味の素グループ   パーパス発信強化のための企業情報ページリニューアル

企業情報ページのキャプチャを使ったメインビジュアル。背景にはサイト内で使用されているカラーと曲線のモチーフを使用している。

シンプルさを追求した構成・デザインで
味の素の「志」(パーパス)を端的に伝える

味の素グループ(以下、味の素)は、「アミノサイエンス®で人・社会・地球のWell-beingに貢献する」という認知の強化に取り組んでいます。その一環として、ステークホルダーに対する味の素のパーパス、すなわち「志」の周知・理解を目的に、2022年度に自社サイトの企業情報ページ「味の素グループ」のリニューアルを行いました。

  • ウェブサイト・サービス
  • ブランディング支援
  • デジタルプロダクト開発支援
  • クリエイティブ開発

[ プロジェクトのポイント ]

  • 「アーカイブ型」から「パーパス重視型」への転換を裏付ける調査力
  • ユーザーのさまざまな利用文脈を踏まえた、シンプルに研ぎ澄ました情報設計
  • 「いまの」「これからの」味の素らしさを表現するデザインモチーフ展開

プロジェクトの背景

味の素の公式サイトは、「商品・レシピ」「食・健康」「企業・IR」という3つのカテゴリーで構成されています。コンセントは企業・IRカテゴリーの一部運用を2019年から担当しています。

味の素はコーポレートコミュニケーションにおいて、「調味料の会社」「昔からある伝統的な会社」といった認知から、ありたい姿である「アミノサイエンス®で人・社会・地球のWell-beingに貢献する企業」への転換を目指しています。このブランド戦略を推進するために、味の素について知りたい人の多くが訪問する企業情報ページ「味の素グループ」のリニューアルを計画しました。

問題解決までのアプローチ

リニューアル方針策定

リニューアルの方向性を検討するため、企業情報ページのトレンド調査と競合調査を実施しました。企業情報ページは「アーカイブ型」「パーパス重視型」「主要動線集約型」「スレッド/タイムライン型」など、いくつかの型に分類し検討を重ねました。

「アーカイブ型」の説明資料。企業情報カテゴリーを俯瞰できるように下層のコンテンツを見せるもの。更新性が少なくて済むため、採用している企業が多い。特徴:企業情報カテゴリーを俯瞰できるように下層のコンテンツを紹介する見せ方。採用する企業:多い。サイト内の回遊性:カテゴリー内を網羅的に担保できる。更新性:低い。運用負荷:少ない。企業理解の深耕:下層コンテンツを紹介するだけでは期待できない。
「パーパス型」の説明資料。ページ内にパーパス・ブランディングにつながる情報を掲載する見せ方で、近年増加傾向にある。特徴:パーパス・ブランディングにつながる情報を掲載する見せ方。採用する企業:増加傾向。サイト内の回遊性:情報発信がメインだが、動線設計次第。更新性:低い。運用負荷:少ない。企業理解の深耕:期待できる。
「主要動線集約型」の説明資料。アーカイブ型が網羅的であるのに対し、主要動線集約型は伝えたい情報や訴求力の高いコンテンツのみを配置させる見せ方。定期的に更新することで、ユーザーは訪れるたびに新たな気づきや発見を得られるようになる。特徴:伝えたい情報や訴求力の高いコンテンツのみを集約して紹介する見せ方。採用する企業:少ない。サイト内の回遊性:人気コンテンツに限定される。更新性:コンテンツの設計次第で高くすることも可能。運用負荷:コンテンツの設計次第で高くなる。企業理解の深耕:興味喚起は期待できるが、企業理解の深耕につながるかはコンテンツ次第。
「スレッド/タイムライン型」の説明資料。最新情報を時系列で紹介することで企業の「いま」を強調して伝える見せ方。システム構築することで運用負荷を軽減することもできる。特徴:最新情報を時系列で紹介する見せ方で、企業の“いま”を伝えることができる。採用する企業:ごく少ない。サイト内の回遊性:最新記事に限定される。更新性:高い。運用負荷:システム開発すればその後はほぼない。企業理解の深耕:アクティブなイメージは期待できるが、企業理解の深耕にはつながりにくい。

また、第三者機関の調査結果から、パーパスやサステナビリティの発信を強化する企業が増えていること、特にパーパスの発信を強めることでユーザーの企業や製品・サービスに対する態度にポジティブな影響が表れることなどが明らかになりました。

