ヒューマンルネッサンス研究所   自律分散型社会における森林資源の有効活用と循環型経済の可能性を考察する調査研究プロジェクト

写真:木材を両腕でかかえて運んでいる男性

森林と生活者の“これから”を
デザイン視点で考察する

株式会社ヒューマンルネッサンス研究所様(以下、ヒューマンルネッサンス研究所)と、これからの社会の様相の変化について、森林資源と生活者の関わりをテーマにした共同研究を行いました。具体的には、DIYや個人のクラフトワーク、住宅のリノベーションなどのトレンドを対象として調査と考察を行いました。

  • ドキュメント・スライド
  • 事業開発支援

[ プロジェクトのポイント ]

  • 森林に関わる仕事 – 林業というビジネスの持続可能性における課題についての考察
  • 生活者起点での調査
  • 新しいエコシステム、価値の流れの構想、ビジネス機会としての提案

プロジェクトの背景

ヒューマンルネッサンス研究所は、オムロン株式会社様(以下、オムロン)のグループ内シンクタンクとして1990年に創業した人文科学系の研究所です。オムロン独自の未来シナリオを考えるアプローチである「SINIC理論」に基づき、工業社会の先にある社会を見通し、新たなソーシャル・ニーズの創造を目指して、社会と技術の未来可能性を探索しています。

本調査研究において、コンセントではサービスデザインのアプローチでミクロとマクロの視点を行き来しながら社会の在り方の移行と生活者の価値観の変化を考察していくことを支援しました。

問題解決までのアプローチ

  1. 1.「森林資源への関わり方の変化」の表象として着目するターゲット領域を定義
  2. 2.木材利用に関する専門家へのインタビューの実施
  3. 3.DIYのユーザー、リノベーションオーナー、CtoCのクラフトメーカーなどへの調査を実施
  4. 4.調査から得られたインサイトをどう捉えるか、オンラインワークショップで検討
  5. 5.オムロングループ社内への提言レポートとして集約

クリエイティブのポイント

レポート表紙:タイトル 「これからの人と木材の関わりの構想 Future Vision of Human and Forestry 2020」

2020年の春から夏にかけて実施したこの調査研究は、「アフターコロナ」「ウィズコロナ」といった言葉が注目されている時期に行われました。ヒューマンルネッサンス研究所では、新型コロナも1つの影響要因として考慮しつつ、より長期的な視点で社会の移行や価値観の変化を捉えることを目指していました。その研究対象の1つが「森林資源」です。

まずコンセントとヒューマンルネッサンス研究所で議論を行い、調査のテーマを生活者と森林資源の関わり方の変化、その中でも特にDIYやリノベーションなど生活空間に近いところをターゲット領域としました。

画像:人と木の関わりはどう変化していくのか?どんなサービスが求められるのか?

林業は「⽊材を出せば出すほど⾚字」という苦しい状況で、利害関係や担い⼿の⾼齢化の問題などで構造を変えるにも時間を要するため、社会的課題となっている。そこで、林業を「内側」からではなく、「外側」つまり⽣活者の動向を把握することで、課題を解決できるのではないかと想定し、⽣活者と森林資源の関わり⽅の変化、特に DIYやリノベーションなどをターゲット領域として調査を開始した。

次に各領域の専門家(ハウスメーカー、リノベーションメーカー、クラフトメーカー 、熱心なDIYer)や、関連するセグメントの生活者( DIYを始めた人、リノベーション経験者)など、各方面のステークホルダーに対して、オンラインでインタビュー調査を実施。それぞれの領域においてどのような考えをもち、どのように関わっているかを探索しました。

画像:リサーチ&分析 コロナ禍初期におけるオンライン調査

専門家インタビューでは国産木材の状況のポジティブ/ネガティブな状況や要因を俯瞰的にヒアリング。ユーザーインタビューでは、半年以内にDIYに取り組んだ10~40代の男女10名に、始めたきっかけ、その過程の楽しさ、課題など、半年から1年間の変化についてのオンラインインタビューも行った。リノベーションに関しても同様にリノベーションを行ったオーナー3名に対してオンラインでインタビューを実施し、木材を用いることになった意思決定ポイントや思考の変化を追った。

最終的には現在のカスタマージャーニーの課題や、ビジネス課題などをそれぞれ考察した上で、将来的にデジタルの活用や自律分散型の価値観が普及することで実現し得る林業の新たなステークホルダー間の価値共創を生み出すようなエコシステムを構想し、レポートとしてまとめました。

画像:顧客体験の変化と課題をジャーニーで捉えるDIY初心者の熟達プロセスのカスタマージャーニーマップ

初⼼者DIYのジャーニーとフリクションを考察。

画像:新しいエコシステムの構想 未来における人と木の関わりのサービスエコロジーマップ

リノベーションとDIYを組み合わせた未来のエコシステムの中で、ユーザーが⽣活空間を⾃分でつくる場合の構想図。

サービスデザインアプローチでのリサーチという新しい実践により、コロナ禍の状況でも十分なリサーチが可能になり、長期的な事業の方針策定の検討材料になりました。

[ プロジェクト概要 ]

クライアント名 株式会社ヒューマンルネッサンス研究所 様
URL http://www.hrnet.co.jp

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