盆栽 i-chi ~『I LOVE 盆裁』先行発売記念イベントレポート

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    関根彩矢デザイナー

書籍デザインの制作から、
コンテンツを体験できるイベントへ展開

こんにちは。デザイナーの関根です。
突然ですが、みなさんは盆栽についてどのようなイメージをおもちですか? 一昔前は「お年寄りが縁側で愉しむもの」という印象が強かった盆栽ですが、最近ではアパレルショップやカフェなどにディスプレイされたり、インテリアショップで販売されたりなど、若い方の間でも注目が集まってきているようです。

さて2017年某日、MdNの編集者の方からアートディレクターの筒井美希のもとに「新しい盆栽のビジュアルブックをつくってほしい」という依頼が舞い込んできました。「いわゆる“和の書籍“然とした表現ではなく、若い人も思わず手に取りたくなるような、印象的で楽しいデザインにしてほしい」との要望を受け、「新しさ」を直感的に伝えるため、構成・配色・グラフィックの扱い方を現代的・洋風にデザイン。でき上がったのが『I LOVE 盆栽』(エムディエヌコーポレーション。以下「MdN」)。私も一部の撮影ディレクションや本文ページのデザインを担当しました!

写真:『I LOVE 盆栽』の書影

書籍の制作中、「盆栽の新たな魅力を人に知ってもらうには、実際に盆栽を“体験”してもらうのがいいのでは」と、コンセントからMdNにイベント開催を提案しました。そして、その場で開催が決まり、コンセントが運営する「amu」にて出版記念イベント「盆栽 i-chi ~『I LOVE 盆裁』先行発売記念イベント」をすることになりました。ワークショップや物販など、本に登場する盆栽や作品を用意し、盆栽をより深く知ることができる内容に。子供から大人まで、多くの方に来場いただき、大盛況に終わりました。来場者の約7割の方に本を買っていただいたり、SNSでイベントがシェアされたりと、参加者の反応も上々でした。
コミュニケーションスペース「amu(あむ)

盆栽を体験し、楽しむイベントに

ここからは、イベント当日の様子を少しご紹介します。『I LOVE 盆栽』では、各章さまざまな観点から盆栽の魅力を切り取っていますが、イベントではそれぞれの章を「体験型コンテンツ」に変換しています。

「樹形を愉しむ」

この章では、盆栽のさまざまな樹形を印象的なイラストとともに紹介しています。そこで、樹形の差がより目につくように、イラストを大きく印刷して会場に設置。会場に入ると、可愛らしい盆栽のイラストがお出迎えします。盆栽にもさまざまな形があるんだな、おもしろいな、とワクワクしながら歩を進めてもらいます。

写真:先行発売記念イベントの会場にディスプレイされた書籍『I LOVE 盆栽』
写真:先行発売記念イベントの会場にディスプレイされたイラスト(その1)
写真:先行発売記念イベントの会場にディスプレイされたイラスト(その2)
写真:先行発売記念イベントの会場にディスプレイされたイラスト(その3)

「アートを愉しむ」

本書で紹介されている極小サイズの盆栽「豆盆栽」の本物を設置・販売しました。実際のスケール感や可愛らしさを手にとって体験できます。
また、著者の1人で盆栽家の葉住直美さんにも豆盆栽ワークショップを開催いただきました。数千円で買える手軽さもあり、豆盆栽は最近静かなブームになりつつあるそうです。書籍での印象よりもだいぶ小さい印象だったのか、多くの方が「可愛い!」と夢中になっていました。
また、イベント1日目は「草花火」、2日目は「紅葉」のワークショップを開催。葉住さんから盆栽の基本知識をレクチャーしてもらった後、参加者は盆栽の鉢を自ら植え替えていきました。会終了時にはみなさん「My盆栽」に愛着が湧いてきたようです。

写真:書籍『I LOVE 盆栽』で紹介されている極小サイズの盆栽「豆盆栽」の見開きページ
写真:会場にディスプレイされた極小サイズの盆栽「豆盆栽」
写真:盆栽家の葉住直美さんとの豆盆栽ワークショップの様子

「アイデアを愉しむ」「ユーモアを愉しむ」

盆栽柄のステテコ、アイシングクッキーの鮮やかな盆栽、可愛いビーズ盆栽…といった、書籍掲載作品のうちいくつかを販売しました。バラエティ豊かなグッズが並び、お客さまの目を楽しませていました。

