オンラインで進めるデザインプロジェクト

  • 川崎実紀デザイナー

コンセントでは以前からさまざまな拠点で働く社員がいましたが、2022年3月現在さらに多くの社員がテレワークを行うようになっています。そのため、クライアントの皆さまと直接お会いしないままプロジェクトが完了するケースも多くなってきました。

オンラインでのプロジェクト進行が特別なものではなくなり、コロナ禍が落ち着いた後もスタンダードになると考えられる今、オンラインならではのメリット・デメリットや現場でのちょっとした工夫について社内のメンバーにヒアリングした結果をご紹介します。

イメージ画像:オンライン上でディスカッションする人物のイラスト

インタビュー調査

リサーチャー:田村祥子

プロジェクト開始時に人々の価値観や利用文脈を理解することなどを目的としてリサーチを行うことが多くあります。中でも、インタビュー調査はZoomなどのビデオ通話ツールを活用することでオンラインでも実行しやすいリサーチ手法の一つです。

まず、対面インタビューとオンラインインタビューではリクルーティングができるインタビュイーに違いが出てきます。オンラインインタビューでは、小さいお子さまがいるなどの理由でまとまった時間を取ることができない方や、遠方に住んでいるためプロジェクトの期間や予算の都合上お会いすることが難しかった方々にもお話を聞くことができるようになりました。一方、ビデオ通話ツールの利用が難しい方へのインタビューはできないため、比較的デジタルリテラシーが高い層に偏ってしまうといったバイアスにも意識を向けることが必要になります。

画面キャプチャ

ビデオ通話ツールでのインタビューの様子。PCのカメラをオンにすることで、お互いに表情を見ながら会話ができる。

また、記録用のカメラやボイスレコーダーなどの事前準備も不要になり、ボタン一つで記録できるのは便利だなと思います。資料も簡単に画面共有できますし、インタビュイーの方からお話しされている内容に関わるアイテムを見せてもらうこともできます。オンラインインタビューだと移動時間がないので、限られたリサーチ期間の中でも多くの方にインタビューできるようになりましたし、インタビュー実施のハードルは下がってきたかなと思います。

エスノグラフィ調査のように現地に赴き、リサーチ対象者と共に行動したり観察したりすることからしか得られない情報もあるので、調査の目的と期間やコストから最適なリサーチ手法を選択できるようになるといいですね。

ワークショップ

サービスデザイナー:齊藤美咲

ワークショップは、主催者からの一方的な情報伝達ではなく、参加者全員が主体的に参加することで議論や対話を深めることを目的として実施します。実際に一つの場所に集まって行うイメージが強いですが、工夫次第でオンラインでも創造的なワークショップを行うことが可能です。

オンラインでワークショップをする場合は、話し合いやワークに集中できるよう、なるべく参加者が普段使い慣れているツールを利用することが大切になります。Miroというオンラインホワイトボードツールを使うことも多いですが、クライアントと事前に相談して参加者にストレスのない環境を用意できるように心掛けています。参加者の中にツールを初めて利用する方がいらっしゃる場合は、アイスブレイクも兼ねて操作方法を習得するための簡単なワークを行うこともあります。

また、オンラインでのコミュニケーションでは、対面のときよりも相手の反応がわかりにくく発言の間が読みにくい傾向があります。そのため、深く話し合いたい場合は、なるべく1グループの人数を4人以下に設定し、発言量の偏りをなくしたり、発言するタイミングをつかみやすくしたりするようにしています。

ワークショップの最初にコミュニケーションコードを設定し、発言する際のルールや相手の意見に対するリアクション方法などを決めることもあります。例えば、Miroのスタンプ機能を使って意見に対する反応を残すようにしたり、チャット機能を活用したりして随時不明点や気になる点を投稿してもらうなどの工夫をしています。

画面キャプチャ

オンラインでのコミュニケーションルールを記載したMiroのボード。質問や意見がある場合のリアクション方法や「飲食は自由」にといった、気になるけれど聞きにくいことを予め明示することで運営者と参加者ともにストレスなくワークに集中できる。

UXデザイン・UIデザイン

UX/UIデザイナー:川崎実紀

ストーリーボード

サービスを利用するシーンを漫画のように描いて、ユーザーが価値を感じる体験を検討する「ストーリーボード」という手法があります。あくまで検討のための中間成果物であるため、手描きでラピッドに作成することが多いです。けれども、紙に描いてしまうと共有に手間がかかるため、オンラインで進めるプロジェクトの場合はMiroなどペン機能があるツールを利用して、タブレットにタッチペンで描いています。プロジェクトメンバーにもツール上にコメントを残してもらうことで、スピード感をもってブラッシュアップしていくことができます。

