多拠点・多関係者の合意形成を支え、運用し続けられる情報発信基盤を整える
三菱電機株式会社様(以下、三菱電機)にて、FA(Factory Automation)事業の情報を発信する「FAサイト」のリニューアルを支援しました。
長年の運用に伴って複雑化した導線を見直し、ブランドスローガン「Automating the World」のもと統一されたウェブサイトとして再整備。また、複数の製作所や担当部署と丁寧に連携を取りながら、複数年にわたって段階的にリリースを進め、誰もが運用しやすい情報発信基盤の構築を実現しました。
- ウェブサイト・サービス
- メディア・コンテンツ開発
[ プロジェクトのポイント ]
- 多拠点・多関係者の合意形成をPMO的に支援
- ブランドスローガンをウェブサイト上で具現化するためのデザイン戦略を立案・実行
- グローバル展開にも対応したテンプレートとガイドラインの作成
プロジェクトの背景
本プロジェクトは、ユーザーニーズの変容、サイトの経年劣化、そして企業ニーズの変化という3つの軸を起点に始動しました。当時、スマホからの閲覧者数の増加や動画コンテンツ需要の高まりといったユーザー行動の変化に対し、サイト側は長年の運用に伴うコンテンツの継ぎ足しで導線が複雑化し、最適な情報提供を妨げる「経年劣化」が課題となっていました。こうした状況を打破し、ビジネス成長を加速させるため、ユーザー視点に立った画面・情報設計の抜本的な再構築が求められていました。
また、ウェブサイトにおけるブランド表現の再構築も大きな課題でした。FAシステム事業本部には、以前より「ONEFA」というブランドガイドラインが存在していましたが、ウェブサイトの多層的な構造の中では、ブランドの思想が個々のコンテンツまで浸透しておらず、ユーザーに対して一貫したブランドイメージを訴求しきれていない状況にありました。こうした中、FAシステム事業本部がリブランディングを推進し、2022年にはFAシステム事業本部独自のスローガンである「Automating the World」を策定。今回の刷新では、この新たなスローガンをウェブサイト上で体現すべく、デザインのトーン&マナーの全面的な見直しと、グローバルレベルでの統一を図りました。
プロジェクトの大方針
これらの背景とブランディング戦略を構造的に解決するため、以下3つの基本方針を策定しプロジェクトを推進しました。
①一貫したユーザー体験の提供
国内・グローバルサイトや海外の販売会社のウェブサイトにおいて、どの環境からアクセスしてもFAシステム事業本部としての信頼感と「Automating the World」の世界観が損なわれないよう、共通のUX指針を確立しました。
②ユーザー中心の画面・情報設計への転換
これまでの運営側の組織構造に基づいたサイト設計を見直し、サイトを訪れるユーザーの目的を起点とした、直感的かつ効率的な情報設計(IA)を再構築しました。
③デジタルマーケティング基盤の整備
潜在顧客への訴求力を高めるため、ユーザーの購買行動や検討プロセスを十分に考慮した導線設計を行い、マーケティング活動のハブとして機能するプラットフォームの実装を行いました。
問題解決までのアプローチ
多拠点・多関係者の合意形成を実現するためにPMOを設置
FAサイトのリニューアルは、複数の事業部や製作所など、多様なステークホルダーが関わる大規模プロジェクトです。延べ100名を超える関係者が異なる課題や意見を持つ中、全体方針をまとめるには、意思決定に必要な情報整理と関係者の理解促進が不可欠でした。
コンセントは、PMO※的な立場でFAサイトリニューアルチームと一体となり、約2年にわたりプロジェクトを推進。意思決定に必要な情報整理、資料作成、定例会議の運営などを支援しました。また、FAシステム事業本部の海外販売会社やシステム会社、制作会社など、社内外問わず多数の関係者との合意形成が円滑に進むよう、共通の判断基準や目指すべきゴールを丁寧に共有することで足並みを揃え、リニューアル方針の具体化から実行プロセスまで段階的に推進しました。
また、コンセントはPMO支援に加え、デザイン会社としての専門性を活かし、新たなブランドスローガンをウェブサイト上で具現化するためのデザイン戦略の立案・実行を多角的に支援しました。
