顧客理解をクイックに オンライン定性調査「PLÜG powered by CONCENT」活用事例

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    猪瀬景子サービスデザイナー

こんにちは。サービスデザイナーの猪瀬です。普段私は、さまざまなクライアントの新規事業開発や既存事業の改善、それらに関わる調査業務に携わっています。その中で「顧客に対する定性調査を行いたいが、コストや時間がかかるため実施に踏み出せない」「そもそもどうやればいいか分からない」というクライアントの課題を耳にすることがありました。

PLÜGにおける標準的な調査レポートの画像

PLÜG powered by CONCENT(プラグ・パワード・バイ・コンセント、以下PLÜG)は、そんなクライアントの課題解決のために生まれた、定性調査サービスです。今回の記事では、なぜ定性調査が重要なのかを踏まえた上で、PLÜGの調査プロセスやPLÜGが導く成果についてご紹介します。

※2021年5月12日 記載内容の一部を変更

1:定性調査なら顧客行動の「なぜ?」を紐解ける

定性調査とは何でしょうか?また、定量調査とはどのように違うのでしょうか?

定量調査とは「収集した情報を数値として分析する調査」です。例えば、あるサービスの利用率や課金率、リピート率など、数値データを明らかにすることで、全体の傾向を把握することが可能です。定量調査では、質的な意味合いや数値化できない情報を収集することができません。例えば、サービス利用率が上がっていることがわかっても、その背景や個々の顧客の心理状況まで明らかにすることは難しいと言えます。

一方、定性調査とは「顧客の発言や行動を堀り下げ、価値観や背景まで理解する調査」です。「なぜそう思ったか」「なぜその行動に至ったか」など、インタビューによって収集した顧客の生の声を通じ、事実や発言の裏側にある潜在的な意識、動機、背景を抽出し、明らかにしていきます。顧客の実態をより深く理解するために、定性調査は非常に有効な調査方法だと言えます。

PLÜGは、その定性調査のメリットを享受できるオンライン完結型のサービスで、サービスデザインの方法論を用いています。

2:PLÜG で事業課題のヒントをクイックに導く

PLÜGの特長のひとつは、調査開始から完了までが、非常にクイックであることです。ご相談を受けてから、ヒアリング、調査設計、リサーチ、分析、レポーティングまで最短2週間で実施します。速さの秘密は、すべての調査がオンラインで完結すること。ただ調査を実施して終わりではなく、さまざまな組織の新規事業開発、業務改善に取り組んできたサービスデザイナーが調査を一貫して設計・実行することにより、課題解決のヒントとなる気づきをご提供できます。概要を次の動画にまとめましたので、ぜひご覧ください。

3:クイックながら「広く」「深く」調査が可能

図版:調査の全体像。STEP1 アンケート調査、STEP2 チャットインタビュー、STEP3 デプスインタビュー

PLÜGでは、調査の設計、実施、分析を各段階で行い精度を高めていきます。

実際どのように調査を行うのか、そのプロセスをご紹介します。上図の通り、本サービスは大きく3つのステップにわかれます。

  • STEP 1:アンケート調査で、「広く浅く」調査
  • STEP2:チャットインタビューで、「深堀り」調査
  • STEP3:デプスインタビューで、「より狭く深く」調査

PLÜG では、3つのステップを通じて、顧客像や顧客の行動を段階的に絞り込み、より深く掘り下げていきます。
各ステップでは、それぞれ設問の設計・調査の実施・分析というサイクルを回します。各ステップで調査対象や調査ポイントを精査することで、次のステップでより深く掘り下げるべき顧客像を導きます。

各ステップをさらに詳しく説明します。

STEP1で実施するアンケート調査では、オンライン上で100コメント程度の回答を収集することで、利用体験の傾向や個々の顧客の価値観を広く洗い出すことができます。どの顧客の行動や価値観を深く掘り下げるべきか絞り込んでいくために、オンラインアンケートで年代、性別、居住地など幅広い顧客層に短期間でリーチします。

STEP2では、絞り込んだ顧客と1対1でメッセージをやりとりするチャット形式のインタビュー調査を行います。ここでは、STEP1で発見した気づきや顧客の傾向を深堀りし、顧客の思考や行動に対して「なぜそう思ったのか」「なぜその行動に至ったのか」など、その前後の文脈や背景を聞き出します。1対1でやりとりするため、オンラインでありながら、よりリアルな反応を引き出すことができます。

画像:チャット形式のインタビューの様子(画面キャプチャ)

1対1のチャットでインタビューを行います。

STEP3では、デプスインタビューを実施します。チャットインタビューで拾いきれなかった、より詳細な顧客の行動文脈や価値観をさらに深堀りするために、STEP1〜2の補完的な位置づけで行います。オンライン会議ツールなどを用いたリモート通話で、対象者と1対1の対話形式でインタビューを行います。お互いに顔を合わせてより密なコミュニケーションを取りながらインタビューを行うので、表情や声色、腕組みといった、仕草などの非言語な要素も観察することができます。

このようにPLÜGは、クイックな調査パッケージでありながら、様々な調査手法を組み合わせることで「広く」「深い」調査を実現し、顧客理解への一歩を後押しするサービスとなっています。

4:多角的な顧客分析を通して、顧客心理を理解する

PLÜGでは調査結果を整理・可視化したレポートとしてご提出します。顧客理解のための定性調査は実施して終わりではなく、その結果を事業に活かすことが重要です。レポートは事業課題のヒントとなるインサイトを導くだけでなく、社内の共通認識を生み出すコミュニケーションの材料としてもご活用いただけます。

PLÜGにおける標準的な調査レポートの画像

調査結果から顧客像や顧客の行動を整理・可視化し、調査全体から得られるインサイトについても言語化します。

PLÜGのレポートは、標準的に4つのアウトプットを想定しています。

1点目(左上)は、ペルソナシート。着目すべき顧客像を可視化するものです。年代や性別といったデモグラフィック情報だけでなく価値観やニーズまで含めた顧客像を可視化し、組織内で顧客像に対する共通理解をつくることに役立ちます。

2点目(右上)は、価値マップ。顧客の行動や考え方を整理し、顧客自身も言語化できていない潜在的なニーズや課題、価値観を明らかにするものです。潜在ニーズに向けた商品開発やサービス改善に役立てることができます。

3点目(左下)は、カスタマージャーニーマップ。顧客の行動や思考を製品・サービスを利用する前後の体験も含めて時間軸に沿って可視化するものです。顧客の視点を理解し、体験の質を低下させる原因になっている部分の把握や、逆に新たな施策の機会を特定することに役立ちます。

これらの手法はサービスデザインの方法論における代表的な手法です。PLÜGでは、各アウトプットの作成プロセスをある程度定型化することで、スピーディーに作成することができます。

参考:サービスデザインツールの目的と活用法

以上のレポートの他に、調査結果全体から得られたインサイトをまとめたシート(右下)も提示します。何らかの状況や事実によって、顧客の心理や行動に作用する重要な情報を言語化したものです。

定性調査によって顧客の声を聞き、深く掘り下げ、整理・分析を行うことで、事業課題のヒントにつながる発見を導くことができます。さまざまな状況、事業領域において、顧客理解へのはじめの一歩として本サービスをご活用いただくことで、皆様の事業発展に少しでもお役に立てれば幸いです。

[ 執筆者 ]

コンセントは、企業と伴走し活動を支えるデザイン会社です。
事業開発やコーポレートコミュニケーション支援、クリエイティブ開発を、戦略から実行まで一貫してお手伝いします。

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