
会社案内で変える
「見られ方」と「語られ方」
DOWAエコシステム株式会社様(以下、DOWAエコシステム)は、資源循環型社会の実現を目指す企業です。同社は、廃棄物の適正処理とリサイクルを通じ、不要なものから価値ある資源を回収し社会に循環させる取り組みを展開しています。また、高付加価値のリサイクル素材の開発・提供により、持続可能な社会の構築にも貢献しています。
今回、DOWAエコシステムはその幅広いソリューションをより多くの方々に訴求するため、会社案内のリニューアル、そして企業コミュニケーション全体の点検・見直しを行うプロジェクトを開始しました。
- 広報ツール
- ブランディング支援
- クリエイティブ開発
[ プロジェクトのポイント ]
- ワークショップを通した他社優位性の明確化とコミュニケーション課題の発見
- 優先的に解決すべき課題のための会社案内の役割定義
- DOWAエコシステムの強みが「伝わる」クリエイティブ
プロジェクトの背景
これまでDOWAエコシステムは会社案内を制作・活用してきましたが、単一のソリューションの訴求から、トータルなソリューションの提案へと営業スタイルをシフトする必要性を感じていました。また、社内から会社案内やコーポレートサイト、SNSなど、オウンドメディアの役割分担を明確にすることも求められており、これを機に各メディアの役割や顧客・パートナーとの接点を整理し、会社案内をリニューアルするプロジェクトを開始しました。
問題解決までのアプローチ
本プロジェクトでは、ワークショップを通じて同業他社に対する優位性を明確化するとともに、現状のコミュニケーション課題を洗い出しました。その上で、最優先で解決すべき課題に対応するため、会社案内が果たす役割を再定義。さらに、DOWAエコシステムが提供するソリューション(What)だけでなく、なぜそれを行うのか(Why)やどのように実現するのか(How)を効果的に伝えるクリエイティブなアプローチにも取り組みました。
他社優位性を明らかにする
最初のプロセスとして、DOWAエコシステムの強みを整理しました。コアとなる「技術力」や「処理能力」の高さに加え、環境問題への取り組みの歴史や、幅広いソリューション提供が他社に対する優位性として確認されました。しかし、その強みが十分に伝わっていない点や、PR不足という課題も明らかになりました。

図の縦軸上部に差別化要因、下部に基本機能をマッピング。上部にマッピングされたものが企業価値のコアとなる。
メディアマップを通してコミュニケーションの現状を可視化する
次に顧客体験や接点(タッチポイント)を整理し、最適なコミュニケーション戦略を構築するためのメディアマップを活用して、現在のコミュニケーションチャネルの状況を可視化しました。これにより、ユーザーがどのメディアから情報を得ているのか、またどこに不足があるのかを把握し、DOWAエコシステムの全体的なコミュニケーション戦略を検討する基盤としました。

各種メディアがユーザー(ステークホルダー)にとってどのように作用するタッチポイントなのかを整理・可視化したメディアマップ。会社案内という1つのメディアのリニューアルを進める過程で企業のコミュニケーション全体の構造を見直し、最適なコミュニケーション戦略を探る方法も企業ブランディングの強化には有効である。
ワークショップを通した複眼的な検討
整理した他社優位性とメディアマップをもとに、会社案内の役割を明確にするためのワークショップを実施しました。プロジェクト担当者に加え、オウンドメディア担当者や工場長など、さまざまな立場のメンバーが参加し、役割やポジションを超えた意見交換を行いました。ワークショップでは、以下のステップを踏みながら、全体的なコミュニケーションの俯瞰図と注力すべきポイントを整理しました。
- ターゲットを含む全ステークホルダーの可視化
- コアターゲットの明確化
- 既存の接点(タッチポイント)の整理
- コミュニケーション上の課題の洗い出し
- 優先的に解決すべき事項の明示
このプロセスを通して、既存顧客へのコミュニケーションが具体的なソリューションを紹介するリーフレットに偏っている現状を確認し、ソリューション全体を横断的に紹介できる営業支援ツールの必要性が浮かび上がりました。
課題の把握と会社案内の役割定義
これまでの議論を踏まえ、会社案内の役割として、顧客が具体的な「課題」や「オーダー」を意識する前段階、すなわち発注のイメージがまだ明確でない段階でコミュニケーションするためのツールと定義しました。
これにより、会社案内を通じて、「DOWAエコシステムといえば廃棄物処理」というような特定のソリューションが思い浮かぶ状況から、「環境リサイクル事業といえばDOWAエコシステム」というパーセプションチェンジを実現することを目指しました。
クリエイティブのポイント
「環境リサイクル事業といえばDOWAエコシステム」という印象を強く形成するためには、同社のルーツや技術力を伝えるだけでなく、なぜリサイクル事業に取り組むのか(Why)や、どのように実現しているのか(How)といった点も併せて効果的に伝える必要があります。そこで、会社案内にソリューションの全体像を説明するページを設け、DOWAエコシステムが所属するDOWAグループ全体で目指す資源循環型社会の全体像をビジュアル化した循環図を制作。見出しやリード文で、Why、How、Whatの各要素を端的に示す構成とすることで、同社が提供する幅広いソリューションを強力に訴求するツールとなりました。

DOWAグループが目指すことを図と端的なテキストで可視化。複雑な内容でも図にすることで、グッと理解や説明がしやすくなる。
また、表紙や中ページの随所にイラストレーションを取り入れています。表紙では、各ソリューションを象徴するモチーフを組み合わせ、DOWAエコシステムが実現する社会とそこに生きる人々のイメージを描くことで、独自の世界観を打ち出しました。堅実でありながらもフットワークの軽さを感じさせるデザインを実現するため、精密なアウトラインと軽やかな配色が特徴のイラストレーター・川添むつみさんを起用しました。



擬念的であったり難しい内容であったりしても、イラスト化することで独自の世界観を持たせながらやさしく伝えることができる。
中面に使用する写真は、実際に秋田と千葉の工場で撮影されたものを採用。作業現場の人々の生き生きとしたシーンや、職場環境の誇りを感じさせる風景を収めることで、具体的なイメージの補足に努めました。フォトグラファーには、無機質な対象と人物の双方を品格あるタッチで撮影する尾原深水さんを起用し、完成度の高いビジュアル表現を実現しました。


事業内容を詳細に伝えたいページでは、現地で撮影した写真を使い、リアリティを出した。
お客様の声
新しい会社案内を通じて、DOWAエコシステムがなぜ資源循環型社会の実現に取り組むのかというストーリーに沿って、DOWAのグループ独自の資源循環モデルをわかりやすく伝えられるようになり、顧客やパートナーとの対話が促進されました。その結果、営業現場では、従来の単一ソリューションの枠を超えた提案が可能となり、新たなビジネスチャンスが拡大しました。
また、DOWAエコシステムの目指す社会イメージを伝えることで、ブランドイメージの向上に貢献。顧客からは、初めて接した際の印象が非常に良く、大変読みやすい会社案内だという声もいただいております。全社を挙げたコミュニケーション戦略の見直しにより、企業としての存在感が強まり、今後の持続的成長に向けた確かな基盤が整ったと感じています。
[ プロジェクト概要 ]
クライアント名 | DOWAエコシステム株式会社 様 |
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公開日/発行日 | 2024/2/1 |
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