教育ツールとしての展開も可能にしたコンテンツとして提供しました。

[ プロジェクト概要 ]

クライアント名 朝日新聞社 様

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