「デザインでひらく、デザインをひらく」とは 就職活動生向け採用イベント「CONCENT Night Session 2020」レポート

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    日高絵理Human & Culture div.

2019年2月21日(木)と3月22日(金)に、就職活動生向けのイベント「CONCENT Night Session 2020」を開催しました。コンセントのことを知っていただくとともに、就活生のみなさんとの相互交流を目的としたカジュアルなイベントです。今年も2日間で多くの方にご参加いただきました。人事担当の日高がイベントの様子をレポートします。

写真:CONCENT Night Session 2020 の様子

会社紹介

コンセントでデザインをするということ

写真:人事担当役員の大岡旨成から会社説明の様子
写真:会社説明を聞く参加者

まず、取締役で人事担当役員の大岡旨成から会社説明を行いました。
「コンセントは“デザインでひらく、デザインをひらく”をテーマに、企業と伴走して、活動を支えるデザイン会社です。企業や行政、教育機関等の組織をお客様として、新しい事業やサービスを世の中に発信する際に、その組織のパートナーとして戦略的なプロジェクトの設計からクリエイティブの開発まで一気通貫で支援しています」。

続いて、コンセントの歴史について振り返りました。
「1971年の創業以来50年近く経つ中、常に新しいことに挑戦し続けています。創業時の仕事は百科事典のデザインで、莫大な情報を読み手に伝わりやすいように章立てしたり図表化し紙面にレイアウトする“エディトリアルデザイン”領域からスタート。続く雑誌デザインの仕事では、出版社に常駐し編集部と一緒に企画を考え誌面をつくるスタイルや、アートディレクターとエディトリアルデザイナーという職種を確立しました。さらにそのエディトリアルデザインを企業等の広報物や販促物に活かしていき、2000年代初頭からのWeb事業においては、どういった順番でどのようなコンテンツをユーザーへ届けるか、“わかりやすさのデザイン”である情報アーキテクチャ設計を実践し、コミュニケーションデザイン事業を展開しています。
2011年頃からは、たとえば企業の新規事業開発部門と未来のサービスや製品をつくったりデザイン組織をつくるサービスデザイン事業を開始し、時代の先をよみながらデザインの領域を広げています。また、プロジェクトだけではなく、業界や社会全体への認知・啓蒙活動に取り組んでいるのもコンセントの特徴です」。

大岡はコンセントの考えるデザインについて「クライアントと伴走しながら、本質的な課題を発見し理解した上で、伝えるべきユーザーのニーズについて調査し、ユーザーへの提案価値を決め、最終的なアウトプットの形を考えていくすべてを指す。これは必ずしもデザインを専門的に学んできていなくてもできることで、コンセントでは全員をデザイナーと呼んでいます」と説明。

さらに、「それぞれ強みをもったメンバーが集まりチームとして仕事をする。他の人ができることは任せ、自分の強みや貢献できるところで役割をつくって対応していく。入社後に仕事を一緒にしていく中で目指す役割を決めてもらいたいという想いが強く、選考ではみなさんが今できることよりも、コンセントに入った後にできるようになるであろうことを評価するようにしている」と、新卒採用に関する想いと考えを語りました。

講演「社会に果たすデザイン会社の役割」

続いて、代表取締役社長でインフォメーションアーキテクトの長谷川敦士による講演「社会に果たすデザインの役割」から、2つのトピックス「デザインでひらく、デザインをひらく」「デザインの責任」についてご紹介します。

写真:代表取締役社長でインフォメーションアーキテクトの長谷川敦士による講演の様子

デザインでひらく、デザインをひらく

長谷川は「“デザイン”と聞くと、何かを装飾するようないわゆる狭義の意味だけを想起することもまだ少なくないですが、ビジネスの分野では考え方や態度、あるいは事業そのものをつくるといった広義の意味を含めて捉えられています」という現在のデザインの概観を話した後、今なぜデザイン思考が必要とされているのか、時代背景の変化について説明しました。

