BIPROGY   次世代キャッシュレス体験を創造する「doreca®」サービスデザイン

画像:ユーザーがサービスを利用しているイメージ写真と、「doreca®」のロゴタイプ・タグライン「価値交換基盤doreca シームレスに、キャッシュレスを。」を組み合わせたもの。

企画段階から継続的な事業成長へ
サービスデザインによる伴走支援

BIPROGY株式会社様(旧名 日本ユニシス株式会社。以下BIPROGY)が展開する、デジタルマネー基盤「doreca®」のサービスデザイン、およびプロモーションの支援を行いました。企画段階から4年にわたって断続的に伴走し、体験設計、ブランド構築、プロモーションプランニングなど、幅広い分野で支援を続けています。

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プロジェクトの背景

doreca®は、キャッシュレスをつなぐデジタルマネー基盤。API提供をベースにした事業です。個人のデジタルマネーアカウントに、給与や保険金などを直接オンラインチャージできる「ダイレクトオンラインチャージ」と、個人が所有する複数のデジタルマネーの残高を相互交換する「デジタルバリュー交換」の2つの機能で構成されています。

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doreca®の事業の仕組みを説明した図。人事給与/経費精算ベンダーや保険会社などのパートナーと、決済事業者とをdoreca®のAPIを介してシームレスにつなげる役割を担っている。

コンセントが支援をスタートした2018年の段階では、BIPROGY内でデジタルマネー領域での事業構想がスタートし、その中で個人間送金のソリューションが仮説として設定されている状態でした。

ソリューションのコアな価値は何か、どのような体験で価値を届けるか、事業としてどう構成するか。それらをデザインしBIPROGYに伴走することが私たちのミッションでした。

問題解決までのアプローチ

プロジェクトは3つのフェーズで進行しています。

1.事業企画とブランド構築支援
2.体験の磨き上げとセールス支援
3.プロモーションプランニング

1. 事業企画とブランド構築支援

この2018年のフェーズでは、事業企画に必要な諸要素を調査・検討し、コンセプトインプレッションシート(CIS)と呼ばれる仮想パンフレットとUXモックアップの形でアウトプットしました。

このフェーズの検討期間は、おおよそ3カ月。競合調査・生活者インタビュー・価値やニーズの分析・コンセプト策定・事業性検討・体験設計・ブランド検討・ネーミング・CIS制作、これらをサービスデザイナーがファシリテーションして進行しました。UX/UIデザイナーも伴走し「つくりながら考える」スタンスで実行しています。

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このフェーズで完成したCIS。doreca®は送金アプリとして検討されていた。「手軽に気持ちよくおくれる」というコンセプトのもと、金額と「ありがとう!」などの一言を2タップでさらっと送る体験をデザインした。

2018年当時は、PayPayなど各社キャッシュレス事業がスタートする過渡期だったこともあり、世の中に定番的なキャッシュレス体験がまだ確立されていませんでした。コンセントでは個人間送金などキャッシュレス体験の中の「ユーザーの気持ち」に着目し、UXモックアップを複数作成し、プロトタイピングを重ねていきました。

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プロジェクト初期に制作したCISボツ案の1ページ。個人間送金の体験をメッセージカードのようにデザインし、あえて金額を出さずにユーザーの「気持ち」を前面に出した。ユーザーテストの結果、気持ちが乗り過ぎる、体験が重く利便性に欠けるという結論に。よりライトな体験に軌道修正することになった。

完成したUXモックアップはユーザーが他者に送金する際の「配慮」を込められる点と、その逆の「物理的・精神的なわずらわしさ」を軽減できる体験として設計されました。のちに、事業が方向転換し送金に関する機能は劣後されることになりますが、このフェーズで構想された「ユーザーの気持ちに立った体験設計」「物理的にも精神的にも摩擦が少ない=気持ちいいフリクションレスな体験」は、事業展開が進む今でも重要なコンセプトとして根付いています。

また、このフェーズにてdoreca®のネーミングとロゴマーク・ロゴタイプをデザインしました。ユーザーが好きなデジタルマネーを選べるという点と、「手軽に気持ちよく」というコンセプトを、重なり合う2枚のカードがハート形に並ぶ造形で表現しました。