写真:書籍『I LOVE 盆栽』の見開きページ
写真:『I LOVE 盆栽』に掲載されている作家さんの作品、グッズ(その1)
写真:『I LOVE 盆栽』に掲載されている作家さんの作品、グッズ(その2)

掲載アート作品の作家さんにもお越しいただき「アイシングクッキー」「スタンプ手ぬぐい」「ビーズ刺しゅう」のワークショップを開催し、「変わり盆栽」をつくる機会も提供しました。

ちなみに、私はアイシングクッキーと、ビーズ刺しゅうを自分の手でつくりました。実際につくってみると、盆栽の枝ぶりや葉のつき方を観察するようになり、樹形の細かな違いにおもしろさを感じるようになります。参加者の方もきっと盆栽への興味がぐんと増したのではないかと思います。

写真:ワークショップの様子(その2)
写真:ワークショップの様子(その3)

この本のデザイナーの1人、コンセントの佐々木愛実も「ビーズ作家」として『I LOVE 盆栽』内に登場しており、書籍内にも彼女のかわいいビーズ盆栽の作品が掲載されています。「いつも直感でものづくりをする」という佐々木ですが、あらゆる人にわかりやすくビーズを楽しんでもらえるようにと、独自のマニュアルをつくって参加者のみなさんに配布しました。アートディレクターの筒井もビーズ刺繍にトライ。

写真:イベントに参加している佐々木と筒井
写真:イベントに参加している佐々木

「スタンプ手ぬぐい」も大盛況。葉の色を自由に選んで思い思いの盆栽をつくっていました。

写真:スタンプ手ぬぐいワークショップの様子(その1)
写真:スタンプ手ぬぐいワークショップの様子(その2)

見て、つくって、体験するイベント会場

会場レイアウトは、書籍紙面を壁面に貼り出して内容を紹介しつつ、中央にワークショップスペースを設けてにぎやかさを演出しました。華やかなビジュアルで、来場者にも明るく楽しい印象をもってもらえたようです。展示だけ観にふらりと訪れた方も、ワークショップに興味をもち、飛び入り参加されたりしていました。全体的に長居する方が多く、居心地のいい空間を提供できたと感じました。

写真:会場の壁面いっぱいにディスプレイされた書籍紙面
写真:イベント会場の様子(全体像)

今回会場として使用した「amu」は、イベントに加え、ワークショップやセミナーも定期的に開催しています。普段はコンセント社員のオフィスとして活用しており、日当たりがよくとても居心地のいい空間です。もしご興味をもたれた方はこちらの記事も併せてお読みください。
参考:ひらくデザイン「共創と変化を生む場所」
https://www.concentinc.jp/design_research/2018/03/amu/

盆栽を体験し、楽しむイベントに

もともと書籍デザインの依頼から始まった本プロジェクト。「盆栽の新たな一面を伝える」という目的で制作が始まった『I LOVE 盆栽』が、イベントに派生し「盆栽体験」までプロデュースできたのは思わぬ喜びでした。「書籍」と「読者」という一方向の関係性だけでなく、盆栽に興味のある人同士が空間・体験を共有することで互いに関係し合い、より深くコンテンツを楽しむことができた、という手応えを感じました。

MdNの編集者さまからもコメントをいただきました。
「これまでの出版記念イベントは、主に書店中心にトークショーなどの形で行っておりました。今回は『ミニ盆栽』という植物をテーマにした本なので、サイズ感、愛くるしさ、種類の豊富さなど実際に手にとってみてもらえる空間として、amuでイベントができたことを感謝しております。
お客さまと直接お話ができることで書店やネット通販ではわからない、つくり手の思いやそれに関わる人たちのこだわりなど、お話しできるいい機会でありました。
実物を初めて見る人がいたり、ワークショップ体験を通して、身近なものの1つとして、盆栽を生活に取り入れていただくきっかけになった方もいたりして、嬉しく思います。
書籍の内容にもよりますが、本を購入して終わりではなく、好きなものを共有したり、実際に触れたり、情報交換できたりするイベントは今後も開催していきたいです。」

写真:盆栽

コンセントは、「枠」にとらわれず、伝えたい内容に即したコミュニケーションのあり方を一緒に考えていきます。コンテンツの楽しみ方をもっと広げてみたい方、ぜひご相談ください!

[ 執筆者 ]

コンセントは、企業と伴走し活動を支えるデザイン会社です。
事業開発やコーポレートコミュニケーション支援、クリエイティブ開発を、戦略から実行まで一貫してお手伝いします。

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