「80年代にパソコンが登場した頃から、モノではなくて“使う人”を見てデザインを考えなければならないという“Human Centered Design(HCD:人間中心設計)”の概念が生まれました。現在、この概念は新しい事業や製品をつくるときなどにも応用され、“デザイン思考”という言葉で知られるようになっています。ユーザーの視点でどのような課題があるか定義し、そこから発想してプロトタイプをつくり評価してみるという、デザイナーの思考法がビジネスの分野でも必要とされるようになってきたのです」。

変化の理由は、ここ100年の産業においてどのような要素が優位性をもっていたかという分析から読み解くことができます。長谷川はKerry Bodine氏によるService Design Global Conference 2011での基調講演をもとにした市場変遷の図を紹介しながら、「20世紀初頭は製造技術が優位性をもっていたが(製造の時代)、1960年代に入り物流が重視されるように時代の要請が変化(流通の時代)。やがて1990年代頃から、ブランディングやマスマーケティングなどの情報にいかに優位性をもたせるかが重視されるようになり(情報の時代)、現代は多様性のある新しい顧客像へ事業を対応させねばならない“顧客の時代”へと変遷しました。顧客だけでなく事業者側も多様な価値観やチャネルをもつよう変化してきたこの時代に、ユーザー体験を考えることを一番得意としていたデザインへと企業の意識が向くようになりました」と説明しました。

図:市場変遷の図

Service Design Global Conference 2011でのKerry Bodine氏の基調講演をもとに再構成。

こうした時代背景の変化は企業経営者が経営を行うときの考え方においても見られることにも触れ、「かつてはグッズドミナントロジック、つまりモノベースの論理から、現在はサービスドミナントロジック、つまりモノも体験を構成する一つの要素に過ぎないと考え、顧客の体験というサービス全体を中心に企業活動を捉える」というマーケティング分野で出てきた考え方を、社会でデザインが求められている理由の一つとして挙げました。

デザインの責任

次に、社会の中でのデザインの責任について話しました。
「行動経済学という分野で明らかになっているように、デザインはユーザーの体験をコントロールすることができ、場合によっては悪用もできてしまいます。職業倫理が成り立つほどにはまだ成熟していない分野であるからこそ、この先さらに起こりうるこのような事実をどう捉えていったらいいか、ということに向き合う。これは、“デザインをひらく”と掲げた言葉にも含めている、コンセントの考えるデザインの果たすべき責任の一つ」と述べました。

また、「世の中に起こる問題が“単純な問題”“複雑な問題”“厄介な問題”の3つに大別され、今、社会は、正解や解き方があるのかも、そもそも正解に向かっているかすらもわからない“厄介な問題”に取り組むフェーズを迎えている」と説明。「デザインの態度として、問題と対峙するときにまずプロトタイピングして仮説を生み出す、いわゆる“アブダクション(abduction)型の思考方法”をする。この思考法が“厄介な問題”へのおそらく唯一の対処法であり、これを基本のスタンスとして備えているデザインをやる立場として、社会課題や企業の問題などさまざまな問題をひらいていきたいと思っています。それが自分たちの役目であり社会に対してできることではないか」と語り、最後に「そういう意味でのデザイナーはおそらく誰でもなれると思うし、一緒にデザインをやっていくことは楽しいんじゃないかと思う」と就活生へメッセージを伝えました。

社員トーク「コンセントはどんな会社?」

第2部は入社1〜2年目の若手社員3名による座談会と、中堅社員によるセッションを行いました。

写真

写真左から日高、星川、芳賀、藤田。

座談会は、デザイナーの星川萌美、ディレクターの芳賀南実、エディトリアルデザイナーの藤田月夏が参加し、私 日高の司会で、コンセントへの志望理由や1日のスケジュール、やりがいを感じる瞬間や将来の夢などをテーマに進めました。

志望理由について星川は「学生時代に経験した企業との仕事を通して、クライアントの現状を把握した上でものづくりをしていきたいという想いがあり、コンセントはデザインのプロセスをしっかりと考えられる会社だと思ったため」と話しました。

