先輩から後輩へ、手づくりの内定証書が伝える「デザインするということ」

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    日高絵理Human&Culture div.

内定者に手渡された内定証書の写真(その1)

2018年11月、amuでコンセントとグループ会社の株式会社PIVOTとの合同内定式が行われました。この式は、コンセントの新卒5年以内の若手社員で構成される採用サポートチーム・HR2020が企画や運営に携わっており、当日内定者に手渡された内定証書もHR2020に参加する有志メンバーがこの日のためだけに制作したものでした。今回は、採用サポートの取り組みの一つであり、今年で3年目を迎えた「手づくりの内定証書」プロジェクトについて、2019年度の内定証書制作を担当したデザイナー2人と共に、作品に込めた思いやこだわりをお伝えします。


「内定証書」というと、みなさんはどのようなものを想像しますか? 賞状のような金縁、筆文字で書かれたテキスト、もしくはWordで作成されたシンプルな書式のもの等が一般的で、特別にデザインされたものを想像する方は少ないのではないでしょうか。

内定者に手渡された内定証書の写真(その2)

これは、冒頭でお話しした2019年度の合同内定式で内定者に手渡された内定証書で、新卒採用サポートチーム・HR2020のメンバーである有志のデザイナーが制作しました。

手づくりの内定証書を贈る取り組み自体は、2011年に合併して新生コンセントとなる前の株式会社アレフ・ゼロ時代まで遡ります。当時は、新卒1年目のデザイナーの間でコンペを行い、次年度に入社する内定者のためにその年だけのオリジナルの内定証書を制作していました。そのときの「デザインする気持ちを形として贈りたい」という思いは、2019年の今も変わらずに受け継がれているように思います。

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製本された内定証書。社会人の基本“名刺交換”を内定式で体験し、その名刺を入れるスペースも

「なぜあなたが選ばれたか」を伝えるために

採用サポートチーム・HR2020では、内定式自体をすばらしい体験の場へと変化させるべく、式の運営・企画に工夫を凝らし、コンセントらしさを入社前から感じてもらう取り組みを始め、一時休止となっていた手づくりの内定証書プロジェクトもデザイナーたちの希望により2017年より復活しました。

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2017年度と2018年度の内定証

2019年度の制作はデザイナーの佐野実生とキム・ホジョンが担当しました。

社内の採用関係者にヒアリングの様子

まず、社内の採用関係者からその年の採用コンセプトや内定者に感じてほしいこと、会社として内定証書に盛り込みたいポイントなどをヒアリング。そこで得た「コミュニケーションを大切にすること」「社会的な目線をもつこと」...といった採用基準を念頭に「多角的に物事を見ることができる人になってほしい」というメッセージを込めて制作を開始しました。

実際の制作では、透明なシートを用いて、“文字を隠してメッセージを浮かび上がらせる”デザインに。透明なシートをずらすと、先ほどお話しした「内定者に伝えたいメッセージ」に出会えるしくみです(このデザインは、暗記などに使われる透明な赤いシートから得たアイデアだそう)。

「領域にこだわらず、多角的な視点をもって物事をデザインしてほしい」という内定者の未来に向けたメッセージを、“角度を変えると違うものが見えるデザイン”で表現しながら、「なぜあなたが選ばれたのか」という思いをテキストで綴り、2019年度の内定証書が完成しました。

「デザイン会社に入ったんだ」という実感を贈りたい

ストライプのパターンで元の文章を隠し、浮かんだメッセージに気づいたときに「ああ、デザイン会社に入ったんだな」という実感を贈ることができれば嬉しいとデザイナー2人は語り、実際に内定証書を受け取った内定者は「凝ったデザインで、仕掛けに気づいたときは感銘を受けました」と感想を述べてくれました。

内定者に手渡された内定証書の写真(その3)
内定者に手渡された内定証書の写真(その4)

そのまま文章を読んでもコンセントからのメッセージだが、透明シートをずらすと本当に伝えたいメッセージが浮かび上がる仕組み

最後に

新卒社員は入社後、クライアントワークの他に、イベント企画やテーマ性をもった自己紹介コンテンツのデザインなど、数多くの「つくる」体験が待っています。自分のためだけにつくられた内定証書を手にしたときに感じた、贈られる側の「嬉しさ」、楽しませる側の「喜び」といった経験を多く重ね、人々の心をあたたかく動かせる人になってほしいと私たちは願っています。

[ 執筆者 ]

コンセントは、企業と伴走し活動を支えるデザイン会社です。
事業開発やコーポレートコミュニケーション支援、クリエイティブ開発を、戦略から実行まで一貫してお手伝いします。

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