画面キャプチャ

ストーリーボードのイメージ。手描きのイラストに付箋などでコメントを残し、内容を手早くまとめていくことができる。

画面プロトタイプ

ユーザーインターフェースをデザインするツールは近年目覚ましく進歩しています。FigmaやAdobe XDなどのツールを用いてオンライン上で一つのデータを複数のデザイナーが同時に編集することが当たり前になりました。また、一枚一枚の画面をデザインするだけでなく、画面間を移動できるようにしたり、ボタンを押してメニューを開くといった動きをつけたりしてプロトタイプをつくることも一つのツール上で完結します。出来上がったプロトタイプはURLで共有できるため、プロジェクトメンバーにもそれぞれのスマートフォンで触ってもらうことができます。

イメージ画像:オンライン上で同じデザインデータを共有しあう人物のイラスト。

離れた場所にいてもオンライン上でデータを共有・編集することができる。また、メンバーが各々のデバイスでデザインやインタラクションを確認することもできる。

また、FigmaやAdobe XDなどで作成するプロトタイプは静止画を紙芝居のようにつないだ簡易的なものになりますが、本開発に着手する前にもう一段階実際の製品に近いプロトタイプをつくることがあります。こういった高忠実度のプロトタイプはReact Nativeなどのフレームワークを用いて開発することが多いです。実装する範囲を主要な機能に絞ったり、ユーザーから見える部分のみをつくり込んだりすることで、なるべく低コストで効果的なユーザーテストを行えるようにします。

開発したプロトタイプをユーザー自身の端末にインストールしてある程度の期間利用していただくことで、実際のサービス利用に近い体験に対する意見を聞くことができます。

5.コミュニケーション

プロジェクトマネージャー:石野博一

会議

定番ですが、Microsoft TeamsやZoomといったオンライン会議ツールを用いて会議を行っています。「10分だけ話せませんか?」といった短時間の会議がしやすいのも、オンライン会議の魅力の一つです。不要な会議が増えるのは本末転倒ですが、不明点が出てきたらすぐに話し合える環境をつくることでスピード感をもってプロジェクトを進行できます。

また、気軽に録画ができることもオンライン会議の特徴の一つです。出席して発言する必要はないけれど会議内容を理解しておくべきメンバーは、後から再生速度を速めて視聴することで時間を有効に使うことができます。会議冒頭は雑談からスタートするなどして発言しやすい雰囲気をつくることも、対面での会議以上に心掛けています。

テキストコミュニケーション

社内はもちろん、クライアントの皆さまともプロジェクト用にMicrosoft TeamsやSlackといったチャットツールを用意してやりとりすることが増えてきました。メールと比較すると、短い文章やスタンプで堅くなり過ぎずにやりとりができるため、フランクなコミュニケーションが促進されます。
また、扱う内容によってチャネルやスレッドを分けるといったルールを定めることで、過去のやりとりが探しやすくなります。

イメージ画像:チャットツール上でクライアントとやりとりをしている画面。

チャットツールでのやりとりの例。資料の共有をしながら会議の約束をするなど短時間で必要なコミュニケーションができる。またスタンプを使ってコメントに対して気持ち(いいね、ありがとう)を伝えることもできる。

ドキュメント管理

プロジェクト内で作成された資料はMicrosoft OneDriveやBoxなどオンラインストレージ上で共有しています。資料をメールで送付すると、おのおのがファイルをダウンロードして自身のパソコンに保存したり、自社のストレージにアップロードしたりといった管理のための手間が何重にもかかってしまいます。ファイルの格納ルールを整備してオンラインストレージを利用することで、共有資産管理の手間を減らせます。「最新版の資料がどれかわからない」「資料を送り忘れていた」といった困り事も防ぐことができます。

おわりに

コンセントでは以前からオンラインツールを積極的に導入していたため、スムーズにテレワークに移行することができました。今後も自分たちが働く環境を常に見直し、クライアントの皆さまと直接お会いできなくても一体感をもってプロジェクトを推進できるように工夫を続けていきます。

[ 執筆者 ]

コンセントは、企業と伴走し活動を支えるデザイン会社です。
事業開発やコーポレートコミュニケーション支援、クリエイティブ開発を、戦略から実行まで一貫してお手伝いします。

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