価値観を分かち合い
自分らしい行動への道筋を描く
パーソルグループは、「はたらいて、笑おう。」をグループビジョンに掲げる、人材派遣、人材紹介、BPO、テクノロジーソリューションなど、総合人材サービスを展開する企業グループです。グループ全体で約7万人に上る社員一人ひとりがグループの理念体系に共感し、自らの行動につなげていけるよう、さまざまなインナーコミュニケーション活動に取り組んでいます。
その一環として、本プロジェクトでは「行動につなげる」をテーマにしたワークショップを実施しました。コンセントは体験設計やコンセプト開発、クリエイティブ制作、ファシリテーション、効果測定までを包括的に支援しました。
- ドキュメント・スライド
- トレーニング・研修
- ブランディング支援
- メディア・コンテンツ開発
- クリエイティブ開発
[ プロジェクトのポイント ]
- 自ら参加したくなる、コンセプトと世界観を表現するクリエイティブ
- 自分の価値観を出発点に、自然に行動指針に気付ける体験設計
- スモールスタートで取り組み、効果検証からネクストアクションへつなげる
プロジェクトの背景
インナーコミュニケーション活動のプロジェクト開始時には、「理念体系への共感は社内に広がりつつあるものの、日々の業務や行動の中でどのように体現すればよいか、まだ模索している社員が多いのではないか」という課題意識がありました。
そこで本プロジェクトでは、そうした“行動に移す手前”にいる社員が、理念体系を生かしつつ自分らしい行動につなげられるよう、施策の設計に着手しました。
具体的には「行動につなげるには、会社からの一方向的なメッセージの発信ではなく、参加者同士の対話を通じた相互理解や気付きが必要なのではないか」という仮説をもとに、対話型のワークショップを企画。その仮説の有用性を検証する目的で、希望者を対象にしたトライアル版を実施しました。
問題解決までのアプローチ
本ワークショップは、次年度以降に全社展開することを見据えたトライアル版として、希望者30名を対象に業務時間外の3日間、オフラインで実施しました。参加は任意とし、業務への影響を最小限に抑えながらも、実効性のあるプログラムを目指して設計しました。
世界観・コンセプト設計
「共感の先の行動」を引き出すために、ただ理念を伝えるのではなく、参加者が自ら「このワークショップに参加したい」と思えるようなコンセプトであることを重視しました。
リサーチを通じて、「職場外の交流から刺激を得たい」という潜在的なニーズが見えてきたことから、ワークショップには“自分をアップデートする活動”という意味を込めた「アプ活」というコンセプトを設定。個人の成長や探求心を起点にした能動的な参加を促すアプローチを行いました。
ワークショップ体験設計
ワークショップの設計に当たっては、「一方向的な情報提供では行動にはつながらない」という仮説のもと、参加者同士の対話を通じた気付きと共感があることを重視しました。3日間の構成は以下の通りです。
ワークショップ資料の導入。登山を想起させるイラストレーションで期待感を演出。
- Day1:価値観への気付き「自分を知る・仲間を知る」
- Day2:ヒントと行動宣言「アップデートのヒントを得る」
- Day3:未来像の共有「『はたらいて、笑おう。』へ日々向かっていく」
まず、自分自身が大切にしている価値観を共有。一人で考えるのではなく、互いの価値観を認め合いながら交流をはかりました。また、仲間にヒントをもらいながら明日からの行動を考えることで、参加者自身が納得した行動の後押しにつなげることができました。行動指針はルールではなく、それぞれの価値観や行動を深める・高めるための手がかりに使用しています。
チャットコミュニケーション
ワークショップ期間から1カ月後まで、ワークの場だけにとどまらず、日常の行動とつながるようなフォローアップのしくみとして、参加者同士のチャットコミュニケーションを設計・運用しました。
チャットでは宣言した行動のリマインドを行いました。参加者からは実践の共有が活発に行われ、「他の人の行動を真似してみた」「宣言した行動をやってみた」といった投稿も見られ、相互刺激を通じて継続的に行動や意識の変化が生まれました。
効果測定
ワークショップ後には効果測定を目的とした参加者アンケートを実施。参加者の満足度は5点満点中平均4.75と高く、行動指針への共感の段階から、行動している状態へとステップを進めた参加者が多く見られました。
自由回答では「班のみんなが価値観を承認してくれたことで、自分の考えを発信する自信がもてた」「取るべき行動を具体的に言語化できたから、迷わず実行に移せた」といった声が寄せられました。これらの結果をもとに、社員が行動を取るためにはどういった支援が必要か、変化のステップのモデルを作成。今後の施策立案に生かせる貴重な示唆となりました。
クリエイティブのポイント
本ワークショップでは、コンセプト設計と並行して、参加者が自然と惹きつけられるようなビジュアル表現と体験設計を心がけました。
山登りのメタファーで描く「前に進む仲間たち」の姿
ワークショップ全体のキービジュアルには、仲間と共に山を登っていく様子を描いたイラストレーションを採用。これは「新しい仲間に出会い、自分をアップデートしていく」というワークショップの趣旨を象徴すると同時に、パーソルグループ内で活用されているカルチャーデックの「山登り」のモチーフとも連動しており、社内での認知の一貫性も担保しました。
告知用バナー、当日使用するスライド資料、参加者に配布するヒントBOOKまで、全てのクリエイティブにおいて統一感のある世界観を貫くことで、参加者が初回の接点から終了まで一貫して「アプ活」の空気を感じられる設計としました。
告知用バナー。イラストレーションは、「仲間と一緒に、道をつくり、力強く一歩目を踏み出すイメージ」で描き起こし、独自の世界観をつくった。
当日の会場の様子。スライドも一貫した世界観を用いた。
価値観と行動指針をつなぐ「行動指針カード」
ワークショップDay2では、参加者が互いにアップデートのヒントを贈り合うセッションを実施。その際に活用したのが「行動指針カード」です。このカードを手がかりに、それぞれの悩みに対してグループみんなでヒントを考えました。実際にカードを受け取る体験は、仲間からの思いやりを感じられる、温かなコミュニケーションとなりました。
ワークで使用した行動指針カード。仲間へのヒントやメッセージが伝わり、お土産としても持ち帰れるように工夫した。
当日、仲間へのメッセージを贈り合う様子
思い出すきっかけとして機能する「ヒントBOOK」
ワークショップ最終日には、参加者の発言やグループ内でのやり取りをもとに編集・制作した「ヒントBOOK」を配布しました。絵本のような世界観をもつこの冊子は、ただの記録ではなく、日常の中でふとしたときに手に取りたくなるような存在を目指しました。
BOOKには、自分のコメントが載っていることへの喜びや、他グループのヒントを読むことで新たな視点を得られるという狙いがあります。当日の参加者がじっくり読んでいる様子がうかがえ、ワークショップの体験を記憶にとどめ、日常に持ち帰る役割を果たしました。
イラストをふんだんに盛り込んだ「ヒントBOOK」は、かしこまった「お勉強感」や「意識が高い」イメージに寄らないよう、動きや遊び心のあるレイアウトに。ワークショップを通して参加者に体験してほしい意識の変化を象徴するように、初めは「仲間と一緒に歩き出す」場面、終わりには「進んだ道の先で新たな景色の広がりを見つける」イラストレーションを差し込んだ。
自分やメンバーのエピソードが載っているなどの声や、別のグループで話されていた内容が参考になったという声も。
[ プロジェクト概要 ]
| クライアント名 | パーソルホールディングス株式会社 様 |
|---|---|
| 公開日/発行日 | 2025/2/3・13・27(ワークショップ実施日) |
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