加計塚小学校   「シブヤ未来科」探究授業支援

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自分たちで課題を見つけ、試しながら未来をつくる力を育てる

渋谷区立加計塚小学校様(以下、加計塚小学校)は、横断的・総合的な学習や探究的な学習を通して、子どもたちが自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力の育成を目指しています。コンセントはデザインの知見を生かし、6年生を対象とした探究授業の開発・実施を支援しました。

  • トレーニング・研修
  • デザイン思考組織化支援

[ プロジェクトのポイント ]

  • 子どもたちの課題や成長目標を挙げながら、学習のねらいの整理に伴走
  • 課題の発見や試しながら前進するデザインの思考プロセスを学べる授業設計
  • 先生たち自らデザインプロセスを教えられるよう、レクチャーや相談機会を定期的に設けて支援

プロジェクトの背景

東京都渋谷区では、子どもたちが自ら学び、問いを立て、解決策を見いだす力を育むことを目的とした「シブヤ未来科」という探究学習の取り組みを行っています。加計塚小学校では2023年度を迎えるに当たって、6年生の探究学習のテーマを定める必要がありました。

コンセントでは、子どもたちへのデザイン教育の探索に関心のあるメンバーが集まり、「学びのデザイン」という活動を行っています。どちらも同じ渋谷区恵比寿にあることからご縁が生まれ、6年生の探究学習のプログラム開発と年間を通した授業支援を実施しました。

問題解決までのアプローチ

コンセントのデザイナーは、正解のない問いに対して、世の中の変化を洞察しながら、クライアントを含めた異種混合チームで解決策を見出すことを、普段の業務で実践しています。このようなデザインの考え方や創発的な活動は、子どもたちの「探究する姿勢」の醸成に役立つと考えています。

探究活動とデザインとを接続するため、先生たちとディスカッションを行い、学習のねらいの整理や、計70時間の授業の設計を一緒に実施しました。その中で挙がった6年生に習得してほしいことは、失敗を恐れない態度を身に付けることや、自分本位ではなく他者視点をもつこと、そして協働しながらものごとを進めることでした。

そこで、「1.課題を自分たちで設定する力」「2.試しながらつくって前進させる力」「3.共創しながら成し遂げる力」を身に付けることを、学習のねらいに設定しました。

この3つのねらいには、子どもたちが予測不可能な社会を生きるためには自ら課題を見つけ、解決策を試しながら、他者と一緒に共創していく力が必要であるという、現場のデザイナーが日々重要視している態度を取り入れています。

学習のねらいを設定した資料
学習のねらいを設定した資料

社会では「何が問題か」「正解は何か」がわからない場面が増えています。そこで、この複雑な社会に対応する力を養うために、授業で何をすれば達成できるかを話し合いました。

学習テーマは、「恵比寿の未来をデザインしよう」にしました。地元である恵比寿の課題を見つけ、解決策をグループごとに検討するプログラムを設計し、子どもたち自らインタビューの実施から、課題定義、アイデア出し、アイデアの実施・検証までを行いました。

プロジェクトのテーマや体制などを説明した図

各プロセスに対して学習のねらいを再設定し、身につけたい力を養うため、子供たちが主体的に考え、判断する時間を、多く取り入れました。

上記のプロセスを先生たちが授業として行えるように、事前のポイントレクチャーや、子どもの反応を見た上で学習内容の調整・提案を行いながら、伴走していきました。

クリエイティブのポイント

学習プログラムにおいて重視したことの1つは、「子どもたち自身で課題設定を行うこと」です。一般生活者や自営業者など地域の方へのインタビューをもとに複数の課題を抽出。各グループで議論を深めながら、「マナーを守らない人が楽しくマナーを守るには?」「恵比寿を子どもだけで楽しめる街にするには?」など、子どもたちならではの視点を含んだ課題設定ができました。

実際に子どもたちがインタビューしている写真
課題を黒板に貼り出している写真

実際のインタビューの様子。子どもたち自身で役割分担をして行った。インタビューで得た課題をグルーピングして整理。

また、「かたちにして試すこと、実現すること」も重視しました。

アイデアを具体化する中で、体験の内容を漫画に書き起こしたり、実際に試作品をつくったりして、前進する力を身に付けてもらうためです。最終的に、グループごとのアイデアがかたちになっていき、子どもたちはゼロから考えたことが実現した達成感を得ることができました。

体育館で子ども映画祭を開催したり、自分たちで作製したゴミ箱を保護者や地域の人に実際に使ってもらったりなどして反応を得ることで、自ら他者に働きかけると変化が起きる実感を強めていきました。

試作品のアイディアを具体化させ試作品を作っている写真
製作したゴミ箱を実際に使ってもらっている写真

アイデアから実際に試作品をつくり、考えたことを具体化させた。

試写会開催のためのアイディアシート
体育館で映画祭を開催した時の写真

配給会社に問い合わせ、児童にとって念願だった映画の上映も実現させた。

映画祭を実現させた子どもたちからは「夢がかなった」という声が上がるなど、この授業を通して「子どもたち自身で課題を見つけ、試しながら未来をつくること」の意味や価値を実感することができました。

[ プロジェクト概要 ]

クライアント名 渋谷区立加計塚小学校 様
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