アサイ・エンジニアリング   ビジネスモデル構築・ブランディング支援

企業の生まれ変わりを
デザイン経営で支援する

先進的なロボット開発に携わる株式会社アサイ・エンジニアリング様(以下、アサイ・エンジニアリング)。コンセントは、サービスデザインやマーケティングの知見・技術を活用し、ビジネスモデルの構築とブランディングに関する支援を行いました。プロジェクト進行中から新規ビジネスが複数生まれる等、具体的な事業成果を創出することができました。

このプロジェクトは、神奈川県の「さがみロボット産業特区」における生活支援ロボットの開発・普及支援の一環として、地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)が実施した「令和2年度生活支援ロボットデザイン支援事業」にて採択され実現したものです。

  • デザイン経営支援
  • ドキュメント・スライド
  • 映像
  • VI・CI
  • 販促ツール
  • ブランディング支援
  • 事業開発支援
  • クリエイティブ開発

[ プロジェクトのポイント ]

  • サービスデザイナーが経営陣に伴走、事業と顧客をバランスさせる価値を可視化
  • 企業の歴史と、未来の社会構想を融合させるビジョンデザイン
  • 活発な対話を生み、組織の強みを引き出すファシリテーション
今回デザインしたコーポレートロゴ
今回作成した会社案内スライドの抜粋1
今回作成した会社案内スライドの抜粋2
今回作成した会社案内スライドの抜粋3
今回作成した会社案内スライドの抜粋4
今回作成した会社案内スライドの抜粋5
今回作成した会社案内スライドの抜粋6
今回作成した会社案内スライドの抜粋7

プロジェクトの背景

アサイ・エンジニアリングは、サービスロボットや建設作業用ロボット、小型医療機器等を受託開発する企業です。優れた技術・開発力を有するも、ビジネススキームやブランド構築ができていないことで、企業の力を活かしきれないという課題をもっていました。

そこで、コンセントでは企業の状況を多角的に論点化し、対話を中心にビジネスモデル構築や価値定義を行うオンラインワークショップを開発。その検討結果の検証のために外部イベントを計画し、セールスツールを試作しながら、ビジネスモデルやブランディングを磨き込むようなプロセスを実行しました。

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最終成果物として作成したビジネスモデル・ブランド要件定義書の一部

問題解決までのアプローチ

2時間のオンラインワークショップを合計6回、それぞれ2週間のインターバルを設けて実施しました。インターバルの中で追加検討や調査等の宿題を設定し、時間をかけながら段階的に検討を深めていくアプローチを取りました。

ワークショップを実施する流れを表した図

・ワークショップ1「ビジョンの整理」

まず、全ての土台となる企業ビジョンを整理します。企業が社会に存在する意義や視点を確かめる作業と言い換えてもいいかもしれません。企業ビジョンを整理するには、市況や社会背景を押さえ、現代性のあるメッセージとしてまとめることが重要です。そのために、市場・業界動向、顧客やそのサプライチェーンの課題、押さえるべき技術トレンド等を複眼的に確認する作業を行いました。その後、アサイ・エンジニアリングが、どのような社会を目指し“どうありたいか”という組織視点と、“どうあるべきか”の社会・顧客視点の両軸から設定していきました。

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ワークショップ1「ビジョンの整理」を経て作成された企業ビジョン。

・ワークショップ2「提案価値の設定」

次に、企業全体で顧客に提案していく価値を定めました。ターゲット顧客をどう分類し事業活動として戦略立てていくか。ターゲット顧客の課題は何か。どのような文脈(商流、業務、知識レベル、物理環境等)で、その課題に直面しているか。顧客を具体的にイメージできるレベルまで詳細化した後に、そのターゲット顧客に提案・提供する価値を構造的(基礎的価値・差別化価値・特異的価値)に整理していきました。

・ワークショップ3〜5「事業設計」

設定された提案価値を、あらかじめ区分した事業ごとに再設定し、その価値をターゲット顧客に届けるための業務プロセスを明文化します。ここで作成するプロセスは、顧客がビジネスの流れをイメージでき、提案価値が伝わるようなモデルに仕上げることが重要です。業務プロセスの中でも、競合優位になる技術や、強い魅力となる業務をわかりやすくブランド化していく作業を行い、同時に収益面での事業性も確認しながら、モデルを磨き上げていきます。
また、複数の事業運営を行う上で、事業間の価値循環を設計し、持続性のあるビジネスモデルを設計していくことにも注力しました。

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事業の価値を伝えるためのモデル「“FUN”ENGINEERING PROCESS 」を構想しました。

・ワークショップ6「ブランド要件定義」

ここまでのワークショップ結果を概観し、顧客や社会からの認知形成をするためのブランディングの視点をまとめていきます。企業を人格化する「ブランドパーソナリティ」や、特に強調して示す価値認知の設計、技術優位の根拠とする情報の精査等、ブランドを構成する諸要件を固めました。

・会社案内を試作し、プロトタイピングする

全6回のワークショップを終え、ビジネスモデルとブランド要件の検討が深まった段階で、諸検討を統合し会社案内スライドとしてアウトプットを行いました。外部に向けたオンラインイベントを企画・開催しながら反応を確かめ、日々の商談の中で試験運用しながら、内容を精査していきました。また、同時にウェブサイトで公開するための企業イメージ動画を作成し、企業ブランドの感性訴求面での確認も並行して行いました。