画像:制作したロゴマーク・ロゴタイプ。

2. 体験の磨き上げとセールス支援

2019年。事業開発が進展し、セールスの段階に入った際にコンセントとのプロジェクトが再始動しました。この段階で個人間送金から一部事業の路線変更を行い、給与や保険金などを直接オンラインチャージできる「ダイレクトオンラインチャージ」と、個人が所有する複数のデジタルマネーの残高を相互交換する「デジタルバリュー交換」の2つの機能がメインの事業となりました。

しかし、これらの2つの機能は世の中にまだ存在しない概念であったため、BIPROGYがセールスしたいお客様にも理解されづらいものでした。そのためコンセントでは、2つの機能を直感的に理解できるUXモップアップと、展示会営業で「伝わる」コンテンツ資材をデザインし、セールス活動に貢献しました。

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2019年のフェーズで完成したCIS。パートナー企業や決済事業者など、doreca®事業を構成する各ステークホルダーのメリットを言語化し、セールスの場面で活用しやすいようにデザインした。

なお、本事業はAPI提供の枠組みでアプリの提供はありません。それにもかかわらず、UX/UI設計にこだわったのはお客様への理解促進だけでなく、自らが提供しているものを実体化し、営業・開発・管理などさまざまなステークホルダーの意識を合わせ、ぶれない価値提供をするチームづくりの狙いもありました。

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あるデジタルマネーから別のデジタルマネーへと残高を交換している画面。インタラクションは細部にわたって設計し、ユーザーにとっての「手軽に気持ちよい体験」を追求した。

このフェーズの内容は事例紹介記事「日本ユニシス『doreca』コンテンツ・UXデザイン」にて詳しく紹介しています。併せてご覧ください。

※日本ユニシス株式会社は2022年4月1日、BIPROGY株式会社に社名変更しました。

3. プロモーションプランニング

2020年になると、事業拡大のためPRやプロモーションを最適な投資対効果のもと行う重要性が増しました。法改正により、デジタルマネーによる賃金支払いが解禁されるとの見通しがある中で、適切なタイミングで、適切なメッセージ・メディアで情報発信できるかが課題だったのです。

doreca®が、PRやプロモーションをする上での重要なステークホルダーは3つ。人事給与/経費精算ベンダーや保険会社などのパートナー、決済事業者、そして一般生活者です。

事業運営においては、パートナーと決済事業者からの協力が必要不可欠ですが、そもそも生活者のニーズを喚起しなければ、協力体制を築くことも難しい状態です。doreca®体験の入口となるパートナーと、出口となる決済事業者のバランスも重要になってきます。そのような構造にあるステークホルダーに対して、コンセントは「誰に対して」「どのメディアで」「どのようなメッセージを」「どのくらいの費用で」「どのような定性・定量成果を想定して」実行するかの計画を立て、プロモーション成果に貢献しました。

画像:作成した資料の一部。

プロモーション戦略定義書(一部)。費用と成果をシミュレーションしながら、複数のプランを設定し実行支援に当たった。

同時に、そのような計画のコアになるPR・プロモーションのコンセプトとして「デジタルマネーのバリアレス化」という言葉を設定しました。現金を介さず、価値の受け取りと使用との障壁をなくし、給与などの受け取りタイミングの時間的障壁もなくす。これは、ステークホルダーのニーズのその先にある社会的意義や事業ビジョンとして設定したものでもあり、BIPROGYがdoreca®を通して社会をどう変革するかを表す言葉でもあります。

このようなコンセプトを策定し、PR・プロモーションの企画を立てた一例として、経済誌でのプロモーション企画があります。経済界のインフルエンサーとdoreca®開発者との対談記事として実現し、デジタルマネーによって生活がどう変化するかを予測、パートナーや決済事業者にとってのdoreca®の必然性をアピールするコンテンツとなりました。この記事はdoreca®サイトのコラムページにてご覧いただけます。

コンセントは事業起案の段階から、事業の成長に合わせて専門のプロフェッショナルをアサインし、伴走を続けています。

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左からコンセントUX/UIデザイナー 黒坂 晋、BIPROGY池田流星様、北村哲史様、大岩亮彦様、コンセントサービスデザイナー大崎 優。

doreca®サイトでは、BIPROGY×CONCENTの対談記事も掲載されています。ぜひご覧ください。

[ プロジェクト概要 ]

クライアント名 BIPROGY株式会社 様
URL https://doreca.net/

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