やりがいについては、芳賀が「先輩社員の指導のもと、自分の采配をふるいながらこんなふうにプロジェクトを進めていきたいという想いを持ち、いろいろな人とコミュニケーションを取ることができるのがおもしろい」と語り、藤田は「一人の大人としての姿勢や思考が日々磨かれていくのが楽しい」と伝えました。

最後に日高からも「コンセントは入社してからも学ぶチャンスが溢れていて、責任と覚悟をもってやりたいと手を挙げたら新しいことにもチャレンジさせてくれる環境が整っている。先輩方と同じようにさまざまな経験を重ねていけば、今みなさんがもっている夢も叶えられるかもしれない」とお伝えしました。

写真:会場で話す UX・UIデザイナーでアートディレクターの黒坂晋

座談会に続いては、UX・UIデザイナーでアートディレクターの黒坂晋から、コンセントの社風や雰囲気、今まで携わってきたプロジェクトについて話しました。
「初年度はUIデザインのみを担当していたのが、さまざまなプロジェクトを通して6年目にはUIデザイン、アートディレクション、情報設計、UXデザイン、サービス設計、プロジェクトマネジメントまで担えるようになった」と振り返った黒坂。「こうして多種多様な案件に携わる中で、少しずつやれることや視野、視座が広がり、“自分”や“デザイン”が社会に対して何ができるのか?と考えられる環境がとても魅力的だと感じています」と語りました。

またコンセントについて「デザインに対して真摯で、とにかく考える多種多様な専門家集団」と紹介し、「デザインってなんだろう、自分に何ができるんだろう?ということを一緒に考えていける人たちと、来年の4月に仕事ができるようになれば嬉しい!」とエールを贈りました。

写真:会場で話す デザイナーでディレクターの佐野実生

次にデザイナーでディレクターの佐野実生が、「きちんと伝わるデザイン」をテーマに、これまで紙とWebの両方のプロジェクトを手がけてきた中でアクセシビリティという考え方に触れ刺激を受けたことを話しました。

学生時代から自己表現よりも人に使われるものをつくることに興味があったと語る佐野は、コンセントの醍醐味として「グラフィカルなアウトプットだけではなく、クライアントの課題を解決するための無限にある可能性の中から、最適解を探っていくところにやりがいやおもしろさを感じている」と紹介。担当する教科書のデザインとアクセシビリティの考え方には共通する点がたくさんあると話し、「少しの工夫で誰にでもわかりやすいデザインができる可能性がある。仕事をする上の制約は、達成したい目的や伝えたいことのためにあり、最適解を見つけて提示し続けることで伝わらない人を減らすことができる。どうやったらより多くの人にきちんと伝わるデザインにできるかに取り組め、新しいことをどんどん吸収しチャレンジしていける環境です」と、コンセントで感じている価値を紹介しました。

最後は、コンセントのメンバーと学生のみなさんとの交流会です! 会場に丸テーブルを複数設置してそれぞれに2〜3名のコンセントメンバーがつき、普段の社内での立ち話と変わらないカジュアルな雰囲気で会話を楽しめるようにしました。セッションで聞ききれなかったことや、会社生活に関することなどを熱心に質問している学生の方も多く、それに対して役員や先輩社員も熱く回答していました。

写真:交流会で参加書と話す人事担当役員の大岡旨成
写真:交流会で参加書と話す長谷川敦士
写真:交流会で参加書と話すディレクターの芳賀南実
写真:交流会で参加書と話すデザイナーでディレクターの佐野実生

「CONCENT Night Session」での体験が、デザインについてあらためて考えるきっかけになり、デザインやコンセントに興味をもっていただけたら嬉しいです。

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[ 執筆者 ]

コンセントは、企業と伴走し活動を支えるデザイン会社です。
事業開発やコーポレートコミュニケーション支援、クリエイティブ開発を、戦略から実行まで一貫してお手伝いします。

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