コスモ・ピーアール   卵巣がん患者の意思決定を支援する情報媒体

2つの冊子が並んでいる。表紙には「わたしとはなす」というタイトルが左下に大きく配置され、花と女性のイラストレーションが描かれている。

人間中心設計のプロセスを用いて
患者の主体的な意思決定を支援

株式会社コスモ・ピーアール様から委託を受け、卵巣がん患者が病気について理解し、主体的な意思決定を支援するためのツール制作プロジェクトでコンテンツ企画・編集、クリエイティブ開発を行いました。

  • クリエイティブ開発
  • SPツール

[ プロジェクトのポイント ]

  • 人間中心設計のプロセスを用いて、卵巣がん患者の主体的な意思決定を支援するツールを制作
  • コンテンツ企画やクリエイティブ開発を患者や医師と共創
  • ユーザー調査結果を活用し、プロジェクト関係者間でユーザー像の認識を揃え、早期にクリエイティブコンセプトを策定

プロジェクトの背景

昨今の医療の現場においては、患者アドボカシーの考え方に基づき、患者自身が治療内容やリスクについてきちんと理解し、医師との合意のもとに意思決定していくことが重視されています。

※患者個人の価値観や信念にもとづき人間らしい意思決定ができるように権利を擁護すること。

しかし、患者は医療の専門家ではないため、そもそもなにを知ればよいのかがわからない、インターネット上の情報は玉石混交で迷ってしまう、そもそも医師に情報提供を求める機会が少ないなど、正しい情報にアクセスするための課題がいくつもあります。

また、医師から情報が十二分に提供されていたとしても、患者自身が治療法を選択することが容易でない場合もあります。最適な治療法の選択は統計的思考によって提示されることが多く、必ずしも「自分にとって最適なものであるかどうか」という悩みに直接答えるものではないからです。

このような状況を受け、医療の現場では、本人の選択の自由を最大限確保した上でエビデンスに基づいた、よりよい選択を促すようなアプローチが模索されています。

問題解決までのアプローチ

卵巣がんの治療は基本的に、早期に病巣を摘出するために、まず手術を行い、それから薬物による治療を行うことが一般的です。

このような治療プロセスの特性から、告知から実際の治療開始までに時間がない場合が多く、患者は短期間で自分の置かれた状況を理解し、妊娠・出産の可能性を残すか否かなどを含めた今後の生き方に関わる重大な決断を行わなければなりません。

本プロジェクトでは、こうした課題を解決するために、人間中心設計(HCD:Human Centered Design)プロセスを用いて、患者への調査・分析、解決策の設計・評価を実施し、ツールのデザインを行いました。また、企画やクリエイティブは、インクルーシブデザインの考え方に基づき、患者や医師の協力を受け共創的にブラッシュアップを行いました。

調査・分析フェーズ

まず、本プロジェクト前に実施された定量調査、定性調査の結果を活用し、患者の置かれた状況や属性、価値観について定性的な分析を行いモデル化し、プロジェクトメンバー間で共通認識をもつために、カスタマージャーニーマップやペルソナなどの視覚化資料を制作しました。その結果、クリエイティブに活かすべきいくつかのインサイトを得ました。

設計・評価フェーズ

調査・分析結果をもとに、プロジェクトメンバーでワークショップを行い、冊子全体のコンテンツやクリエイティブの方針を策定。制作した プロトタイプを用いて、医師へのヒアリングを実施し、医療的な観点から正確な情報提供ができているかなど、内容のブラッシュアップを行いました。

その上で、見本誌を制作し、患者を交えたワークショップで改善点について議論を行い、患者中心の視点での検証を実施。 患者の心理状態の多様さを踏まえたメッセージングの変更など、成果をクリエイティブへフィードバックしつつ制作を進めました。

クリエイティブのポイント

自分自身の気持ちを大切にしながら治療と向き合うことを意味する「わたしとはなす」という全体コンセプトを策定した上で、初発がん患者と再発がん患者それぞれの状況や感情に合わせたこまやかなコミュニケーションを行うために、冊子を2種類制作しました。

初発がん患者向けには、これから行う治療の全体像が把握でき、わからないことへの不安を払拭できるような情報を。 再発がん患者向けには、病状に応じた治療やサポートの選択肢を示して、自分の気持ちの整理ができるような情報に重きを置きました。

ビジュアル面では、精神的な負担に寄り添い勇気づける存在となることを目指し、包容力と優しさを感じさせるトーン&マナーで設計しました。イラストレーションも、どの年代の方も受け入れやすい温かみのある質感を意識しています。

ライティングでは、情報の正確性を担保しながらも難しい表現は噛み砕き、平易な表現、適切な文字量に調整しました。また「混乱」「悲しみ」など一面的な感情のあり方を想定してコミュニケーションを設計しないように心がけています。

冊子の見開き。見出しは「Chapter1 卵巣と卵巣がんについて知る」。卵巣や卵巣癌についての説明と、女性がお腹に手を当てる様子のイラストレーションが掲載されている。
冊子の見開き。見出しは「経過観察」。女性が通院する様子や療養中のシーンを、温かみのあるイラストレーションとともに掲載している。
冊子の見開き。検査やカウンセリングについて、温かみのあるイラストレーションとともに掲載している。

最も特徴的なポイントは、初期段階で策定したクリエイティブコンセプトの強度です。ユーザー調査・分析で得たインサイトをもとに策定した「わたしとはなす」というコンセプトは、その後の医師、患者を交えた検討のなかでも評価を得ることができ、最終的な制作物においてもそのまま採用されました。プロジェクト関係者一同で共通認識をもちながら患者中心の視点でコンセプトメイキングしたことで、強度の高いコンセプトとクリエイティブにつなげることができました。

[ プロジェクト概要 ]

クライアント名 株式会社コスモ・ピーアール様

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