※PMO(Project Management Office)とは、プロジェクトを円滑に進めるための役割。進行管理や調整業務、資料作成、関係者との合意形成などを担い、プロジェクトマネージャーを支える存在である。
FAサイトリニューアルチームを筆頭に、全ての社内関係部門を巻き込んだ検討体制を構築。コンセントはPMO支援する立場で参画した。
FAサイトリニューアルチームを筆頭に、全ての社内関係部門を巻き込んだ検討体制を構築。コンセントはデザイン戦略を支援する立場で参画した。
現場の声を起点に、運用・利用の両面に配慮した全体設計へ
ウェブサイトの作成にあたり、サイトを閲覧する「利用者」のみでなく、継続的な情報発信・更新を担う「運営者」の視点も設計に取り入れました。リニューアル方針やデザインの検討段階において、営業部門、テクニカルセンター、海外販売会社など、実務の最前線へのヒアリングを徹底し、これらの一次情報をもとに、サイト全体の構成、ページの情報設計、テンプレート仕様など、FAサイトの基本設計を検討しました。多岐にわたるステークホルダーの意見を直接吸い上げることで、現場のニーズを精緻に把握し、関係者全員にとって納得感のある設計指針を導き出しました。
運営者向けの観点では、コンセントの強みであるウェブガバナンスやブランディングの知見を活かし、複数の関連部署でページ更新が行われる際にブランドガイドラインに準拠した一貫した世界観が保たれるよう共通ルールを策定。利用者向けの観点では、従来の組織・運営側中心の情報設計から、ユーザー視点を重視した画面・情報設計へ刷新し、ユーザー体験の向上を図りました。
さらに、潜在顧客への訴求を強化するデジタルマーケティング基盤の整備や、購買行動を意識した導線設計を実施。製品情報の提供にとどまらない、価値あるサイトへと進化させました。
クリエイティブのポイント
FAサイトはリニューアル後も複数の関連部署でページ更新が行われるため、汎用的に使えるテンプレートやビジュアルルールの整備が不可欠でした。そこで、ブランドスローガンやブランドシンボルの利用方法をまとめたブランドガイドラインに従い、HTMLやCSSなどのウェブデザインに必要な要素に落とし込みサイトの設計を実施。ガイドラインに沿ったテンプレートを用意することで、国内外の拠点で一貫性のあるブランディングを展開でき、ブランド表現の標準化と現場での使いやすさを両立しました。
また、定例会議での対話を通じて「各海外販売会社の特色を出したい」という要望も多く寄せられたため、全体を統一するための運用ガイドラインやビジュアル選定の共通ルールを定めつつ、各拠点の事情に対応できる柔軟性を持たせた設計へと整理しました。
海外販売会社に対しては各販売会社の対応状況に合わせて適切なタイミングで個別サポートすることで、FAサイトデザインを統一することに成功しました。
2021年以来、海外販売会社に向けての段階的な説明会の実施と販売会社ごとの個別対応を現在も継続中。
従来の海外販売会社FAサイトデザインとリニューアル後のデザイン。古いデザインテンプレートの適用状況が異なっていた状態から、グローバルでも統一したブランディングを実現した。
プロジェクトの成果
リニューアル前は製品情報や技術情報を集約するだけの場にとどまっていました。しかし、リニューアル後は技術情報の集約に加え、FA事業の情報発信を担うブランディングプラットフォーム、さらにデジタルマーケティングツールとしても活用できるサイトへと刷新しました。
FAサイトとしてのリブランディングを実現しただけでなく、トライベック・ブランド研究所が実施している「BtoBサイトランキング」で2023年から4年連続1位を獲得するなど、対外的にも高い評価を獲得しました。さらに、コンセントが設計した運用フローやテンプレートの活用により、国内版で約10,700ページ・グローバル版で約18,700ページの大規模サイトでありながらも統一した世界観が確立できました。
今後も、時代やニーズの変化に合わせて、ユーザーにとってより良い体験を提供できるよう支援を続けていきます。
[ プロジェクト概要 ]
| クライアント名 | 三菱電機株式会社 様 |
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