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会社案内スライドの一部。スライドは紙の会社案内にも転用できるようデザインしました。

・コーポレートロゴをデザインする

プロジェクト当初、ロゴの変更は予定していませんでした。しかし、ビジネスモデルが整理され、プロジェクトの途中段階においてもビジネス成果が得られたことから、企業変革を内外に意思表示するため、ロゴリニューアルに踏み切ることになりました。

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上が旧ロゴ、下が新ロゴです。ロゴ運用のためのガイドラインも別途作成しています。

企業とは、人が生業を営む拠り所であり、人が動いた歴史でもあります。
コーポレートロゴのデザインは、その企業が存在する意味を捉え直す仕事です。

ロゴデザインの要点は3つでした。

1つ目は、アサイ・エンジニアリングの祖業であるホビー開発の精神を残したこと。旧ロゴで示されていたラジコンカーのエレメントを抽象化し踏襲しました。ホビー開発からロボット開発に業容転換した今でも、「FUN」の精神を忘れない企業姿勢と歴史を表現しました。

2つ目は、ブランド要件の中で企業人格として定義した「ロボット開発事業を加速させるナビゲーター」を表現したこと。「ナビゲーター」がもつ推進性が第一印象として感じられるロゴを目指しました。

3つ目は、新しく策定した企業ビジョンの「人間とロボットの楽しい共存」を赤と青のグラデーションで示したこと。グラデーションを用いたロゴデザインは特徴的です。そのグラデーションの意味を社外の者に問われた際に、企業ビジョンをしっかり言語化し、対話につなげられる意味装置としてデザインしました。

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ウェブサイトや展示会で公開するための企業イメージ動画。

本プロジェクトの意義

本プロジェクトは、デザイン経営を支援するDesign Leadership部門のサービスデザイナーが、アサイ・エンジニアリングの経営陣に伴走し、進行しました。企業の思いを受け止め、さまざまな検討をワークショップの中で行い、共創していきました。経営の視座から企業のあり様や姿勢をコピーやインフォグラフィックに落とし込み、実際に試しながら実現していった点にも意義があります。

顧客価値の視点、事業収益の視点、社会的意義の視点、企業が歩んだ歴史の視点、未来構想の視点と、さまざまに角度を変えながら立体的にビジネスモデルとブランディングを構想していきました。

コンセントは、サービスデザインやデザイン経営の知見を応用し、同様の課題を抱えるロボット開発事業者やメカトロニクス関連事業者に価値提供し、産業の底上げに寄与したいと考えています。

[ お客様の声 ]

サービスデザインの考え方に出会い、
さまざまな成果が生まれています

アサイ・エンジニアリング様から、プロジェクトの成果等についてうかがいました。

Q.今回のプロジェクトについて所感をお聞かせください。
このプロジェクトによって、当社は生まれ変わったと思っています。今回、サービスデザインの考え方に出会ったことで、いくつもの発見がありました。

1つ目は、企業のストーリーを発見できたことです。創業時から続く自社の魅力に気づくことができました。ホビー分野がルーツであることは、ロボット開発事業においてはともすれば弱みにつながるものだと考え、これまではあまり表立ってアピールすることはありませんでした。しかし、今回のプロジェクトで自社のブランドを立体的に捉え、社会背景の中から自社の意義に触れたとき、ホビー出身であるからこそ提供できる“FUN”の精神が、自社の独自性であり強みであると再確認することができました。

祖業であるホビー事業から転換したことによる葛藤も、今回丸ごと整理でき、自社のストーリーの強みが明確化されたことで、企業活動の全体に自信がみなぎるような実感がありました。

2つ目は、顧客ニーズと価値の発見です。サービスデザインの観点を通すことで、当社自身も当社顧客も顕在化されていなかったニーズと価値の存在に気づきました。そして、それが当社が顧客に選ばれていた理由の一つだったということにも気づくことができました。

3つ目は、営業戦略の確定です。顧客種別の整理により戦略を明確化でき、実際にその効果が出ています。サービスデザインにおける顧客の捉え方が指針になったと思います。

4つ目は、当社事業を客観的かつ体系的に整理することができたことです。業務プロセスを構造的に設定したことで、事業として軸足を置くべきポイントが明らかになりました。プロセスのどの点を丁寧に説明すれば顧客に安心していただけるか、逆にどの部分を強調しすぎると当社価値にミスリードが生じるのか。今回モデルを作成したことで、商談のやり方も変わっていきました。

Q.プロジェクトの成果についてお聞かせください。
プロジェクトが進行している間にもさまざまな成果が生まれています。これまで価値訴求が難しかった事業に関して、価値を認識していただきビジネス化が進んでいます。また、これまで顧客として意識していなかった層に対して営業活動を開始し手応えを感じています。

Q.最後に今後の展望をお聞かせください。
今回のプロジェクトでつくり上げたブランド定義をもとに、社会のロボット開発のハブになり、沢山の方々の困難を解消できるような価値を提供していきたいと思います。

[ プロジェクト概要 ]

クライアント名 地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)

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