不動産情報サイト事業者連絡協議会   省エネ性能表示制度をわかりやすく伝えるクリエイティブ開発

メインビジュアル。イラストを使った解説ツールのページが一覧されている。

複雑な法制度を
誰もがわかりやすい表現で

2024年4月、国土交通省様(以下、国土交通省)により建築物の省エネ性能表示制度が創設されました。施行に向けて、国土交通省より委託を受けた不動産情報サイト事業者連絡協議会様(以下、RSC)主導で、本制度の周知普及のために「事業者向け概要資料」をはじめとする各種関連ツールのクリエイティブ開発をコンセントが担当しました。

  • ドキュメント・スライド
  • 広報ツール
  • メディア・コンテンツ開発
  • クリエイティブ開発

[ プロジェクトのポイント ]

  • 専門的な情報を構成・編集し、あらゆる立場のユーザーにとってわかりやすい表現を追求
  • ステークホルダーとの綿密なコミュニケーションによってアウトプットの質と満足度を向上

プロジェクトの背景

一部法改正に伴い2024年4月から不動産広告には、住宅や建築物のエネルギー消費性能や断熱性能を示す「省エネ性能ラベル」の掲載が努力義務化されました。

当制度による性能表示は、不動産業者やポータル事業者をはじめ、住まい・建築物を利用する生活者まで広く関わるものです。国土交通省とRSCは、住宅・建築物にさまざまな立場で関わる人々に、制度について広く認知・理解してもらうためにはどのようなアプローチが適しているか模索していました。

問題解決までのアプローチ

本プロジェクトでは、制度の概要や評価方法などを示した「事業者向け概要資料」(以下、解説ツール)をはじめ、建築物に対する性能評価の結果を示す「省エネ性能ラベル」「エネルギー消費性能の評価書」や、複数のクリエイティブ開発を行いました。

いずれの制作物においても「誰でもスムーズに制度の内容を理解できる」ということを大方針とし、ステークホルダーとディスカッションを重ねながら表現の最適解を見いだしていきました。

情報設計・編集

制度そのものの概要や事業者側の対応方法などの詳細を伝えるため、重要な役割を担うのが解説ツールです。

解説ツールのベースとなる国土交通省制作のガイドラインは、専門用語が多く含まれており、人によっては理解するのに時間がかかる内容でした。そのため、クリエイティブ開発に携わるメンバー自身がその内容をひも解き、理解を深めることから始めました。詳細まで齟齬なく理解するために、RSCや国土交通省の担当者へ必要なヒアリングを繰り返し行いながら進行していきました。

メンバーの理解がある程度深まってきた時点で、以下のようなプロセスで解説ツールに掲載する情報の構造化を行いました。

  1. 1.理解の流れや深度を意識した情報掲載順や情報同士の関連付け
  2. 2.制度対応のシーンやユーザーの目的に合わせた章立ての検討
  3. 3.事業者ごとに異なる必要確認項目の明示化・表記ルール設計
構造化を示す図

情報の構造化の進め方(イメージ)

プロジェクト開始から完了まで、終始心がけた観点は「ユーザー視点で迷いなく理解できる」ことです。

その他、並行して制作した省エネ性能ラベルや評価書も同様に、人によっては理解に時間がかかるのではと感じた段階で、RSCや国土交通省の担当者に対してヒアリングし、意味の再解釈を行いました。ラベルや評価書は、あらゆる記載スタイルや利用シーンを想定して、汎用性の高さを意識して開発しました。

クリエイティブのポイント

1. 事業者向け概要資料(解説ツール)

解説ツールは、各事業者が複雑な制度の内容を理解することはもちろん「自分たちが取り組むことで、消費者が安心して建築物を利用できる」という、制度に対応する当事者意識を醸成することも目指していました。その目的達成のため、主に次の点において工夫しています。

  • 情緒性のあるイントロダクション
    資料冒頭の導入パートでは、ユーザーに難解な印象を与えないように情緒性の高いアプローチを行っています。
  • わかりやすさに配慮した文章表現
    必要な情報を適切な時間で読み切ることができる文章量や、専門的になり過ぎない言葉選び、齟齬を生まない言い回しなど、常にユーザー視点での読みやすさに配慮してライティングしました。
  • 理解を促進させるビジュアル表現
    章ごとにキーカラーを設定し、視覚的にもメリハリをつけて内容の切り替わりをわかりやすくしています。オリジナルのイラストや図版をふんだんに盛り込むことで、言語表現だけでは伝わりにくい内容を補いました。また、解説ツールのユーザーは設計者・不動産業者・ポータル事業者など多岐にわたるため、自身がどの項目に関係するのかを明示化しました。
解説ツールの全ページを一覧した画像

解説ツールの全体構成

解説ツールの中面。「建築物の省エネ性能評価」のページ。
解説ツールの中面。「説明·契約」のページ。

解説ツール中面。キーカラーに準じたカラー設計で章ごとの一体感を醸成。ページ上部には掲載内容の対象となるユーザーを明示している

2. 省エネ性能ラベル

公募でのデザイン案をベースにしつつ、どのような属性のユーザーが見ても内容がわかりやすく、明快に示せるデザインを目指してブラッシュアップしました。建築物の種類、省エネ性能の評価方法、再エネ設備の有無、光熱費表示の有無などに差異があっても、一貫性のあるデザインを心がけました。

省エネ性能ラベルの画像
省エネ性能ラベルの画像
省エネ性能ラベルの画像
省エネ性能ラベルの画像

省エネ性能ラベルは全24パターン作成

3. エネルギー消費性能の評価書

建築物の概要と省エネ性能評価を記す「評価書」は、不動産業者が顧客に向けて住宅や建築物の省エネ性能を説明する際の補助資料としての役割も担っています。そのため、建築に関する専門知識がなくてもわかりやすい表現を目指し、シンプルな図版や表、イラストレーションでの表現も交えて直感的に伝わる工夫を凝らしました。

エネルギー消費性能の評価書の画像
エネルギー消費性能の評価書の画像

エネルギー消費性能の評価書(内容は一例)

[ プロジェクト概要 ]

クライアント名 不動産情報サイト事業者連絡協議会 様
URL https://www.rsc-web.jp/
公開日/発行日 2024/04/01
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