上記を踏まえて議論した結果、味の素の企業情報ページは当時の「アーカイブ型」から「パーパス重視型」にリニューアルすることを決定しました。

リニューアル前の企業情報ページ

リニューアル前のページキャプチャ。ページ上部から、メインビジュアル、味の素グループの目指す姿(ASV)、中期経営計画や栄養・健康といったコンテンツが並ぶ。

コンセントが制作、運用していたリニューアル前の企業情報ページ。企業・IRカテゴリーのコンテンツが網羅できる「アーカイブ型」の設計

情報設計

味の素は統合報告書「ASVレポート」や中期ASV経営の中で、パーパスにあたる「志」をアウトカム(成果)と共に言語化していました。また、経営の主軸である「ASV(Ajinomoto Group Creating Shared Value)経営」を、生活者向けオウンドメディア「ストーリー」にてわかりやすく解説した記事の発信をするなど、生活者に伝えたい情報がいろいろとありました。

一方で、企業情報ページの訪問者には、投資家や求職者、大学などの研究機関、メディアや取引先企業、グループ社の社員など立場や目的が異なる方々が含まれます。また、企業情報ページ来訪者の半数以上が新規訪問者であることもわかりました。

さまざまな目的をもつ訪問者に、初見で企業のパーパスを理解してもらうためには、数多ある情報の中から効果的なメッセージを伝える必要があります。議論と試作を重ねた結果、「味の素グループが目指すもの」「パーパス」「アウトカム」を明快で簡潔なテキストと画像を用いて表現し、どの目的でたどり着いた訪問者に対してもストレートに伝わるシンプルな画面設計に到達しました。

リニューアル後の企業情報ページ

リニューアル後のページキャプチャ。ページ上部から、メインビジュアル、目次、味の素グループが目指すもの、トップメッセージとASV、ビジョンが並ぶ。

リニューアル後の企業情報ページ。味の素グループが目指すものや志、アウトカムを前面に打ち出した「パーパス重視型」の設計。

クリエイティブのポイント

リニューアル前の企業情報ページは、直線的なデザインモチーフを用いることで真面目で誠実な印象が伝わることを意図したデザインでした。企業を体現するページである以上、一定の真面目さ・誠実さは必要ですが、今回はとりわけ「いまの」「これからの」味の素らしさを表現するためのデザインが求められました。

味の素らしさの探索のため各種資料を読み込む中、グローバルブランドロゴの紹介資料に着目しました。AJINOMOTOの“A”から“J”にかけての流れるラインに込められた「人々が集まり、料理や食事、快適な生活を楽しむように」という思いに、これからの味の素が目指したい姿が重なりました。そこから着想を得た有機的なラインをデザインモチーフとして採用しました。

味の素グループグローバルブランドロゴの資料。サイトのモチーフとした「A」から「J」にかけて流れるラインの説明:「J」は人の姿を表し、味(Aji)・アミノ酸(Amino acid)の「A」に人が集まり(Join)、料理や食事、快適な生活を楽しむ(Joy)ようにという思いを込めています。

味の素グループグローバルブランドロゴ

ページ冒頭のメインビジュアルやコンテンツの仕切り線、画像や背景の模様、ボタンの形状に有機的なラインを用いて、親しみやすく柔らかな印象へとイメージを刷新しました。ユーザーがスムーズに読み進められるよう、また伝えたいメッセージや数字が印象的に視界に入るよう、余白をたっぷりと確保してデザインしています。

リニューアル前 ページ冒頭のメインビジュアル

ページキャプチャ。リニューアル前のページ冒頭メインビジュアル。直線的で整然としたデザイン。

リニューアル後 ページ冒頭のメインビジュアル

ページキャプチャ。リニューアル後のページ冒頭メインビジュアル。有機的な曲線でトリミングされたメインビジュアル。

リニューアル前 サムネイルの形状

ページキャプチャ。リニューアル前のボタンデザイン。角が直角になっている。

リニューアル後 サムネイルの形状

ページキャプチャ。リニューアル後のボタンデザイン。角が丸くなり、立体的な形状。

リニューアル前 情報の密度

ページキャプチャ。リニューアル前のデザイン。余白が少なく、情報が端的に掲載されている。

リニューアル後 情報の密度

ページキャプチャ。リニューアル後のデザイン。余白が広く設定され、テキストサイズの大小で情報に緩急がつけられている。

シンボルカラーである赤は見出しなど一部に抑え、ページ全体の背景には赤系色と相性の良いライトグレーを用いることで、柔らかなトーンに仕上げている。

[ プロジェクト概要 ]

クライアント名 味の素株式会社 様
URL https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/aboutus/
公開日/発行日 2022/09

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